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⚠️ 深刻すぎる「電力不足」のウラで、日本の「火力発電所」が激減している意外なワケ まさかこんなことになるとは 202207

2022-07-22 17:36:00 | 気になる モノ・コト

 深刻すぎる「電力不足」のウラで、日本の「火力発電所」が激減している意外なワケ まさかこんなことになるとは
 現代ビジネス より 220722  荻原 博子


⚫︎深刻な電力不足が日本を襲っている。
【前編】「マジ…? 日本でヤバすぎる「電力不足」が起きているのは、「政策のミス」が原因だった…!」で見た通り、じつはそのウラで、火力発電所の供給力は2016〜2022年のあいだに2214kWも減っていた。
 この数字は、原発22基ぶんほどの供給力に匹敵する。いったいなぜこれほどまでに火力発電の供給力が減ってしまったのか。

⚫︎「事前届出」から「事後届出」へ
 政府が言うように、火力発電所の設備が老朽化してきたということはありますが、最も大きな要因は、2016年の電力の全面自由化で、発電所の休廃止が、それまでの「事前届出」から「事後届出」に変わったことにあります。

「事前届出」と「事後届出」の最も大きな違いは、役所のチェックが入るか入らないか。

「事前届出」は、事業所が電力所の休廃止を国に申し出ますから、国が事前にチェックして、「この夏は電力が逼迫しそうなので、もう少しのあいだ稼働してほしい」と要請することが可能です。ところが、「事後届出」では、火力発電所を休廃止した後に届出を出せばいいので、国は口出しできません。
 国全体の電力が足りるかどうかなどは関係なく、事業者は、儲かるか儲からないかで判断して、発電所を稼働させるかどうかを自分で決められるのです。

 そうなれば、自由化された市場では、発電事業者は、稼働率が上がらない設備をできるだけ減らしたほうが儲かるということになります。

 電力には、常に決まった需要があるわけではありません。

 春や秋のように温暖な季節だと冷暖房もそれほど必要ではないので、設備をフル稼働させる必要はありません。一方、真冬の寒い日や真夏の暑い日のように大量の電力が必要な時には、設備をフル稼働させなくては需要に対応することができなくなってしまいます。

 問題は、真冬の寒い日や真夏の暑い日というのが、年間数週間しかないということ。
自由化前の電力会社は、このピーク時の電力を確保するために、普段は使わない施設でも常に維持管理しておかなくてはなりませんでした。
 つまり、普段は5の施設があれば充分だとしても、ピーク時の数週間のために10の施設を確保しておかなくてはならなかったというわけです。

 けれど、電力の自由化で競争になると、発電事業者が稼働率を上げるには設備を減らしたほうがいいということになってしまいました。

 それが、自由化で「事後届出」になり可能になったので、火力発電施設がどんどんと減ったのは当然でしょう。
 たとえば、関西電力の場合、2015年度末には1940万キロワットあった火力発電設備は、2019年度末には1580万kWまで減っています。わずか4年で、原発4基弱の発電量が減っているのです。

 結果、自由化以降、日本全国で原発22基ぶんの電力が減ることになってしまったのです。

⚫︎電力政策の失敗で「電力難民」続出
 ここでちょっと、電力の自由化のなかで、発電部門の状況がどうなったかを見てみましょう。

 電力の発電部門は、1995年に電気事業法改正によって、発電事業への参入が原則として自由化されました。

 それまでは国の「認可」が必要だった発電所の建設が、この時に「事前届出」というかたちになったのです。
 「認可」だと、国が許可するまでは発電所の新設や休廃止はできないのですが、「事前届出」なら、届け出てから30日の間に、所轄の産業保安監督部から変更の指示がなければ工事に着工することができます。

 この時点でも、原子力発電所や波力発電など特殊なものは認可が必要でしたが、水力、火力、太陽光発電、風力発電などは、「事前届出」になりました。

 そして、その後2016年の完全自由化で「事後届出」に変わりました。

 2016年に電気の小売業への参入が全面自由化され、新しい電気会社も次々とでき、消費者が自由に電力会社を選べるようになりました。
 これによって、それまで各地の電力会社(東京電力、関西電力など)が決まったエリアの中で供給していた家庭や商店などは、自由にどこから電気を買ってもいいということになりました。

 電力の自由化にあたっては、電力不足が起きない仕組みもつくられました。

 全国レベルで平常時・緊急時の電力供給の調整を目的として「電力広域的運営推進機関」が設立され、「常時バックアップ(常時BU)」で、新しくできた電力会社が家庭や企業に電力を十分に供給できない時は、東京電力や関西電力といった大手電力会社が足りなくなった電力を肩代わりすることになりました。

 さらに、2020年には、将来、電力が足りなくなった時に確保できる「容量市場」がスタートしました。

 こうしたセイフティーネットは設けていたものの、自由市場では世界的なエネルギー価格の高騰で電力の価格が暴騰。さらに「容量市場」もスタートしたものの、実際の取引が始まるのは2024年からということで間に合いません。

 こうした中で、新電力の1割以上が倒産、廃業するという事態が発生。こうしたところから大手電力会社に移れない「電力難民」が3月からの累計で2万件以上も発生しました。

 セイフティーネットが、あまり役に立たなかったと言わざるを得ないでしょう。

 こうした事態に、政府も大慌てで6月13日に改正電気事業法を可決成立させ、これまでの発電所の休廃止の「事後届出」を再び「事前届出」に戻し、同月17日に、休廃止予定日の9ヵ月前までに届け出を求めるという方針を示しました。
 ただ、これですぐに供給量が増えるわけではないので、電力不足で日本中が大騒ぎとなっているわけです。

⚫︎規定路線化してきた、原発再稼働
 7月14日に、岸田首相は官邸での記者会見で、9基の原発を再稼働すると宣言しました。

 原発の再稼働については、安倍政権でも「安全が確認された原発は再稼働する」と明言しているし、菅政権でも「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に、堂々と原発の再稼働と新炉の開発を盛り込んでいます。

 岸田政権でも、5月13日、2050年の脱炭素社会に向けた「クリーンエネルギー戦略 中間整理」で、経済産業省は「再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱酸素の効果の高い電源の最大限の活用」を明記しました。

 6月7日に決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」でも、原子力の扱いについては昨年の「可能な限り依存度を低減しつつ、安全優先の原発再稼働を進める」から一歩踏み込んで「最大限活用」と明記しています。

 こうした中で、電力の需給が逼迫し、安倍氏の事件が世間を騒がせ、選挙に大勝したタイミングでの再稼働という公表は、最も国民に理解を得やすいと考えたのでしょう。

 東京新聞の取材では、政府関係者が「動かせる原発を全部動かす。再稼働のめどが立っていなくても早く検査を済ませて、頑張って(冬に)間に合わせるということだ」と語ったと伝えています。

 勘ぐりすぎかもしれませんが、こうした一連の流れを考えると、電力の不足が懸念される中で、今まで自由に火力発電所を休廃止させてきたのも、背景には、原発再稼働という大きな目的があったからではないかと疑いたくなります。

⚫︎福島原発のツケを電気料金に上乗せ
 原発については、火力発電よりもコストが低い電力と言われてきました。けれど、それは原発が絶対に事故を起こさないという前提での話です。

 2017年、関西電力が電気料金の値下げをしました。一般家庭で年間約4000円も安くなるということで、安くなった要因の1つが原発再稼働なのだと宣伝されました。

 けれど、いったん事故が起きれば膨大なコストがかかり、そのお金は、家計の電気代にも上乗せされてきます。

 多くの方はご存じないかもしれませんが、2021年10月から、こっそりと福島原発の「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」が、みなさんの電気料金に上乗せされています。

 そもそも、東京電力が引き起こした事故ですから、「賠償負担金」は東電が全額負担するのが筋ですが、そのお金に不足分があるとして2・4兆円を電気代に上乗せし、さらに廃炉につても、莫大なコストがかかるので、その一部の4740億円を電気代に上乗せ。この合計約3兆円は、目立たないように多くの家庭で長期にわたって払う仕組みになっています。

 しかも、福島であれだけ大きな事故が起きたというのに、現在の原発の安全対策は、事故が起きない前提のまま。原発再稼働についてオーケーを出す原子力規制委員会は、原発そのものの安全性はチェックしますが、事故の際の避難経路や駐車場の確保、被災生活も含めた避難計画にはノータッチです。

 もちろん、当事者の電力会社もそれに責任を負うわけではなく、再稼働を許す自治体でも万全の対策を取っているというところはほとんどありません。
 つまり、事故が起きたら住民は満足な避難誘導も受けられず、賠償負担金から廃炉の費用まで電気代に上乗せされるというとんでもないことになるということです。

 繰り返しになりますが、昨今の電力不足は、原発を止めたことで起きているのではなく、原発22基ぶんもの火力発電所を休廃止してしまったことで起きています。
 これは、国の失策とも言えますが、それを上手に利用して、原発再稼働をスムーズに進めようとしていることは見逃せません。

 福島原発では、デブリの取り出しがほとんど不可能な状況で、福島原発を廃炉にするロードマップは、完全に暗礁に乗り上げているようです。
 けれど、原発再稼働の政府のロードマップだけは、着実に進んでいるようです。

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