閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

Fire生活経験談のほか、世相世情 💹📆、知的生産技術💻📱、書評📒について、書き綴ります。⏳

高貴なる敗北

2014年10月31日 | 書評 伝記
高貴なる敗北/アイヴァン・モリス著/斎藤和明訳/中央公論社/1981

原題は、「The Nobility of Failure: Tragic Heroes in the History of Japan」 Secker and Warburg  London,1975.
著者は、日本文学研究者。そして、日本文学の良き理解者でもある。
三島由紀夫から死の直前に書簡を託された著者が、古代から現代までの日本の歴史上の悲劇的死を遂げた人物について、歴史的史実や文化的背景などから解説を試みた、形態的には伝記本であるが、内容的には立派な歴史書である。
この本で扱われた、歴史上の人物は、菅原道真、源義経、楠正成、西郷隆盛、特攻隊員たちである。

帯には、「誠を貫いて散華した英雄たちにみる日本の心」とある。だが、なぜか、三島由紀夫のことは書かれていない。だが、三島由紀夫から書簡を託され、触発されて出版化した以上、三島由紀夫が言いたかったことを、歴史上の人物に投影して書いているという見方ができよう。

この本が出版された時代、人々は歴史小説に酔い、司馬遼太郎はその代表格だった。今や司馬遼太郎の評価は落ちる一方である。
しかし、この素晴らしい歴史書は、司馬遼太郎の司馬史観を肯定する時勢の中で、さびしく廃刊となり、古書価格で2万円を越えるケースもある。

復刊を切に望みたい本である。
こんな素晴らしい歴史書がこのまま埋もれていいはずがない。

復刊ドットコム 高貴なる敗北の頁
http://www.fukkan.com/list/rsearch?search%5Bname%5D=%E9%AB%98%E8%B2%B4%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%95%97%E5%8C%97&x=28&y=19

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