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ノーベル賞の影で深刻な「日本の科学に金がない問題」。解決のヒントは「推し活」にあり? 202210

2022-10-06 18:45:16 | 気になる モノ・コト

ノーベル賞の影で深刻な「日本の科学に金がない問題」。解決のヒントは「推し活」にあり?
  ビジネスインサイド より 221006 三ツ村 崇志

 本記事は、 2022年7月21日に公開した記事を再掲したものです。


 研究分野への支援に特化したクラウドファンディングサイト「academist」。思い思いの研究テーマが並ぶ。
 がん細胞のDNA修復を抑える抗がん剤をつくりたい。
 花粉の出ないスギで林業の発展と花粉症の緩和に貢献したい。
 イカの頭にある『石』からルーツを読み解く——

 国内で唯一存在する研究分野への支援に特化したクラウドファンディングサイト「academist(以下、アカデミスト)」では、研究者がそれぞれ思い思いの言葉で自らの研究テーマの魅力を語っている。

 クラウドファンディングの目標金額は数十万円のものから、100万円を超えるものまでさまざま。支援者の中には特定の研究者のプロジェクトを何度も支援したり、毎月継続的に支援したりするコアなファンもいる。
 まるで「推し活」さながらだ。

 アカデミスト代表の柴藤亮介氏は、
「研究者はこれまで公的資金で研究してきました。ただ、経済がシュリンクしている現状では、研究資金を集める上で新しいスタイルを作っていく必要があります」
 と、クラウドファンディングによる研究資金調達を支援する理由を語る。

クラファン通じて研究への「共感者」を増やす  
  アカデミスト代表の柴藤亮介氏。
 日本では、特定の研究分野への予算の「選択と集中」を背景に、幅広い基礎研究の分野に対して研究資金が配分されにくい状況が長らく課題として指摘されている。クラウドファンディングによる研究資金の調達が増えてきた背景のひとつだ。

 6月には、ブラックホールの姿を捉える国際プロジェクトEvent Horizon Telescope(EHT)にも参画している国立天文台VLBI水沢観測所が資金難からクラウドファンディングを実施。総額3000万円を超える資金の調達に成功したことは大きく注目された。
 国立天文台が利用したクラウドファンディングプラットフォームの「READYFOR」は、幅広い分野のクラウドファンディングを実施する中で培ってきた資金調達能力を生かし、研究分野の資金調達をサポート。
 学術系クラウドファンディングに限ると、平均支援額は約650万円と比較的高額で(研究関連の総支援金額は約14億)、国立天文台のような比較的ビッグプロジェクトへの支援が目立つ。

 2016年と2018年の2度実施した国立博物館の『3万年前の航海 徹底再現プロジェクト』では、総額約6000万円が集まった。

 一方、アカデミストは研究分野に特化するプラットフォームとして、若手の研究者への支援や専門性が高いよりニッチな研究分野への支援などが多い印象だ。平均支援額も100〜150万円程度で、2014年の創業から2021年3月までに2億円を超える支援を実施してきた。

 両社は支援規模こそ違うが、研究分野に対してそれぞれ異なる役割を果たしていると言える。
 柴藤氏は、
「発想が新しくて研究費がなかなか下りない人や、あと少し実験ができればそういった申請を出すためのきっかけになりうるアイディアを試せる。そういう資金として使ってもらっています」
と、Business Insider Japanの取材に対して支援の考え方を語る。

 その一方で、単に不足しがちな研究費をサポートすることだけを目指しているわけではないとも話す。
「それ以上に、研究者が自分で研究ビジョンを発信して、そこに共感する方々を増やしていくこと。これがアカデミスト設立の目的なんです。研究者、特に若手が『研究で明らかにしたいこと』や『どういう社会課題を解決したいのか』という“大きな絵”を、もっと多くの人に知ってもらいたい」(柴藤氏)
 実は、クラウドファンディングに注目した理由もそこにある。

⚫︎科学者が「推し」になる意味

 アカデミストで実施しているクラウドファンディングの分野の内訳。自然科学系が多い。
提供:アカデミスト
「研究を魅力的に伝えれば伝えるほど、『ファン』の方が支援をしてくれて、研究者と密な関係性になる。資金の流れが介在すれば、研究者と社会の関係性が継続的になるんじゃないかという仮説があったんです」(柴藤氏)

 研究成果を一般向けに説明する「アウトリーチ活動」に取り組む研究者は多い。しかし、講演会を1度やっただけで、研究資金を寄付してもらえるほどのファンになってもらえることはなかなかない。
「こんな研究をやりたい」「今研究がこんな状態なんです」
 アカデミストでは、そういった研究者の現状をできる限りオープンに発信していくことで、その研究者自身や研究テーマが、多くの人や企業などから「推される」(支援される)状況を目指す。
「公的資金もあるし、クラウドファンディングもある。もしかしたら企業と一緒にやれることもあるかもしれない。そういう可能性を広げるイメージをもってクラウドファンディングを始めました」(柴藤氏)

 アカデミストによる支援の可否を決める判断基準として、「研究者自身が研究の先にあるビジョンを語れるかどうか」を重視しているのも、研究者自身や研究テーマのファンを作ることが重要であるからにほかならない(※)。

※アカデミストでは、社内でプロジェクトの可否を審査する部門があることに加えて、クラウドファンディングを実施する上でPh.Dを持つ専門家の「推薦者」を必要とするなどの審査基準を設けている。

 国立天文台のクラウドファンディングを実施していた本間希樹教授も、以前Business Insider Japanの取材に対して、
「やっぱり今回のクラファンだけで何か解決したとは思っていません。こういう状況をいろんな形でアピールしていくことで、世の中の風向きが変わるということに期待しています」(国立天文台・本間希樹教授)
と、クラウドファンディングを通じて、研究予算の配分という課題に対する社会の関心に変化が起きることに期待を寄せていた。

 日本では、研究予算の「選択と集中」に対する批判をよく耳にする。

 ただ、柴藤氏はこの課題を解決するには、アカデミア以外にもこの問題に関心を持つ人を増やしていかなければならないと指摘する。クラウドファンディングは、そういった課題について考える場を作るための1つのヒントなのだ。

 アカデミストでは2018年頃から月額の「サブスクリプション」のような形で研究者を継続して支援する取り組みをスタートしている。最小で月額330円から研究者を「推す」ことができる。研究者は研究の経過報告などをリターンとして継続的に提供する。
 これも、研究者とそれを応援する人のコミュニティを継続的な関係にするために考えられた仕組みだ。

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