小中学生も分かる!簡単そうでも奥深い「数学の未解決問題」3選
kusuguru.inc ナゾロジー より 200927
ここ数十年の間、「数学の未解決問題」が話題になる機会が多くなっています。
1990 年代には 17 世紀から未解決だった超難問のフェルマー予想が解決、2000 年代にはミレニアム懸賞問題として有名なポアンカレ予想が解決、そして最近では ABC 予想解決の ニュースが世間を賑わせました。
しかし、まだまだ「数学の謎は全て解けた!」なんてことはなく、未解決問題は多数残されています。中には、問題自体は小中学生でも十分理解できるものもあるのです。
今回は、そんな「一見簡単そうな未解決問題」を紹介。
目次
ゴールドバッハ予想
コラッツ予想
(n の 2 乗)+1 の形の素数
⚫︎ゴールドバッハ予想
【ゴールドバッハ予想】
4 以上の全ての偶数は、二つの素数の和で表すことができる。
kusuguru.inc ナゾロジー より 200927
ここ数十年の間、「数学の未解決問題」が話題になる機会が多くなっています。
1990 年代には 17 世紀から未解決だった超難問のフェルマー予想が解決、2000 年代にはミレニアム懸賞問題として有名なポアンカレ予想が解決、そして最近では ABC 予想解決の ニュースが世間を賑わせました。
しかし、まだまだ「数学の謎は全て解けた!」なんてことはなく、未解決問題は多数残されています。中には、問題自体は小中学生でも十分理解できるものもあるのです。
今回は、そんな「一見簡単そうな未解決問題」を紹介。
目次
ゴールドバッハ予想
コラッツ予想
(n の 2 乗)+1 の形の素数
⚫︎ゴールドバッハ予想
【ゴールドバッハ予想】
4 以上の全ての偶数は、二つの素数の和で表すことができる。

素数とは「1 より大きい整数で、正の約数が 1 と自分自身だけのもの」のことです。例えば、2 や 3 や 5 は素数ですが、6 は 2 と 3 を約数に持つので素数ではありません。
では、ゴールドバッハ予想の具体例を見てみましょう。
4 = 2+2
6 = 3+3
8 = 3+5
10 = 5+5 = 3+7
12 = 5+7
14 = 3+11 = 7+7
このように「4 以上の偶数は、必ず二つの素数の和で表すことができるだろう」というのがゴールドバッハ予想です。ぜひ、16 以上の偶数でも確認してみてください。
ゴールドバッハ予想は非常にシンプルな予想ですが、250 年以上も未解決の問題です。4000000000000000000(400京) 以下の偶数で、この予想が成立することがコンピュータで確認されています。
しかし、どれだけ大きな数まで、予想の成立を確認できても、予想が証明されたことにはなりません。なぜならば、その先に反例(予想が成立しない例)が存在する可能性があるからです。
ゴールドバッハ予想が相手にしているのは「全ての偶数」。無限に存在しています。どんなに大きな数でも、結局は無限に比べたら小さな有限の数でしかありません。
⚫︎コラッツ予想
【コラッツ予想】
任意の正の整数 n を選ぶ。n が偶数であれば 2 で割り、n が奇数であれば 3 を掛けて 1 を足す。この操作を繰り返すと、どのような n から始めても有限回の操作 で 1 に到達する。
一見難しそうに見えますが、具体的な数で試してみると案外わかりやすい予想です。実際に試してみましょう。
6 からスタートしてみます。6 は偶数なので、2 で割ると 3 になります。3 は奇数 なので、3 を掛けて 1 を足すと 10 になります。10 は偶数なので、2 で割ると 5 になります。5 は奇数なので、3 を掛けて 1 を足すと 16 になります。こんな風に続けていくと、
6 → 3 → 10 → 5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1
となり、1 に到達するのです。
このように「どんな正の整数からスタートしても、 有限回の操作で必ず 1 に到達するであろう」というのがコラッツ予想です。ぜひ、 6 以外の数でも試してみてください。
ゴールドバッハ予想同様、コラッツ予想についても、非常に大きな整数まで成つ立つことがコンピュータで確認されていますが、証明には至っていません。
また、2019 年に、天才数学者テレンス・タオがコラッツ予想に関する論文を出したことが話題になりました。もしかしたら、解決の日は近いのかもしれません。
⚫︎(n の 2 乗)+1 の形の素数
(n の 2 乗)+1 の形の素数について考える前に、以下の素数についても考えてみます。
【4n + 1 の形の素数】
4n + 1(n は正の整数)の形で表される素数は無限に存在するか?
言葉では少し難解なので、具体例を挙げてみましょう。
5 = 4×1+1
13 = 4×3+1
17 = 4×4+1
29 = 4×7+1
37 = 4×9+1
このような「4n+1 の形で表される素数」は無限に存在するのでしょうか?
実は、 これは既に「無限に存在する」ということが証明済み。4n+1 の形だけでなく、3n+1 や 8n+5 や 20n+9 でも、同様のことが証明されています。
どれも「ディリクレの算術級数定理」という有名な定理の具体例です。
では、(n の 2 乗)+1 の形の素数についても考えてみましょう。
【n 2 + 1 の形の素数】
n 2 + 1(n は正の整数)の形で表される素数は無限に存在するか?
具体例を挙げてみます。
12+1 = 222+1 = 5
42+1 = 17
62+1 = 37
102+1 = 101
このような「(n の 2 乗)+1 の形で表される素数」は無限に存在するのでしょうか?4n + 1 の形の素数と同様、式は非常にシンプルですが、不思議なことに、こちらの問題は未解決なのです。
紀元前から素数の研究は行われているのにも関わらず、こんなにシンプルな形の素数に関する問題が 21 世紀になっても未解決とは…数学は恐ろしい学問です。
⚫︎今回紹介した予想は、意外にも問題自体は簡単に理解できてしまうものばかり。 しかし、未解決の超難問です。
もしかすると、これらの予想の裏側には、壮大な数学の新理論が隠されているかもしれません!
ぜひ、ご自身で具体例を計算してみてください。数学の不思議さや面白さを感じられると思います。親子で自由研究として試してみても良いかもしれません。考え続けてみたら、自らの内に秘めた数学の才能が開花するかも…?
reference: 加藤和也『数論への招待』 / written by みのきち
では、ゴールドバッハ予想の具体例を見てみましょう。
4 = 2+2
6 = 3+3
8 = 3+5
10 = 5+5 = 3+7
12 = 5+7
14 = 3+11 = 7+7
このように「4 以上の偶数は、必ず二つの素数の和で表すことができるだろう」というのがゴールドバッハ予想です。ぜひ、16 以上の偶数でも確認してみてください。
ゴールドバッハ予想は非常にシンプルな予想ですが、250 年以上も未解決の問題です。4000000000000000000(400京) 以下の偶数で、この予想が成立することがコンピュータで確認されています。
しかし、どれだけ大きな数まで、予想の成立を確認できても、予想が証明されたことにはなりません。なぜならば、その先に反例(予想が成立しない例)が存在する可能性があるからです。
ゴールドバッハ予想が相手にしているのは「全ての偶数」。無限に存在しています。どんなに大きな数でも、結局は無限に比べたら小さな有限の数でしかありません。
⚫︎コラッツ予想
【コラッツ予想】
任意の正の整数 n を選ぶ。n が偶数であれば 2 で割り、n が奇数であれば 3 を掛けて 1 を足す。この操作を繰り返すと、どのような n から始めても有限回の操作 で 1 に到達する。
一見難しそうに見えますが、具体的な数で試してみると案外わかりやすい予想です。実際に試してみましょう。
6 からスタートしてみます。6 は偶数なので、2 で割ると 3 になります。3 は奇数 なので、3 を掛けて 1 を足すと 10 になります。10 は偶数なので、2 で割ると 5 になります。5 は奇数なので、3 を掛けて 1 を足すと 16 になります。こんな風に続けていくと、
6 → 3 → 10 → 5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1
となり、1 に到達するのです。
このように「どんな正の整数からスタートしても、 有限回の操作で必ず 1 に到達するであろう」というのがコラッツ予想です。ぜひ、 6 以外の数でも試してみてください。
ゴールドバッハ予想同様、コラッツ予想についても、非常に大きな整数まで成つ立つことがコンピュータで確認されていますが、証明には至っていません。
また、2019 年に、天才数学者テレンス・タオがコラッツ予想に関する論文を出したことが話題になりました。もしかしたら、解決の日は近いのかもしれません。
⚫︎(n の 2 乗)+1 の形の素数
(n の 2 乗)+1 の形の素数について考える前に、以下の素数についても考えてみます。
【4n + 1 の形の素数】
4n + 1(n は正の整数)の形で表される素数は無限に存在するか?
言葉では少し難解なので、具体例を挙げてみましょう。
5 = 4×1+1
13 = 4×3+1
17 = 4×4+1
29 = 4×7+1
37 = 4×9+1
このような「4n+1 の形で表される素数」は無限に存在するのでしょうか?
実は、 これは既に「無限に存在する」ということが証明済み。4n+1 の形だけでなく、3n+1 や 8n+5 や 20n+9 でも、同様のことが証明されています。
どれも「ディリクレの算術級数定理」という有名な定理の具体例です。
では、(n の 2 乗)+1 の形の素数についても考えてみましょう。
【n 2 + 1 の形の素数】
n 2 + 1(n は正の整数)の形で表される素数は無限に存在するか?
具体例を挙げてみます。
12+1 = 222+1 = 5
42+1 = 17
62+1 = 37
102+1 = 101
このような「(n の 2 乗)+1 の形で表される素数」は無限に存在するのでしょうか?4n + 1 の形の素数と同様、式は非常にシンプルですが、不思議なことに、こちらの問題は未解決なのです。
紀元前から素数の研究は行われているのにも関わらず、こんなにシンプルな形の素数に関する問題が 21 世紀になっても未解決とは…数学は恐ろしい学問です。
⚫︎今回紹介した予想は、意外にも問題自体は簡単に理解できてしまうものばかり。 しかし、未解決の超難問です。
もしかすると、これらの予想の裏側には、壮大な数学の新理論が隠されているかもしれません!
ぜひ、ご自身で具体例を計算してみてください。数学の不思議さや面白さを感じられると思います。親子で自由研究として試してみても良いかもしれません。考え続けてみたら、自らの内に秘めた数学の才能が開花するかも…?
reference: 加藤和也『数論への招待』 / written by みのきち