閑雲孤鶴の日々  - Fire生活者の呟き -

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文科の時代

2011年11月10日 | 書評 国家論
文科の時代/渡部昇一/文藝春秋/1974

渡部昇一が40代に書いた本である。
渡部昇一は、英文学専攻の大学の教官であるが、話題は哲学、宗教、自然科学、工学、文学、歴史と多方面にわたっている。著者はエッセイとして書いているが、内容的には、多方面から国家論を論じている本と言って良い。項目的には、「天皇について」と「日本語について」が読み応えある内容に仕上がっていると思う。
各項目別に印象に残った文章を列挙させていただく。

・文科の時代
P23
江戸時代の学問について目ざましいことは漢詩を作ることであった。
P24
旧幕の学問においては、知識の拡大によっては師としてとどまりえず、永く弟子に仰ぎ見られるためにはどうしても詩文の才がなければならなかった。「江戸時代の学者は漢詩を作れた」というよりは、漢詩を作れる人しか師でありえなかったという方が適切だ。
P25
文学は美のほかに男女の愛を意識の中心にすえる。平安時代の人たちを見ると、美と愛以外は念頭になかったように思われることさえある。

・オカルトについて
特になし

・天皇について
要約すると、国体論争は、古くは欽明天皇の時代に発生していた。その後国体は何度か変わった形跡あり。
P85
三島由紀夫の自決に関する見解が述べられている(天皇と国体に関する事実誤認のもっとも傷ましい例)

・日本語について
P96
「生ける」言語とは、日本式の表現を取れば「言霊」のある言語であり、「死せる言語」というのは言霊のない言語ということになるのではないか
P99
古事記の文章スタイル
P100
日本書記の文章スタイル
P101
日本の場合は非常に特別であって「和歌の前に平等」であったのである。
・労働について
乞食、奴隷という言葉が頻繁に出てくる。

・命令と服従
ルバングからの帰還兵、小野田寛郎さんと蘇武の生き方を対比して説明している。

・新聞の向上?
特になし

・道化の効用
特になし

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