閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

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アメリカ史の真実  なぜ情容赦のない国が生まれたのか

2013年05月21日 | 書評 歴史
アメリカ史の真実  なぜ情容赦のない国が生まれたのか/チェスタトン 著 /,渡部昇一  監修, 中山理訳/祥伝社/2011

ジャーナリストだったチェスタトンが独学で独立から第一次大戦までのアメリカ歴史を学び書いた本。
開拓の時代から奴隷制を採用し、それを維持しようとし、奴隷貿易で金儲けし、奴隷がいらなくなったら、奴隷州の南部に奴隷を売りつけておいて、自分たちは奴隷廃止宣言したり
メキシコが奴隷廃止を宣言したので、奴隷制を維持するためにメキシコから独立しアメリカの連邦に加入しようとするなど
アメリカ人は、実に身勝手である。

サブタイトルに合致する箇所は、特段見当たらないが、そういう問題意識で読めば、歴史的にアメリカ人が国内でやってきていることも情容赦ないことばかりであることがわかる。
クー・クラックス・クランに関しては、自らの主張が常に正義であり、正義を実現するために何をしてもいいという国民性であることがわかる。
著者は、アメリカには中世がないという視点でこの本を書きいたが、情容赦ない国民性は、ピューリタンの教義としての独善性、クー・クラックス・クランに見られる白人史上主義と有色人種への差別意識、南北戦争後の処理や人種間の憎悪などなどに起因しているのではないかと思われる。

翻訳文を読んで推定されることだが、英語の原文にかなり癖があるようで、皮肉っぽいというか格式語というかそういう原文なのではないかと思われるため、この翻訳者でなかったらもっと読みにくくわかりにくい本になっていたような気がする。

なお、アマゾンの下記書評が秀逸なので紹介させていただく。
この水準で理解し、読むこなされていることに脱帽する次第である。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%8F%B2%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%88%E3%83%B3/dp/4396650477/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1369099814&sr=8-1&keywords=%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%8F%B2%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F

5つ星のうち 5.0 100年前の遺言からアメリカという奇妙な国を解釈する 2013/3/17
By タッチ
Amazon.co.jpで購入済み 本書を執筆した1918年は、スペイン風邪の大流行とドイツの休戦協定調印によって第一次世界大戦が終結した年にあたる。イギリス人の著者は、イギリスの汚職を暴き法的に罰せられたほどの卓越した筆力を持つジャーナリストだったが、アメリカ史の専門家ではなかった。イギリスに勘当された著者が、独立戦争で残虐行為を行ったイギリス軍を憎むアメリカに共感したのか…、独学で勉強したらしい。本書を読めば、専門家が書いたのではない、純粋で率直なジャーナリストの反骨心を感じるだろう。まるで日々の新聞を読んでいるかのように、昨日の出来事と錯覚するほどリアルだ。「No culture, Only money] のアメリカという国を本当に理解するには、100年前に生きたジャーナリストの筆が一番信用できる。なぜかイギリス軍一兵卒として従軍し、フランス軍病院に病気入院中、何かに魅せられたかのように本書「アメリカ史」を書き上げ、戦争終結3週間前に病院で息を引き取った。著者の遺言となった本書より以下10の歴史的背景を確認でき大いに満足した。
1.アメリカは、イギリスを嫌い、フランスに頭が上がらない
2.アメリカの各州は、異なる宗教(宗派)によって独立国家のように振る舞う
3.ワシントンを境界に、北部・南部・西部の三つ巴
4.戦争(か何か)の英雄が大統領(飾り)となり政党が操る
5.合衆国政府は、対海外政策(戦争と貿易)しか仕事が無い
6.アメリカ政治は、陰謀と策略の歴史だった
7.アメリカ愛国心とは、西部開拓時代の無法地帯を制圧する殺戮精神の象徴
8.選挙に利用するため黒人を解放し、以降一般白人との摩擦が激化した
9.高潔な経営者の素性は、殺し屋を雇って労働争議を鎮圧して大企業を創り、アメリカを牛耳る資本家
10.中国人の大量の移民者が、アメリカ黒人の底辺の仕事を奪い、モラルも落とした。
尚、難解な英国文を見事に翻訳して下さった翻訳者に敬意を評します。

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