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🧬 人間はセントラルドグマを逆行出来る可能性があると明らかに  202106

2021-06-16 17:29:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

人間は「セントラルドグマ」を逆行できる可能性があると明らかに! RNAからDNAを作ることに成功
     ナゾロジー より 210616 川勝康弘
                Credit:Canva . ナゾロジー編集部

⚫︎人間の細胞もRNA配列を元にDNAを合成する能力があるようです。
 6月11日にトーマスジェファーソン大学の研究者たちにより『Science Advances』に掲載された論文によれば、人間の細胞にも存在する「ポリメラーゼ・シータ」はRNA配列からDNAを合成できる可能性があるとのこと。

 RNAからDNAが作られるという結果は、既存のセントラルドグマの流れを逆行できる可能性があり、生物学全体に大きな影響を与えることになるでしょう。

 しかし、いったいどんな理由で、人間の細胞に逆転写能力が必要とされていたのでしょうか?

⚫︎目次
DNA合成の劣等生には秘密があった
RNA配列を元にDNAを修復する
RNAとポリメラーゼ・シータを用いた新たな治療薬

⚫︎DNA合成の劣等生には秘密があった
 研究は長年の疑問からはじまりました。
生命にとってDNAの正確な複製は細胞分裂を行うにあたって必須です。
 しかし哺乳類に存在する14種類のDNA合成酵素(ポリメラーゼ)のうちの1つである「ポリメラーゼ・シータ」はDNAの合成が下手でした。

 ポリメラーゼ・シータを使ったDNA合成はとにかく間違いが多かったのです。
なぜこのような劣等生が精度を求められるDNA合成酵素として存在するのか?
これまでの研究では詳しい理由はわかっていませんでした。

 そこで今回、アメリカのトーマスジェファーソン大学の研究者たちは劣等生の隠れた資質をみつけるために、発想の転換を行いました。

 研究者たちはポリメラーゼ・シータのDNA合成能力が不良であるのは、そもそもの目的がDNAからDNAを合成するのではなく、RNAからDNAを合成するためだと考えたのです。

 生物の古典的な理論であるセントラルドグマでは「DNA→RNA→タンパク質」という一連の流れが存在するとしています。

 全体の設計図であるDNAから、部分設計図であるRNAが写し出され、その部分設計図を元に個々のタンパク質が合成されるという理論です。

 ですが研究者たちは、ポリメラーゼ・シータに対して「RNA→DNA」というセントラルドグマに逆行する合成の流れを予測しました。

 この奇抜な発想を確かめるため、研究者たちは実際にポリメラーゼ・シータが働いている細胞にRNA鎖と材料(塩基)を与えて、本当にRNAからDNAが合成できるかを確かめてみました。
 結果、衝撃の事実が判明します。

DNA合成では劣等生のポリメラーゼ・シータはRNAからDNAを非常に効率よく正確に合成してみせたのです。

しかもその合成速度はエイズウイルスなどがもつ逆転写酵素とほぼ同レベルでした。

この結果はポリメラーゼ・シータの主な働きが,RNAからDNAの合成であることを示します。

問題は、なぜRNAからDNAを合成する働きが必要なのかです。

⚫︎RNA配列を元にDNAを修復する
 なぜRNAからDNAを合成する必要があるのか?
研究者たちは、その答えを「RNAを用いたDNAの修復のため」と予測します。

 この予測を確かめるため、研究者たちは蛍光能力(GFP)のある細胞を用意し、実際に蛍光遺伝子に回復困難な傷をつけてみました。

 遺伝子に傷がつけられたことで、細胞は蛍光能力を失って光らなくなります。
次に傷ついて光らなくなった細胞に対して、修復用の正しい配列をもつRNAをポリメラーゼ・シータの働きと共に与えました。

すると損傷したDNA領域が、与えられたRNAの配列を元に修復され、細胞は蛍光能力を取り戻したのです。

この結果は、ポリメラーゼ・シータが細胞内部で実際にRNAを元にDNAを修復したことを示します。

⚫︎RNAとポリメラーゼ・シータを用いた新たな治療薬

今回の研究により、人間の細胞が持つポリメラーゼ・シータに、RNAからDNAを合成する能力があることが示されました。

生命全体の設計図(DNA)に取り返しのつかない傷がついた場合、部分設計図(RNA)を元に修復を行うという戦略は合理的と言えるでしょう。

 ただ今回の研究で細胞に対して与えられたRNAは人工的なものであり、自然な生体内部で実際にRNAからDNAが合成されているかは、さらなる検証が必要です。

 また外部的なRNAを元に合成・修復されたDNAが、核内DNA(細胞のゲノム)に取り込まれるかも未知のままです。
 しかしポリメラーゼ・シータの逆転写能力が明らかになったことで、今後は核内DNAとの関係や遺伝性も明らかになっていくでしょう。

 RNA配列を元にしたDNA修復が人間本来の能力であるならば、DNAの損傷を伴うがんなどの病気に対してRNAとポリメラーゼ・シータに焦点をあてたアプローチは、有効な新薬開発につながると期待されます。


⚫︎参考文献
Discovery Shows Human Cells can Write RNA sequences into DNA https://www.jefferson.edu/about/news-and-events/2021/6/discovery-shows-human-cells-can-write-rna-sequences-to-dna.html
⚫︎元論文
Polθ reverse transcribes RNA and promotes RNA-templated DNA repair https://advances.sciencemag.org/content/7/24/eabf1771

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