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「わしはすこしも幸せではなかった」…伝説の漫画家・水木しげるの「幸福論」が深すぎた 202312

2023-12-11 01:37:00 | なるほど  ふぅ〜ん

「わしはすこしも幸せではなかった」…伝説の漫画家・水木しげるの「幸福論」が深すぎた
  現代ビジネス より 231211  久坂部 羊


 老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。
 世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれていますが、果たしてそのような絵空事で安心していてよいのでしょうか。

 医師として多くの高齢者に接してきた著者が、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見てきた経験から、初体験の「老い」を失敗しない方法について語ります。
*本記事は、久坂部羊『人はどう老いるのか』📘(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。
⚫︎水木しげる流「幸福論」
 水木しげる氏とは、偶然、知り合う機会があり、晩年に何度かお目にかかりました。
水木サン(これはご本人の一人称でもあるので、そう書かせていただきます)の漫画には、人生や世の中に対する深い洞察があって、私はどの哲学書や教養書よりも強い影響を受けました。

たとえば次のような言葉。

「名前なんて一万年もすればだいたい消えてしまうものだ」

 これは赤穂浪士のように歴史に名前を残して満足する者もいるが、と書かれたあとに続くセリフです(『偶然の神秘』より)。

 少年のころ、有名になりたいと思っていた私は、この一言ではたと気づきました。たしかに一万年前の人間で、名前の残っている者はいない、名前なんてすぐに消えてしまうのだから、有名になることに努力するより、自分の人生を充実させるための努力をしたほうがいい、と。

 また、ある短編では、侍役人がガリ勉をして「昌平校」に入り、同僚が遊んでいてもまじめに貯金し、結婚もし、家も建て、子どもも大学に入れて、万事、将来の幸福に備えますが、臨終の間際にこうつぶやきます。

「わしは少しも幸福ではなかった」

すると、横に控えた妻がこう言うのです。

「あなたは幸福の準備だけなさったのヨ」(『幸福の甘き香り』より)

⚫︎「人生の夕日」という考え方
 なんと含蓄のある言葉でしょう。将来のことを心配し、病気を心配し、お金のことを心配し、仕事のことを心配して、幸福になるためあくせくしている人は、自分ではそうとは気づかず、「準備」にばかり追われているのです。そしてある日、突然、人生の終わりに立たされて、この侍役人のように「味わうことをわすれていたのか」と嘆息することになります。

 老いについては、『昭和史』の第8巻の最後で、ねずみ男が厳しい現代の世相を嘆きながら、「良き老後とはなんなのか そんなものがあるだろうか」とつぶやくと、作中に登場している水木サンがこう返します。

「ねずみ男‼ なんていうことをいうのだ 「老後」というのは思ったよりいいものなんだ(略)『人生の夕日』これがまた意外にいいもんなんだヨ 若いときは成功しようとかなんとか欲があるが すべてが過ぎ去って年をとり 自分が決まって欲がなくなるというのか 今まで気づかなかったいろいろなものが見えてくるのだよ 人間とか 人生とか いや さまざまなことが 今までにない姿で見えてくるのだヨ 若い時のようにくだらぬ邪心が消えているというのか 正に人生は六十からだよ」

 この認識は、真によき老後を言い当てていると思います。ポイントは「欲」とか「邪心」を消し去るということ。成功したいとか、豊かに暮らしたいとか、少しでも得をしたい、損をしたくないとか、そういう思いがあるうちは、人生とか社会のほんとうに大事なことが見えないと、水木サンは言っているのです。

 ほんとうに大事なこととは何か。それは「欲」と「邪心」を未だ捨て切れていない私にはわかりません。できるだけ「自分の都合」を減らしていって、いつかそれがわかる日を楽しみにしています。

 さらに連載記事<「上手に楽に老いている人」と「下手に苦しく老いている人」の意外な違い>では、症状が軽いのに老いに苦しむ人と、そうでない人の実例を紹介しています。

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