(76) わきが
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
宮田卓也(50)ポワ―とした天然。一見サラリーマン風で男前ではない。
三田聖子(28)美人。ぶっ飛んだ性格。
N=ナレーション
カーッと晴れた空の絵にN、
N『真夏のカンカン照りのある日――』
卓也宅(1LDK高級マンション)の外観。
注、整然と片付いた十五畳の部屋。一切余計な物は無くマッサージ機、テレビ、小型ステレオ、隅にマットレスだけのベッドがあるのみ。
綺麗に片付いたキッチン回りの絵にN、
N『宮田卓也。50歳。妻に浮気されて半年前に離婚したーー』
Tシャツ、短パン姿の卓也が居眠りしてる子猫を腹に乗せマッサージ機にもたれて読書している絵にN『レクサスのエンジン始動通知メールで妻の浮気を知り探偵と弁護士を雇って一網打尽にしてやった』
腹の上の猫(エキゾチック)の絵に、
N『相手は妻の上司で10年来の関係だったと知った瞬間ぼくの心は壊れて鬱になった・・・』

指で猫のぺちゃんこの鼻を撫でる絵にN『今は退職してのんびり暮らしてるので体調は回復しつつある・・・と思う』
ピンポーンという音にビクッと玄関の方を見てN『・・・半年前に引っ越してここは誰にも知られてないはず。もしや妻がまた復縁を迫りに・・・?』
恐る恐るドアを開けると横から形の良い足がニューと出る。
聖子(28。ノースリーブ、ミニ)が無表情で新体操の選手のように片足を垂直に上げて汗だくで立っている。
無表情で、
聖子「シャワーを使わせてもらえませんか?」N『三田聖子。28歳』
卓也(うっくさっ!腋ガ・・・?)
卓也、あまりの臭さにヨロッとなる。
びっしょり濡れた腋のアップに聖子の声、
「汗だくでもう限界なんですが・・・」
ヨロッと壁に手をつき、
卓也「質問。僕がシャワーを断ったとします」
卓也「そしたらこのマンション中を一軒一軒そうやって回るつもりですか?」
まじまじ見つめ、
聖子「・・・奥さんに浮気されて離婚した?」
卓也「(驚き)な、なんで?!・・・」
聖子「こんな非常時にそんな質問する性格なら愛想つかされて当然だから」
臭さにわなわな震え、
卓也「た、たしかにその腋ガは周りの者には非常時だ・・・」
風呂の戸の前でノースリーブを脱ぎ、
聖子「それを自覚してるから頼んでるんでしょ!」
スカートを脱ぐのをぼう然と見ている卓也に、
聖子「おやおや?ガン見ですか?」
卓也「その・・・困る・・・」
服を脱ぎ散らかした風呂の扉の前にあ然と立つ卓也(ジャーとシャワーの音)。
猫が丸まったパンツに近づく。
恐る恐る嗅ぐ。
「ぐえー」とえずいた猫を見て、
卓也「ハナ!」と慌てる。
クターとなったハナの胸を指で必死に人工呼吸し、
卓也「ハナちゃん、しっかりして!」
カーッと照りつける空の絵。
胸にバスタオルを巻いて部屋に入ってきて、
聖子「あースッキリした」
服を脱いだはずの床を見て、
聖子「・・・私の服は?」
ベランダに干した洗濯物の絵に卓也の声、
「匂いが部屋に染みつくから洗濯した」
無表情で、
聖子「こりゃまたハッキリおっしゃる」
床に足を斜めに崩して座り、
聖子「じゃ乾くまで帰れないって事?」
聖子「それが目的で洗濯した?」と言う彼女の股に猫がくんくんしながらもぐる。
聖子「きゃっ、ザラザラの舌でぺろぺろしちゃダメ~」
卓也「こら、現物を舐めたら心肺停止だぞ」と猫を抱きあげた時に太腿に誠也命と彫った入れ墨に気づく。
聖子「ふーっ、危うくイキかけた・・・ネコの舌ってすごいよね~」
入れ墨を見つめ、
卓也「その誠也なんたら言うのは?」
聖子「もう綺麗さっぱり忘れた」
卓也「男が変わる度に彫ってたら最後には耳なし芳一になっちゃわない?」
聖子、無言で卓也を見つめる。
聖子「だったらオジサンが結婚してよおおおおーーーー」と突然豹変したかのように叫んだので卓也仰天してのけぞる。
聖子「私と結婚したかったら今すぐプロポーズして」
聖子「スリーツーワン、ブー。はい時間切れ」
聖子「腋ガに躊躇したんでしょ?」
卓也「(あ然)・・・展開が独創的すぎて思考が追いつかない・・・」
聖子「腋ガなんかエイトフォーで即解決なのに貴男はこんないい女を逃しました」
聖子「一生後悔してください」と言う彼女の股に再度猫が入ってゆく。
股間をくんくんする猫に、
聖子「おいおい、そこの匂いの中毒になったのかい~」
醒めた目で、
卓也「・・・君、将来の夢とかないの?」
遠くを見るような目をして、
聖子「夢かぁ・・・」
聖子「出来たらヒヨコ鑑定士か夜市の金魚屋さんになりたいな~」
卓也「あ~それいいなー」
卓也「君、セックス好き?」
嬉しそうに、
聖子「好きだよ~おじさんは~?」
卓也「セックスは疲れるから好きじゃないな」
聖子「(むっとし)じゃなんで聞いたのよ!」
卓也、すくっと立ちあがる。
卓也がステレオのスイッチを入れるのを聖子がじっと見ている。
流れた♪に耳を傾け、
聖子「・・・あ、これいいかも。なんて曲?」
台所に行きながら、
卓也「パリス・シスターズの『忘れたいのに』って曲。ぼく60年代の洋楽しか興味ないの」
卓也、冷蔵庫を開ける。
中には札束(百万円の束が十個)がぎっしり詰まっているが目もくれない。
猫の鼻を触って、
聖子「この鼻ペチャの猫、なんていう種類?」
氷をガシヤと出し、
卓也「エキゾチックって言うの。ぼくポヨョ~ンとした戦闘的でない顔が好きなのね」
マッサージ機に掛けてスイッチを入れ、
聖子「血統書つきの猫に高価なマッサージ機とは優雅でござるな~」
卓也「ものすごい腰痛持ちでロキソニンとマッサージ機なしじゃ生きられないの」
卓也「はいアイスコーヒー」とアイスコーヒーを手渡す。
聖子「あ、優しい~」
潤んだ目で卓也を見上げ、
聖子「この人たらしー」
卓也「え?・・・」
聖子「あぁぁぁ気持ちいい・・・」と目を閉じて股を開く。
卓也、ぼう然と聖子を見ている。
卓也、欲情の目で股間を見つめる。
目を閉じたまま、
聖子(・・・)
陰毛がはっきり見える股間のアップ。
ゆっくり目を開け、
聖子「・・・この意気地なし。もう知らん!」
ベランダの洗濯物を見て、
聖子「もう服乾いたよね?」
手に持ったパンツを嗅ぎ、
聖子「あーいい匂い~。上等な柔軟剤を使ってんだね」
卓也にパンツを広げて見せ、
聖子「パンツ履いてもいいのかな?」
聖子「こんなチャンスはおじさんの人生でもう2度と巡ってこないよ」
卓也、ぼう然。
聖子、パンツを履く。
玄関から卓也を見て、
聖子「ほんとに帰ってもいいの?」
卓也、ぼう然。
「さいなら」と声を残してドアがバンと閉まる。
猫を抱いてぼう然とドアを見つめ、
卓也(妻の浮気を知った時よりも衝撃的だった・・・)
つづく
四百字詰原稿用紙換算9枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
宮田卓也(50)ポワ―とした天然。一見サラリーマン風で男前ではない。
三田聖子(28)美人。ぶっ飛んだ性格。
N=ナレーション
カーッと晴れた空の絵にN、
N『真夏のカンカン照りのある日――』
卓也宅(1LDK高級マンション)の外観。
注、整然と片付いた十五畳の部屋。一切余計な物は無くマッサージ機、テレビ、小型ステレオ、隅にマットレスだけのベッドがあるのみ。
綺麗に片付いたキッチン回りの絵にN、
N『宮田卓也。50歳。妻に浮気されて半年前に離婚したーー』
Tシャツ、短パン姿の卓也が居眠りしてる子猫を腹に乗せマッサージ機にもたれて読書している絵にN『レクサスのエンジン始動通知メールで妻の浮気を知り探偵と弁護士を雇って一網打尽にしてやった』
腹の上の猫(エキゾチック)の絵に、
N『相手は妻の上司で10年来の関係だったと知った瞬間ぼくの心は壊れて鬱になった・・・』

指で猫のぺちゃんこの鼻を撫でる絵にN『今は退職してのんびり暮らしてるので体調は回復しつつある・・・と思う』
ピンポーンという音にビクッと玄関の方を見てN『・・・半年前に引っ越してここは誰にも知られてないはず。もしや妻がまた復縁を迫りに・・・?』
恐る恐るドアを開けると横から形の良い足がニューと出る。
聖子(28。ノースリーブ、ミニ)が無表情で新体操の選手のように片足を垂直に上げて汗だくで立っている。
無表情で、
聖子「シャワーを使わせてもらえませんか?」N『三田聖子。28歳』
卓也(うっくさっ!腋ガ・・・?)
卓也、あまりの臭さにヨロッとなる。
びっしょり濡れた腋のアップに聖子の声、
「汗だくでもう限界なんですが・・・」
ヨロッと壁に手をつき、
卓也「質問。僕がシャワーを断ったとします」
卓也「そしたらこのマンション中を一軒一軒そうやって回るつもりですか?」
まじまじ見つめ、
聖子「・・・奥さんに浮気されて離婚した?」
卓也「(驚き)な、なんで?!・・・」
聖子「こんな非常時にそんな質問する性格なら愛想つかされて当然だから」
臭さにわなわな震え、
卓也「た、たしかにその腋ガは周りの者には非常時だ・・・」
風呂の戸の前でノースリーブを脱ぎ、
聖子「それを自覚してるから頼んでるんでしょ!」
スカートを脱ぐのをぼう然と見ている卓也に、
聖子「おやおや?ガン見ですか?」
卓也「その・・・困る・・・」
服を脱ぎ散らかした風呂の扉の前にあ然と立つ卓也(ジャーとシャワーの音)。
猫が丸まったパンツに近づく。
恐る恐る嗅ぐ。
「ぐえー」とえずいた猫を見て、
卓也「ハナ!」と慌てる。
クターとなったハナの胸を指で必死に人工呼吸し、
卓也「ハナちゃん、しっかりして!」
カーッと照りつける空の絵。
胸にバスタオルを巻いて部屋に入ってきて、
聖子「あースッキリした」
服を脱いだはずの床を見て、
聖子「・・・私の服は?」
ベランダに干した洗濯物の絵に卓也の声、
「匂いが部屋に染みつくから洗濯した」
無表情で、
聖子「こりゃまたハッキリおっしゃる」
床に足を斜めに崩して座り、
聖子「じゃ乾くまで帰れないって事?」
聖子「それが目的で洗濯した?」と言う彼女の股に猫がくんくんしながらもぐる。
聖子「きゃっ、ザラザラの舌でぺろぺろしちゃダメ~」
卓也「こら、現物を舐めたら心肺停止だぞ」と猫を抱きあげた時に太腿に誠也命と彫った入れ墨に気づく。
聖子「ふーっ、危うくイキかけた・・・ネコの舌ってすごいよね~」
入れ墨を見つめ、
卓也「その誠也なんたら言うのは?」
聖子「もう綺麗さっぱり忘れた」
卓也「男が変わる度に彫ってたら最後には耳なし芳一になっちゃわない?」
聖子、無言で卓也を見つめる。
聖子「だったらオジサンが結婚してよおおおおーーーー」と突然豹変したかのように叫んだので卓也仰天してのけぞる。
聖子「私と結婚したかったら今すぐプロポーズして」
聖子「スリーツーワン、ブー。はい時間切れ」
聖子「腋ガに躊躇したんでしょ?」
卓也「(あ然)・・・展開が独創的すぎて思考が追いつかない・・・」
聖子「腋ガなんかエイトフォーで即解決なのに貴男はこんないい女を逃しました」
聖子「一生後悔してください」と言う彼女の股に再度猫が入ってゆく。
股間をくんくんする猫に、
聖子「おいおい、そこの匂いの中毒になったのかい~」
醒めた目で、
卓也「・・・君、将来の夢とかないの?」
遠くを見るような目をして、
聖子「夢かぁ・・・」
聖子「出来たらヒヨコ鑑定士か夜市の金魚屋さんになりたいな~」
卓也「あ~それいいなー」
卓也「君、セックス好き?」
嬉しそうに、
聖子「好きだよ~おじさんは~?」
卓也「セックスは疲れるから好きじゃないな」
聖子「(むっとし)じゃなんで聞いたのよ!」
卓也、すくっと立ちあがる。
卓也がステレオのスイッチを入れるのを聖子がじっと見ている。
流れた♪に耳を傾け、
聖子「・・・あ、これいいかも。なんて曲?」
台所に行きながら、
卓也「パリス・シスターズの『忘れたいのに』って曲。ぼく60年代の洋楽しか興味ないの」
卓也、冷蔵庫を開ける。
中には札束(百万円の束が十個)がぎっしり詰まっているが目もくれない。
猫の鼻を触って、
聖子「この鼻ペチャの猫、なんていう種類?」
氷をガシヤと出し、
卓也「エキゾチックって言うの。ぼくポヨョ~ンとした戦闘的でない顔が好きなのね」
マッサージ機に掛けてスイッチを入れ、
聖子「血統書つきの猫に高価なマッサージ機とは優雅でござるな~」
卓也「ものすごい腰痛持ちでロキソニンとマッサージ機なしじゃ生きられないの」
卓也「はいアイスコーヒー」とアイスコーヒーを手渡す。
聖子「あ、優しい~」
潤んだ目で卓也を見上げ、
聖子「この人たらしー」
卓也「え?・・・」
聖子「あぁぁぁ気持ちいい・・・」と目を閉じて股を開く。
卓也、ぼう然と聖子を見ている。
卓也、欲情の目で股間を見つめる。
目を閉じたまま、
聖子(・・・)
陰毛がはっきり見える股間のアップ。
ゆっくり目を開け、
聖子「・・・この意気地なし。もう知らん!」
ベランダの洗濯物を見て、
聖子「もう服乾いたよね?」
手に持ったパンツを嗅ぎ、
聖子「あーいい匂い~。上等な柔軟剤を使ってんだね」
卓也にパンツを広げて見せ、
聖子「パンツ履いてもいいのかな?」
聖子「こんなチャンスはおじさんの人生でもう2度と巡ってこないよ」
卓也、ぼう然。
聖子、パンツを履く。
玄関から卓也を見て、
聖子「ほんとに帰ってもいいの?」
卓也、ぼう然。
「さいなら」と声を残してドアがバンと閉まる。
猫を抱いてぼう然とドアを見つめ、
卓也(妻の浮気を知った時よりも衝撃的だった・・・)
つづく