読書が大事か実践が大事か？

私が若い頃尊敬していたある経営者は、年末年始、お盆の頃になると書店で本をまとめ買いしていた。
私は、昼休みの書店帰りのその姿を何年も眺めており、その会社の役員の中には、その経営者が何を読んでいたのか調べ、その話題に歩調を合わせるのに汲々としていたに違いないことを次第に悟るようになった。

そして、ある人から、その内実を聞かされるにつけ、私は次第に、世の指導者たるもの、いつまでも読書に没頭し、読書の中に真実があるなどと公言して良いのであろうか？と思うようになり、その経営者に対する尊敬の念が次第になくなってしまったのであった。

理由は２つあった。

リスクをとろうとせず、本を読みすぎることで、重大な決断に対し臆病になり、自ら率先して実践しないように見受けられたこと
本に書いてある知識を核とした話題を公人として喋るので、先回りして類似書を読む不心得者？が現われたこと
であった。

しかし、そうなってしまったのは、周囲がこぞって、数十年に亘って、社長の器だと言ったり、名経営者だと言って褒めちぎったことが遠因にあるような気がしてならないのである。