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?東京オリンピックは何のために?政治家たちが唱えてきた「意義」は,こう変わった。控 202107

2021-07-16 11:56:00 | なるほど  ふぅ〜ん

東京オリンピックは何のために? 政治家たちが唱えてきた「意義」は、こう変わった。
 ビジネスインサイド より 210716  Reuters 吉川慧

⚫︎語られてきた東京オリンピックの「意義」をふりかえる。

 東京オリンピックの開幕まで、あと1週間と迫った。
 2016年大会の招致レースでブラジル・リオデジャネイロに破れた東京。「メッセージ性の欠如」を反省とし,2020年大会の招致レースでは「戦後復興」のシンボルとなった1964年大会の“成功神話”にストーリーを重ね,震災からの「復興五輪」を掲げて招致に成功した。

ところがコロナ禍で大会は延期され、収束が見通せない中での開催へ——。

 これまで招致を進めてきた政治家やリーダーたちは、東京オリンピック・パラリンピックでどんなメッセージを発信したいと語ってきたのか。
 なぜ日本で,そして東京で開こうとしてきたのか。これまで語られてきた意義や理念をふりかえる。

※役職名は全て発言時のもの

⚫︎2011〜2013年:招致レースで唱えた「復興」
石原慎太郎都知事,森喜朗・大会組織委員会会長と竹田恒和JOC会長,竹田会長と野田佳彦首相

「大震災から立ち直った日本の姿、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼」(石原慎太郎・都知事)
 世界史的にもかつて無い今回の大震災からの復興は、戦災からの復興にも匹敵する苦難の道程でありましょう。
 しかし、必ずや立ち直り、9年後の日本の姿を披瀝するならば、世界中から寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼となるに違いありません。
 次代を担う若者に夢と希望を贈るためにも、日本開催を目指す松明を消さずに灯し続けることは、我が国の将来にとって大きな意義があると思います。
(2011年 6月17日、平成23年第二回都議会定例会 知事所信表明)
 
「日本は大震災からの復興を果たさなければならない。五輪を復興のシンボルとしたい」(JOC竹田恒和会長)
2011年7月16日、日本体育協会・JOC創立100周年記念祝賀式典後のレセプションで。(2011年7月17日・毎日新聞より)
「スポーツの力で人々に夢や希望を与え、困難に直面した人々を励まし勇気づける」(石原慎太郎・都知事)
 大震災を乗り越え、日本の再生を確かなものとするためには、先ず、都民・国民が一丸となれる目標を構え、希望を指し示す必要があります。
 東京は、スポーツの力で人々に夢や希望を与え、困難に直面した人々を励まし勇気づけるべく、オリンピック・パラリンピック招致に名乗りをあげました。
(2012年2月22日、平成24年第一回都議会定例会 知事施政方針表明)

「東日本大震災からの復興を示すことにもなる」(野田佳彦首相)
誠に喜ばしい。五輪の開催は東日本大震災からの復興を示すものともなる。日本政府は大会招致を全面的に支援し、開催をぜひとも実現させたい。(2012年5月24日、東京が2020年の夏季五輪開催都市の第1次選考を通過したことを受けてのコメント。2012年5月25日・産経新聞より)

「21世紀にふさわしいオリ・パラの姿と震災から復活した日本の姿を世界に披瀝したい」(石原慎太郎・都知事)
 アジアでいち早く成熟を遂げた東京が、その証として、アジアで初めて、2度目となる大会を目指します。
 世界で最も安全・快適な未来の都市モデルを示すことで、21世紀にふさわしいオリンピック・パラリンピックの姿と震災から復活した日本の姿を世界に披瀝したいと思います。
(中略)今から8年後、家族と共に、友人らと共に、この日本で、その感動を味わおうではありませんか。一人ひとりの純粋素直な気持ちを、招致成功への確かな力にしたいと思います。(2012年9月19日、平成24年第三回都議会定例会 知事所信表明)

※編注:招致レース初期に「復興五輪」を掲げた石原元都知事だが、2019年毎日新聞の取材に対し「(国内向けの)役人のレトリック(巧みな言い回し)」と述べ、復興五輪が自らの発案であることを 否定した。
2013年9月:オリンピック・パラリンピック東京大会招致決定」

 2013年9月、IOC総会での最後の招致プレゼンには安倍首相、猪瀬都知事が登壇。その後、猪瀬知事は金銭問題などで失脚。舛添要一氏が都知事に就いた。

「日本人こそは、オリンピック運動を真に信奉する者たち」(安倍晋三首相)
 私ども日本人こそは、オリンピック運動を、真に信奉する者たちだということであります。この私にしてからが、ひとつの好例です。
(中略)東京を選ぶということ。それはオリンピック運動の信奉者を、情熱と、誇りに満ち、強固な信奉者を、選ぶことにほかなりません。スポーツの力によって、世界をより良い場所にせんとするためIOCとともに働くことを、強くこいねがう、そういう国を選ぶことを意味するのです。
(2013年9月7日、IOC総会における安倍総理プレゼンテーション)

「復興とオリ・パラが重なり、日本が一つに」(猪瀬直樹・都知事)
被災地の復興とオリンピック、パラリンピックが重なり合うような形で、日本が一つになるような日を待ち望んでいます。(2013年8月7日、「未来(あした)への道 1000km縦断リレー」で報道陣に)


⚫︎東京2020大会、招致決定の瞬間。
「『復興』の二文字なくして今大会はあり得ない」(JOC竹田恒和会長)
この大会は東日本大震災復興のシンボルでもあります。
多くのスポーツ関係者が被災地の皆様にスポーツを通じて夢や希望を届けるために活動しましたが、その延長線上にオリンピック・パラリンピックはあります。

 仙台ではサッカーが実施され、聖火リレーは被災地を回る予定です。世界中に復興した姿を発信する機会になれば素晴らしいですね。

「復興」の二文字なくして今大会はあり得ません。2020年東京オリンピック・パラリンピックが被災者の皆様に勇気、感動を届けられる大会にしたいと思います。
(2013年10月、JOC竹田会長インタビュー「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定を受けて」)

「観戦に来た人が京都や東北の被災地などにも足を運べば、観光で日本各地が潤う」(舛添要一・都知事)
五輪で日本全体がよくならないといけないが、まずは東京が最前線で引っ張るべきだ。観戦に来た人が京都や東北の被災地などにも足を運べば、観光で日本各地が潤う。
五輪は震災から復興した日本の姿を見せるチャンス。日本各地で予選やキャンプ地などを誘致すれば、五輪は国全体の底上げにもなるはずだ。
(インタビューでの発言、2014年9月9日・読売新聞)

⚫︎2016〜2019年:五輪予算「適正化」掲げた小池知事,IOCは「復興」メッセージを後押し

 辞職した舛添前知事に代わって、都知事に就任した小池百合子氏。握手を交わすIOCバッハ会長と安倍首相。
「ハード面のレガシーだけでなく,ソフト面のレガシーを構築する」(小池百合子・都知事)
 1964年の東京オリンピック・パラリンピックは、高度成長期の日本を世界に発信する大会でございました。実は、私は小学校の白黒テレビでエチオピアのアベベ選手が、こう両手を高らかに上げて、マラソン競技で金メダルを獲得した姿、今も忘れることができません。
(中略)2020年の大会は、単なる1964Againではなくて、成熟都市であり、世界の最先端都市であるティー・オー・ケー・ワイ・オー、TOKYOを世界にアピールする大会にしなければなりません。
 ハード面のレガシーだけでなく、ソフト面のレガシーを構築いたします。
「東京とティー・オー・ケー・ワイ・オー、TOKYO」を世界にお見せし、東京、日本はもとより、世界中の誰もが記憶に残る、そんな大会にしたいと思っています。
(2016年9月28日、平成28年第三回都議会定例会 知事所信表明)

「『もったいない』『アスリートファースト』の理念で共感を呼ぶ」(小池百合子・都知事)
「復興五輪」の理念の実現に向けましては、一部種目を被災地で実施するほか、事前合宿の誘致を促して、オリンピック・パラリンピックフラッグツアーも、先月訪問いたしました福島に加えて岩手、宮城、熊本で実施をしてまいります。被災地の元気な姿を世界に発信できるよう、引き続き復興を後押しをしてまいります。

「復興五輪」に加えて、「もったいない」「アスリートファースト」の理念に都民・国民の皆様方の共感を呼びながら、全てのアスリートがその力と技を最大限発揮できて、皆様に長く愛されるレガシーを遺すための投資をしっかり行い、大会を成功に導いてまいります。
そして、この平和の祭典が未来永劫続いていくためのモデルを示していきたいと考えております。
(2016年12月1日、平成28年第四回都議会定例会 知事所信表明)

「心の復興という中ではスポーツが大きな役割を果たす」(IOCバッハ会長)
安倍首相の「復興五輪と銘打って、復興した姿を世界に発信したい」を受けての発言。福島市の県営あづま球場での視察で。(2018年11月24日、朝日新聞デジタルより)

「世界中にありがとうのメッセージ、復興遂げつつある東北を世界中に発信したい」(安倍晋三首相)
2011年、日本は、東日本大震災によって甚大な被害を受けました。その中で、世界中の皆様から御支援を頂きながら、一歩一歩、復興に向けて前進してまいりました。
あの時、世界中の皆様から頂いた御支援に対する、ありがとうのメッセージをお伝えするとともに、未曾有の大災害から復興を成し遂げつつある東北の姿を、世界中に発信していきたいと思います。
(2019年7月24日、東京2020オリンピック1年前セレモニー 安倍総理挨拶)

⚫︎2020年:コロナ禍で1年延期、新たに掲げた「コロナに打ち勝った証」

東京大会は1年延期が決まったが、2020年8月に安倍首相が辞任。菅義偉氏が後任となった。首相官邸、
「人類がコロナに打ち勝った証として、完全な形で開催する」(安倍晋三首相)
遅くとも2021年の夏までに東京オリンピック・パラリンピックを開催するということで合意いたしました。
 今後、人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝ったあかしとして、完全な形で東京オリンピック・パラリンピックを開催するために、IOCバッハ会長と緊密に連携していくということで、一致したところであります。

日本は日本として、開催国の責任をしっかりと果たしていきたいと思います。
(2020年3月24日、IOCバッハ会長との電話会談についての会見)

「人類がコロナに打ち勝った証として開催し、被災地が復興を遂げた姿を世界に発信する場に」(菅義偉首相)
人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催し、東日本大震災の被災地が見事に復興を成し遂げた姿を世界へ向けて発信する場にしたいと思います。
この決意の下に、来年7月23日からの開催に向けて、関係者が一丸となって準備に取り組んでいかなければなりません。
(2020年10月23日、政府の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部)

「人類がウイルスに打ち勝った証として、東京オリ・パラを開催する」(菅義偉首相)
来年の夏、人類がウィルスに打ち勝った証として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する決意です。安全・安心な大会を実現するために、今後も全力で取り組みます。(2020年10月26日、臨時国会 所信表明演説)

「人類がコロナに打ち勝った証として、原点である復興オリ・パラとして成功へと導く」(小池百合子・都知事)
1918年から世界で流行したスペイン風邪は、世界人口が約19億人の時代に患者数は6億人に上り、5千万人とも1億人とも言われる方々が亡くなりました。
1920年のオリンピック・アントワープ大会は、このスペイン風邪が終息に向かう中、また、第一次世界大戦で焦土と化したヨーロッパが復興しつつある中、開催された大会であります。史上初めて、オリンピック旗の掲揚や選手宣誓が行われるなど、まさしく「危機の後の連帯と復興」の象徴でありました。

それから100年プラス1の2021年、東京2020大会も、人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として、そしてまた、原点である復興オリンピック・パラリンピックとして、成功へと導いてまいります。
(2020年11月30日 令和2年第四回都議会定例会)

⚫︎2021年:収束しないコロナ禍、言及された「希望」「絆」「スポーツの力」

東京大会は、緊急事態宣言の下で開催される。菅首相、小池都知事、丸川五輪相は「希望」「絆」を意義として語るが…。

「世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進める」(菅義偉首相)
夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。
感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります。
(2021年1月18日、通常国会の施政方針演説)

「世界がコロナ禍という難局を乗り越え、人類が絆をさらに強めた象徴、希望の灯りとなる」(小池百合子・都知事)
東京2020大会は、世界が一丸となってコロナ禍という難局を乗り越え、人類がその絆をさらに強めた象徴となり、人々にとって希望の灯りとなるものです。
この大会を、「サステナブル・リカバリー」を目指すオリンピック・パラリンピックの新たなモデルとして、安全・安心に開催できるよう、IOCバッハ会長はじめ、国、組織委員会など全ての関係者とともに、準備に邁進してまいります。
(2021年3月11日、IOC総会におけるバッハ会長の再選を受けた知事コメント)

「コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義がある」(丸川珠代五輪相)
まず私は、この東京開催の意義というのは、特にこのコロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す、大きな意義があると考えております。
国籍、人種を問わずに、同じフィールドの上で、同じルールでアスリートたちが競技を行います。

この特別な努力をした、それぞれのアスリートたちが真剣勝負を繰り広げる、そしてその後にともにその努力をたたえ合う姿というのは、必ず私は、人々にお互いを許し合い、そして喜びを分かち合う、その思いを取り戻してくれるものだと信じております。

人類の連帯と団結を表すシンボルというのが、オリンピック・パラリンピックでございますけれども、特にこのコロナ禍において東京大会は、世界中の人々が新たな光を見出すきっかけになると考えております。
(2021年5月11日、閣議後定例記者会見)

「五輪は平和の祭典。一流のアスリートが東京に集まり、スポーツの力を世界に発信をしていく」(菅義偉首相)
正に、平和の祭典。一流のアスリートがこの東京に集まって、そして、スポーツの力で世界に発信をしていく。
さらに、様々な壁を乗り越える努力をしている、障がい者も健常者も、パラリンピックもやりますから、そういう中で、そうした努力というものをしっかりと世界に向けて発信をしていく。

そのための安心・安全の対策をしっかり講じた上で、そこはやっていきたい、こういうふうに思っています。
(2021年6月2日、COVAXワクチン・サミットの成果等についての会見)

「コロナという困難を、世界が団結して乗り越えることができたことを日本から発信したい」(菅義偉首相)
こうした様子をテレビで40億の人が見るということもいわれています。東日本大震災から復興した、そうした姿というものもぜひ見てほしいというふうに思います。
世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい、世界が団結してこれを乗り越えることができた、そうしたこともやはり世界に日本から発信をしたい。そうした思いであります。
(2021年6月9日、国家基本政策委員会合同審査会[党首討論])

「コロナ対策をしっかりやっていると世界に伝える」(小池百合子・都知事) 
これはオールジャパン、そしてまた東京や会場のある自治体、そして何よりも全体で盛り上げながら、そしてまたコロナ対策をしっかりやっているということを世界にも伝えると。
そもそも始まったのが、東日本の大震災からの復興五輪というテーマもありました。私は何よりもパラリンピックを、ぜひとも、2回目のパラリンピックを開催する都市は東京が初めてなんです。

それこそオリンピックの、またパラリンピックの、この、これだけの大会を行うということは、そのことが、パラリンピック無しには大会の成功はない、ということを何度も申し上げてまいりました。
(2021年6月11日、記者会見で五輪開催議論を問われて)

「復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える」(菅義偉首相)
世界のおよそ40億人がテレビなどを通じて大会を観戦すると言われています。東日本大震災から復興を遂げた姿を世界に発信し、子供たちに夢や感動を伝える機会になります。
57年前の東京大会では、パラリンピックの名称が初めて使われ、障害者の方々が社会で活躍していこうという契機になったと思います。

再びこの東京の地で、頑張ることによって壁を乗り越える、そのことができることの大切さや、障害のある方もない方も、お年寄りも若者も、みんなが助け合って共に生きるという共生社会の実現に向けた、心のバリアフリー精神を、しっかりと大会を通じて伝えたいと思います。

人類が新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人々の努力と英知でこの難局を乗り越えていくことを日本から世界に発信したいと考えています。
(2021年6月17日、記者会見)

⚫︎2021年7月:「打ち勝った証」は幻に……。

『来日したバッハ会長と会談する菅首相,聖火の入ったランタンを持つ小池都知事。』

「テレビを通じて、世界が一つになれることを発信したい」(菅義偉首相)
東京大会について、私は、これまで、緊急事態宣言となれば無観客も辞さない、このように申し上げてきました。
そうした中で、この後の組織委員会、東京都、IOC(国際オリンピック委員会)などとの5者協議において、観客の取扱いが決められる予定です。

世界で40億人がテレビを通じて視聴すると言われるオリンピック・パラリンピックには、世界中の人々の心を一つにする力があります。

新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が一つになれることを、そして、全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信したいと思います。
(2021年7月8日、記者会見)

「人類が困難に直面する中、世界が力を合わせてこの難局を乗り越えていることを発信するいい機会」(菅義偉首相)
 1つ目は新型コロナの中での安心・安全な大会の実現、正に人類が困難に直面する中にあって、今だからこそ世界が一つになれる、力を合わせてこの難局を乗り越えている、こうしたことをやはり世界に発信するいい機会だというふうに思います。
 それと2つ目はやはりパラリンピックです。64年の東京オリンピックの際に初めてパラリンピック競技のパラリンピックという名称がそのところから使われた。そういう意味で歴史的な大会でありました。

そして、障害者の皆さんはその大会の中で社会進出というものをしようという1つの大きな契機になったと言われてきています。

 そういう中で、このコロナの厳しい中で、障害のある人もない人も、また、お年寄りも若い人も、この共に助け合うという共生社会、その実現に向けて、正に心のバリアフリー、こうしたものをやはり世界に発信するということは極めて大事だというふうに思っています。

 それと、今度の大会というのは、これからどうするかということを5者会議で決めるわけですけれども、世界で40億人の人がテレビでこのオリンピック・パラリンピックを視聴する、こう言われております。そうした意味合いにおいて、この大会というのは世界に発信できる最高の機会になる、このようにも思っております。
(2021年7月8日、記者会見)

「テレビを通じて世界の連帯感を醸し出す初めての大会になる」(小池百合子・都知事)
今回は時差がある中で同時に配信をするということもございますので、テレビを通じて繋がっていくということが、世界の連帯感、一体感、そういったことを醸し出す、それらの意味で初めての大会になるのではないかということであります。
(中略)ぜひとも無観客を越えて、この世界70億人が観客だという、そのような大会に繋がっていければというふうに考えております。
(2021年7月9日、記者会見)

⚫︎結局、東京大会の「理念」「意義」とは?

 都庁に保管されているオリンピックフラッグ(五輪旗)。五つの輪のシンボルは、「近代五輪の父」クーベルタン男爵が1914年のIOC創立20周年式典で披露するために作ったと言われている。5つの輪は世界の五大陸を意味する。

 為政者たちは東京オリンピック・パラリンピックの理念や意義として「復興」「日本の復活」「スポーツの力」などを掲げてきたが、2020年にコロナ禍に入ると「コロナに打ち勝った証」を御旗に掲げ、大会の1年延期を決めた。

 ただ、一部の大会関係者の間では「1年延期」案よりも「2年延期」案が根強かったという報道もある。「1年延期」を強く推し進めたのが安倍前首相だったと朝日新聞は伝える。

「開催か、中止か」の議論は、いつの間にか立ち消えに。菅首相がG7で開催を表明し、政府分科会の尾身茂会長も「無観客」を提言しつつ「(開催有無の検討は)意味がなくなった」と表明。焦点は「観客を入れるか、入れないか」に移り変わった。

 東京都のモニタリング会議(7月15日)によると、新規陽性者数が再び増加傾向だが、重症者数は減少しつつある。一方で若年・中年層の割合が増え、予断を許さない。入院患者も急増し、重症患者の増加も懸念される。都の医療体制とワクチン接種の拡充も課題だ。デルタ株のまん延も危惧される。

 延期決定から1年4カ月。東京オリンピックは、4度目の緊急事態宣言下での開催となる。目指した「証」は「幻」となった。

 1都3県のみならず東北・福島での野球・ソフトボール競技も無観客に。「復興五輪」の意義もかすんでしまった。

⚫︎いま、東京大会を開催する意義を、為政者は語れるだろうか。

 1964年10月24日、東京オリンピックの閉会式の一幕。整然とした開会式とは打って変わって、選手たちは国を超えて入り混じり、腕を組んだり、手をふったり、肩車をしたり……。明るく、朗らかに、人類最大のスポーツの祭典の閉幕を祝った。

 当時、新進気鋭の作家だった石原元都知事は、閉会式の光景をこう記している。

 聖火は消えず、ただ移りいくのみである。
この祭典は我々に、人間がかくもそれぞれ異なり、またかくも、それぞれ異なり、またかくも、それぞれが同じかということを教えてくれた。

この真理が何故に政治などという愚かしいエネルギーの前に押し切られるのであろうか。
(1964年10月25日・日刊スポーツ)

(文・吉川慧)

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