「超臨界地熱資源」分布域明らかに 東北大グループ、大出力発電に期待
河北新報 より 220423
秋田県湯沢市の栗駒山麓西部の地下深くにあり、これまで不明確だった「超臨界地熱資源」の分布域を、東北大大学院環境科学研究科の土屋範芳教授(地球工学)らの研究グループが可視化することに成功した。確認された地熱資源は地表近くにある従来の地熱資源よりも高温高圧で、グループは「より大きな出力の発電が可能になる」と期待する。
超臨界地熱資源は火山や地熱地帯で深さ数キロの地層に存在すると推測され、流体でも気体でもない性質を持つ超臨界水(温度374度以上、圧力22メガパスカル以上)があるとされる。
土屋教授と東京工大理学院の研究グループは、栗駒山麓西部の超臨界地熱資源の分布域を割り出すため、地表から深さ20キロまでの地層の電磁波を測定。物質の電気の流れやすさの違いを示す「比抵抗」の値を調べた。
その結果、深さ2.5~6.0キロ、幅3キロ、長さ5キロのエリアに低い比抵抗域があることが判明。地質の分布状況などからマグマのすぐ上にあり、400度超の超臨界地熱貯留層に当たると結論づけ、模式図で可視化した。
今回の調査域内にある東北電力上の岱(うえのたい)地熱発電所(出力2万8000キロワット)など、全国の一般的な地熱発電所の出力は1万~4万キロワット。土屋教授は「今回確認した地熱資源は、従来の地熱発電の数倍に当たる10万キロワットが発電できる可能性がある」と話す。
再生可能エネルギーの一つである地熱は、国内で資源ポテンシャルが高いとされる。グループは今後、鳴子火山群(宮城県大崎市)や葛根田地熱地域(岩手県雫石町)など東北各県の地熱資源域でも同様の調査を進め、脱炭素化への貢献を目指す。