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🎓 IBMが考える未来予想図--研究者が語るテクノロジーの過去・現在・未来  ‘20/09

2020-09-07 23:23:00 | 📚 豆知識・雑学
IBMが考える未来予想図--研究者が語るテクノロジーの過去・現在・未来
  ZDnet より 200907 大河原克行

 日本IBMは9月3~4日、ユーザー向けオンラインイベント「Think Summit Japan」を開催。2日目最後のセッションとして行われた執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当の森本典繁氏が「IBMが考える未来予想図」と題して講演し、IBMがテクノロジーの価値を広く多くの人々に届けることで創造する近未来について顧客との共創事例などを含めて紹介した。

 森本氏は冒頭で、1890年にIBMが米国初の計算機による国勢調査集計システムを開発したことを皮切りに、1964年の「システム360」をはじめ数々のコンピューターを開発してきた経緯や、磁気ディスク記憶装置、世界初の高水準言語であるFORTLAN、DRAMやフロッピーディスクなどを開発してきたこと、そして、昨今では量子コンピューターやAI(人工知能)の開発でもリードしていることを約1分間のビデオで紹介した。

 同氏は、「先人たちが創造した未来社会は多くの人の情熱とテクノロジーによって実現されている。今享受されている便利さもテクノロジーによってもたらされている」とした。
「ITを支える基本技術の多くはIBMによって生み出されている。半導体や記憶装置、コンピューター、プログラミング言語などを開発し、創業以来多くのイノベーションを起こし、新たな可能性を築いてきた。
 米国での特許取得数は27年連続1位で、ノーベル賞も6人、チューリング賞受賞者も多く輩出し、全米発明殿堂入りした社員もいる」と、同社のテクノロジーへの取り組みに触れ、「テクノロジーは継続的な探求と研究から生み出され発明で形として残され技術や製品となり社会に還元されている」と述べた。

 日本におけるIBMのテクノロジー開発や活用のトピックスを紹介した森本氏は、「1964年の東京五輪では五輪史上初の競技結果や各国のメダル獲得数をリアルタイムに集計し即時報道された。数カ月を要した公式報告書も閉会式の日に完成させ世界を驚かせた。
 リアルタイムオンライン競技速報システムを構築したのは日本IBMの技術者たちで、1965年に当時の三井銀行に日本初のオンライン勘定システムとして導入され、世界中で銀行のオンライン化を進める契機になった」した。

 また、1981年にはIBM PCを発表し、現在のPCの原型となる基本アーキテクチャーを作った。大和研究所が基幹開発拠点としてPC開発を本格化させ、1992年に発売されたThinkPadは日本発の製品だ。創立100周年を迎えた2011年には、IBMのAIである「Watson」が、クイズの世界王者に勝利したが、ここでは東京基礎研究所の研究者らが、自然言語処理などの分野で参加した。

 今回のセッションでは、「環境」「食料」「新型コロナウイルス」「自由」「高齢社会」「人智」「量子」の7テーマでテクノロジーへの取り組みに触れながら、日本IBMや東京基礎研究所、米IBM Researchなどで働く日本人技術者の活躍などについて紹介された。

 環境では、廃棄プラスチック問題を解決するためにプラスチックリサイクル技術「VolCat」を開発し、新興国を対象にしたプラスチックバンクの展開では、ブロックチェーンを活用して廃棄プラスチックを仮想通貨に変える取り組みを開始しているという。
 海洋汚染と貧困層の救済の2つの課題解決に乗り出し、食品廃棄の課題では「IBM Food Trust」によって、食品消費や需要予測の精度を高めて解決するといったアプローチを行っている。

 新型コロナウイルス感染症対策では、米国ホワイトハウス科学技術政策局、米国エネルギー省とともに「COVID-19 High Performance Computing Consortium」を発足させ、研究を支援する。スーパーコンピューター「Summit」が、数日で8000種類の化合物のシミュレーションを実施し、効果が期待される77種類の化合物を発見した例も紹介された。

 IBM Researchに勤務する小山尚彦氏は、ゲノム解析のアプローチで新型コロナウイルス対策にいち早く取り組んだという。「1月12日に初めてゲノムが公開され、その後に情報が増加し、5月には1万22種類を解析して6つの型と14のサブタイプを発見した。変容を注意深く見ることはワクチン開発にとって重要」とした。

 ここでは、遺伝子変異可視化ソリューションを活用する。IBM Garageの吉田映彦氏は、「研究者が加工した遺伝子変異の情報を読み込み、ウェブアプリケーションで可視化している。遺伝子の傾向が一目で分かるビューを作成し、遺伝子の詳細を深堀するための詳細ビューを用意した」と話し、同ソリューションがデザインの力を得て実用的なツールになっていることを示した。
 小山氏は、「がんでも寿命を全うできるような社会にしたい。再生医療により輸血や臓器移植が簡単に行える社会にしたい。また、人口を支えるために食糧問題の解決にも取り組みたい」と述べた。

 自由では、視覚障碍者をはじめ社会的弱者への取り組みに触れた。アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、三菱自動車と設立した「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」が、視覚障碍者の移動を支援するAIスーツケースを開発し、社会実装を開始している。
 また超高齢化社会への対応では、2025年に65歳以上の5人に1人が認知症になるといったデータを示し、IBM東京基礎研究所 アクセシブリティ&ヘルスケアシニアマネージャーの高木啓伸氏は、「ITが若い時期から日常を見守り助言するなど生涯に渡ってサポートすることで高齢者の生活の質を大きく向上させられる」と説明。
 高齢者の認知機能や身体機能を日常的な行動やデータから把握し、評価をしていく研究を始めているといい、「これが人生を見守る技術になる。サイエンスに基づいた研究活動をもとに社会実装を行い、社会貢献をしていくことを目指す」(高木氏)とした。

 日本IBMは、筑波大学と共同でAIやIoTを活用し、歩行や会話などの日常動作から認知症の早期発見を行う技術も開発している。

 人智ではAIを挙げ、同社の取り組みは多様なタスクやドメインに対応する「Broad AI」であるとし、少量データで学習が可能で、正解のない環境で最善の策を推論するのが特徴だとする。
 ここでは時系列データを扱える人工ニューラルネットワークのダイナミック・ボルツマンマシンを活用。東京基礎研究所の恐神貴行氏が中心となったメンバーがこれに取り組み、みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行とともに、市場予兆管理ツールを開発したという。

 また、コナミのビデオゲーム「スーパーボンバーマンR」を使用して新たなAIを研究しているといい、これ取り組む東京基礎研究所の高橋俊博氏は、リアルタイムに深く先読みをするAIを開発し、世界最高峰のAIコンペティテションでも優勝した経験を持つという。

 IBMのAIは、チェスや囲碁のチャンピオンを撃破してきたが、ビデオゲームの攻略は、これらと比べても難易度が高いという。高橋氏は、「悲観的シナリオを考慮し、その中でアクションできるAIを開発した。難しいタスクを提示し、それをより良く解けるような過程を通してAIを発展させてきた。ボンバーマンはいい題材。
この成果を産業応用にもつなげたい」とコメント。コナミデジタルエンタテインメント 制作支援本部技術開発部の岩倉宏介氏は、「悲観的シナリオの活用で、短期的な戦術と長期的な戦略を併せ持つゲームにおいて複数の問題を解決している。ゲームをプレイするAIが登場することで、人とAIが共存する一歩になることを楽しみにしている」と述べた。

 最後に、量子コンピューターに触れた。IBMは、2016年からクラウドを通じて量子コンピューターを利用できるようにしている。現時点で「IBM Q」を22台設置し世界で25万人が利用しているという。量子ボリューム64の性能を達成しており、化学、最適化、AI、シミュレーション、気候変動、クリーンエネルギーなどの領域での利用が期待されている。
 IBM東京基礎研究所の今道貴司氏は、「量子コンピューターは、アルゴリズムとデバイスの両面での開発が活発化することで、さまざまな産業で応用される可能性がある。従来のコンピューターでは困難だった計算が可能になることが研究者として魅力を感じる部分」とした。

 ここではパートナー連携が重要だとしながら、2018年5月に慶應義塾大学に設置した「IBM Q ネットワークハブ」には4社が参加し、金融や化学分野で成果を挙げていること、2020年7月には東京大学などともに量子コンピューターイニシアティブ協議会を設立し、金融、化学、電機、情報、エネルギーなどの分野の企業が垣根を超えて活動する予定だと話した。

 また、量子コンピューターの人材育成に触れ、若い世代の教育を支援していることを紹介。IBM東京基礎研究所の金澤直輝氏は、「最初から量子コンピューターを学んできた若い人たちが他の物理現象をどうとらえるのか。そうした議論もしたい」と述べた。

 最後に森本氏が再び登場し、「未来は私たちが過ごしてきた時間の積み重ね。IBMはよりよい未来のために、みなさんと一緒に挑戦を続けていく」と締めくくった。

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