閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

Fire生活経験談のほか、世相世情 💹📆、知的生産技術💻📱、書評📒について、書き綴ります。⏳

わが祖父 井上成美

2015年12月15日 | 書評 伝記
わが祖父 井上成美/丸田研一/徳間書店/1987

井上成美のお孫さん(娘の子供)が、祖父に育てられた時代を懐かしく振り返り、井上成美を知る人たちの取材を得て出版された本。
お孫さんが書かれた関係で、謹厳実直、強面の井上成美が、普通のおじいさんに見えるのが不思議である。

ただ、我々がネット上で見かける、あの悲壮感漂う、制帽姿の井上成美の表情は、当時の日本が滅亡の危機に瀕していたことを知れば、最後の海軍大将として、絶望的な状況で終戦工作にあたったことを我々は心に刻む必要がある。

この本は、井上成美については、軍人としての良い点、私人としての側面に分けてはいるものの、やはりお孫さんという立場からの、尊敬の念が入り混じった内容であることは、否定しない。
だからと言って、素性のわからない第三者のものと比較し、意図的な捏造があるとは思えない。捏造などすれば、偉大な軍人、井上成美の名誉に係わるからだ。

なお、井上成美は、幕臣の末裔だそうである。
Wikipedeiaには、戦後、清貧な老後を過ごした、井上成美の暮らしぶりが書かれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E4%B8%8A%E6%88%90%E7%BE%8E
海軍の将官クラスの多くが、戦後GHQに取り入り、名声を博したケースが圧倒的だったことを考慮すれば、井上成美の生きざまは功利を求めなかった点において、滅私であり、配置された部署によっては逸材であったと考えるのである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 隠居後の一つの目標 | トップ | 昭和天皇に背いた伏見宮元帥 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿