ウォーキング「1日1万歩は歩きすぎ」
週刊女性PRIME [シュージョプライム] より 230303
効率的なウォーキングとは
1日1万歩。ウォーキングで良しとされる基準だ。しかし、歩数より「速さ」と「歩幅」が大事と、74歳の現役医師は身をもって実証している。
いつもより少し速めに歩く、少し遅めに歩く、たまに歩幅を大きくするこの3つを繰り返すだけ。時間がなければ3分の「手抜き歩き」もOK。今日から始められる超効率的ウォーキング!
【最短3分でOK!効果的な3つのウォーキング法
手軽にできる健康法『ウォーキング』。かの木村拓哉も愛犬の散歩がてら連日1万歩近く歩き、《今日も、撮影終わりに8500歩》《帰宅の後に9800歩》などとインスタグラムに投稿している。
⚫︎1日1万歩は歩きすぎの可能性も
ウォーキングの健康効果は大きく、アメリカ・ハーバード大学医学大学院の研究によると、1日あたりの歩数が増加するにつれて死亡率は減少。また高齢女性においては、1日の平均歩数が4400歩とさほど多くない場合でも、1日2700歩の人に比べると死亡率が41%も低い結果になったという。
『1日1万歩』は、ウォーキングにおいて目標値として掲げられることが多い。木村が日々数千歩歩くのもこの“基準”を意識してのことだろう。しかし、じつはウォーキングにおいて1万歩は必要ないという。
「むしろ歩きすぎの可能性もあります」
そう話すのは、74歳で現役医師の鎌田實先生。鎌田先生自身、ウォーキングを日課とし、体重は8キロ減、血圧・血糖値・腰痛・不整脈の改善といった効果を実証している。
「歩きすぎると疲労が身体に残り、免疫機能が低下。無理な動きすぎは活性酸素を生み、老化を早め、かえって病気になりやすくなってしまいます」(鎌田先生、以下同)
研究によると、歩数と健康効果は正比例。しかし、8000歩からは健康効果の向上は見られず、1万2000歩以上はむしろ腰痛や膝痛などマイナス面が見られた。前出のハーバード大の歩数と死亡率についての研究でも、1日7500歩を超えると変化が見られなくなっている。
「私は、おおよそ1日8000歩程度がベストと考えています。ただ……」
1万歩というと“そんなに歩かなきゃいけないの?”と思う人は多いだろう。そして8000歩もそれと“たいして変わらない”という人も。しかし案ずることはない。
「ウォーキングで8000歩を歩こうとしなくても構いません。買い物や通勤などの日常生活のなかで、多くの人はすでに6000〜7000歩は歩いているからです。足りない1000〜2000歩ほどを補えば十分。時間にして10〜15分程度です」
そのうえでより効果的なウォーキングがある。
「私が実践しているのは『速遅歩き』ウォーキングです。漠然と歩くウォーキングに比べて、短時間ではるかに多くの健康メリットが得られます。やり方は“速歩き”と“遅歩き”を交互にするだけです」
歩く速さを変えるとなぜ良いのか。
「スピードに抑揚をつけて歩くと、短時間でも効果的に有酸素運動ができ、心肺機能を高めることができます。筋肉がしっかり働くので筋トレの効果も得られます」
⚫︎健康効果が高まる2種類の歩き方
鎌田先生の速遅歩きの“速歩き”は2種類に分かれる。
「速歩きは、大股で歩く“幅広歩行”、そして脚の回転数(ピッチ)を上げる“ピッチ歩行”の2つ。2種類の歩き方に分けることで、さらに健康効果が高まります」
2つの速歩きの具体的なやり方は以下のとおり。
「幅広歩行は、いつもより歩幅を10cm広げて歩きます。速さは普段どおり。下半身をダイナミックに動かすので、筋力の強化と股関節のストレッチに。両腕は振り子のようにリズムよく大きく振って歩くと、全身の運動にもなり、より効果的です。広げる歩幅は最初は5センチ程度で、慣れてきてから10cmという形でも構いません」
歩幅は健康面で重要。認知症のリスク(認知機能低下が発生するリスク)に大きく関わっていることが研究により明らかになっている。
「歩幅の広い人のグループと狭い人のグループで比較してみると、男性では2.3倍、歩幅の狭い人のほうが認知症になるリスクが高い。女性の場合、差はさらに大きく、歩幅の狭い人のほうが5.8倍という研究結果があります」
このデータ、東京都健康長寿医療センター研究所が70歳以上の男女を3年間追跡調査した結果。普段から幅広歩行をウォーキングに取り入れることは、認知機能のために非常に効果的といえる。
続いて、いつもより、“右、左”と脚を出すピッチを速くするピッチ歩行。
「ピッチ歩行は歩幅はいつもどおりで、脚の回転数を上げる。競歩のようなイメージです。ピッチを上げるメリットは、身体に負荷がかかることで酸素を取り込む力が増えて心肺機能が高まる。また下半身の筋肉が強化されます。太ももの筋肉、第2の心臓ともいわれるふくらはぎの筋肉がしっかり使われます」
速歩きの次は遅歩きだ。
「速度はかなりゆっくりで構いません。歩幅はいつもどおり。腹式呼吸を意識することをおすすめします。速歩きで少し上がった息がしだいに整い、ゆったりとした呼吸を続けているうちに副交感神経を刺激することができます。普通の歩き方より強度を高めた速歩きで交感神経が、遅歩きでは副交感神経が刺激されるので自律神経が整います」
鎌田先生はこの3つの歩き方を組み合わせた速遅歩きを15分行っている。
●幅広歩行=1分
●ピッチ歩行=1分
●幅広歩行=1分
これが1セット。その後、
●遅歩き=3分
1セット歩いたら遅歩きを挟み、2セット目→遅歩き2回目→3セット目。以上で合計15分となる。
3つの歩き方を繰り返すだけ、時間は15分程度と非常に簡単だが、“続かない”、“速歩きは疲れて無理そう”という人もいるかもしれない。鎌田先生は、「それ以下でも大丈夫」と話す。
「始めたばかりの人や時間がない、体力がないという人は“手抜き速遅歩き”がおすすめです。所要時間は5分。幅広歩行=1分、ピッチ歩行=1分、遅歩き=1分。その後再び幅広歩行=1分、ピッチ歩行=1分で終了です」
1日5分なら多くの人が日常に取り入れられるだろう。
「ウォーキングは無理せず続けることが大切です。駅から自宅までの道を速遅歩きする。スーパーに買い物に行く道のりでもいいですし、店内で品物を選びながらでもいい。速歩きのスピードや歩幅もこのくらいの速さ・大きさが必要なんだと厳しく考える必要はありません。普段の自分より速めかな、大きめかなと意識するだけでもいい。これで高齢者の方も無理なく続けられるはずです」
【最短3分でOK!効果的な3つのウォーキング法
手軽にできる健康法『ウォーキング』。かの木村拓哉も愛犬の散歩がてら連日1万歩近く歩き、《今日も、撮影終わりに8500歩》《帰宅の後に9800歩》などとインスタグラムに投稿している。
⚫︎1日1万歩は歩きすぎの可能性も
ウォーキングの健康効果は大きく、アメリカ・ハーバード大学医学大学院の研究によると、1日あたりの歩数が増加するにつれて死亡率は減少。また高齢女性においては、1日の平均歩数が4400歩とさほど多くない場合でも、1日2700歩の人に比べると死亡率が41%も低い結果になったという。
『1日1万歩』は、ウォーキングにおいて目標値として掲げられることが多い。木村が日々数千歩歩くのもこの“基準”を意識してのことだろう。しかし、じつはウォーキングにおいて1万歩は必要ないという。
「むしろ歩きすぎの可能性もあります」
そう話すのは、74歳で現役医師の鎌田實先生。鎌田先生自身、ウォーキングを日課とし、体重は8キロ減、血圧・血糖値・腰痛・不整脈の改善といった効果を実証している。
「歩きすぎると疲労が身体に残り、免疫機能が低下。無理な動きすぎは活性酸素を生み、老化を早め、かえって病気になりやすくなってしまいます」(鎌田先生、以下同)
研究によると、歩数と健康効果は正比例。しかし、8000歩からは健康効果の向上は見られず、1万2000歩以上はむしろ腰痛や膝痛などマイナス面が見られた。前出のハーバード大の歩数と死亡率についての研究でも、1日7500歩を超えると変化が見られなくなっている。
「私は、おおよそ1日8000歩程度がベストと考えています。ただ……」
1万歩というと“そんなに歩かなきゃいけないの?”と思う人は多いだろう。そして8000歩もそれと“たいして変わらない”という人も。しかし案ずることはない。
「ウォーキングで8000歩を歩こうとしなくても構いません。買い物や通勤などの日常生活のなかで、多くの人はすでに6000〜7000歩は歩いているからです。足りない1000〜2000歩ほどを補えば十分。時間にして10〜15分程度です」
そのうえでより効果的なウォーキングがある。
「私が実践しているのは『速遅歩き』ウォーキングです。漠然と歩くウォーキングに比べて、短時間ではるかに多くの健康メリットが得られます。やり方は“速歩き”と“遅歩き”を交互にするだけです」
歩く速さを変えるとなぜ良いのか。
「スピードに抑揚をつけて歩くと、短時間でも効果的に有酸素運動ができ、心肺機能を高めることができます。筋肉がしっかり働くので筋トレの効果も得られます」
⚫︎健康効果が高まる2種類の歩き方
鎌田先生の速遅歩きの“速歩き”は2種類に分かれる。
「速歩きは、大股で歩く“幅広歩行”、そして脚の回転数(ピッチ)を上げる“ピッチ歩行”の2つ。2種類の歩き方に分けることで、さらに健康効果が高まります」
2つの速歩きの具体的なやり方は以下のとおり。
「幅広歩行は、いつもより歩幅を10cm広げて歩きます。速さは普段どおり。下半身をダイナミックに動かすので、筋力の強化と股関節のストレッチに。両腕は振り子のようにリズムよく大きく振って歩くと、全身の運動にもなり、より効果的です。広げる歩幅は最初は5センチ程度で、慣れてきてから10cmという形でも構いません」
歩幅は健康面で重要。認知症のリスク(認知機能低下が発生するリスク)に大きく関わっていることが研究により明らかになっている。
「歩幅の広い人のグループと狭い人のグループで比較してみると、男性では2.3倍、歩幅の狭い人のほうが認知症になるリスクが高い。女性の場合、差はさらに大きく、歩幅の狭い人のほうが5.8倍という研究結果があります」
このデータ、東京都健康長寿医療センター研究所が70歳以上の男女を3年間追跡調査した結果。普段から幅広歩行をウォーキングに取り入れることは、認知機能のために非常に効果的といえる。
続いて、いつもより、“右、左”と脚を出すピッチを速くするピッチ歩行。
「ピッチ歩行は歩幅はいつもどおりで、脚の回転数を上げる。競歩のようなイメージです。ピッチを上げるメリットは、身体に負荷がかかることで酸素を取り込む力が増えて心肺機能が高まる。また下半身の筋肉が強化されます。太ももの筋肉、第2の心臓ともいわれるふくらはぎの筋肉がしっかり使われます」
速歩きの次は遅歩きだ。
「速度はかなりゆっくりで構いません。歩幅はいつもどおり。腹式呼吸を意識することをおすすめします。速歩きで少し上がった息がしだいに整い、ゆったりとした呼吸を続けているうちに副交感神経を刺激することができます。普通の歩き方より強度を高めた速歩きで交感神経が、遅歩きでは副交感神経が刺激されるので自律神経が整います」
鎌田先生はこの3つの歩き方を組み合わせた速遅歩きを15分行っている。
●幅広歩行=1分
●ピッチ歩行=1分
●幅広歩行=1分
これが1セット。その後、
●遅歩き=3分
1セット歩いたら遅歩きを挟み、2セット目→遅歩き2回目→3セット目。以上で合計15分となる。
3つの歩き方を繰り返すだけ、時間は15分程度と非常に簡単だが、“続かない”、“速歩きは疲れて無理そう”という人もいるかもしれない。鎌田先生は、「それ以下でも大丈夫」と話す。
「始めたばかりの人や時間がない、体力がないという人は“手抜き速遅歩き”がおすすめです。所要時間は5分。幅広歩行=1分、ピッチ歩行=1分、遅歩き=1分。その後再び幅広歩行=1分、ピッチ歩行=1分で終了です」
1日5分なら多くの人が日常に取り入れられるだろう。
「ウォーキングは無理せず続けることが大切です。駅から自宅までの道を速遅歩きする。スーパーに買い物に行く道のりでもいいですし、店内で品物を選びながらでもいい。速歩きのスピードや歩幅もこのくらいの速さ・大きさが必要なんだと厳しく考える必要はありません。普段の自分より速めかな、大きめかなと意識するだけでもいい。これで高齢者の方も無理なく続けられるはずです」