伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

山下洋輔と祖父

2016年11月01日 | 音楽


だいぶ前、「徹子の部屋」に山下洋輔氏が出演していた。
相変わらずお元気で、そしてすてきで、
第一線ばりばりの余裕があって、とても嬉しかった。
ラベルのボレロは、ひじ打ちもあり、とても良かった。



山下洋輔の名前は本屋で知ったのだった。
まず、「ピアニストを笑え」で、
最初の一行で文体の天才だ!と思い、
その後彼の本を買い集めて笑い転げていた。

その本の内容から、ジャズピアニストであることなどを
知る。

ピアニストとしての活動も知っているが、
ジャンルはフリージャズで、
ピアノにひじ打ちなど試みてコンサート会場を
出入り禁止になったこととか、
燃えるピアノを弾き続けただの、
いろいろと武勇伝は聞いていた。

でも、残念なことに実際の山下氏のコンサートに
行ったことがない。
だから生で彼の演奏を聞いたことがない。

京都にも何度も来て、オーケストラと共演したり
いつも意欲的なコンサートをしておられたのに、
一度も見たことがない。

本業はピアニストなのに、そのピアノを聞いたことがないとは、
大変失礼だ…。


でも、テレビでは何度か見たことがある。
パッショネイトな演奏で、ひじ打ちも見た。
ガーシュインを弾いておられたのは嬉しかった。

そんなわけで、私の中では、山下洋輔は、
あくまで天才文章家の人だったのだが…、


フリージャズとしてトリオ(確か…)でデビューしてから、
現在(74歳だそうだ!)に至るまで、
ずっと第一線で活躍し続けておられる、のは
とてもすごいことだ。

今でもこれまでも、まったく変わらず自分のペースで、
やりたいことをやり、そして楽しむ。
それをやり続けて、しかも人をも楽しませ続けておられる。

ジャズという分野で、それに拘らずいろいろな人との
コラボもあり…、いつも新鮮な試みをしつづけ、
それだからこそ、これだけ第一線にい続けられるのだろう。
誠に尊敬に値する。
本当にいい歳を重ねて来られた。


彼の一番好きなところは、固定的な観念にとらわれていないことだ。
決して一面からだけ物事を見ない。
様々な角度から、こういう考えもある、こういう見方もある、
そしていろんな意見がある、どれが正しいということもない、
みんな違ってみんないい、
そういう柔軟な発想が、氏の根本にある。

だから、いろいろなジャンルの人とのコラボも
面白がり、楽しめるのだろう。



…とまあ、山下洋輔を尊敬したところで、
彼の祖父は、建築設計士だった。

山下氏の話によると、司法系の建築専門の、
国に雇われた設計士だったようだ(うろ覚え)。

山下啓次郎といって、「明治の五大監獄」をすべて設計した、
という。(徹子の部屋でそう言っていた)

私が持っている、光村推古書院という出版社
(これは京都の出版社だ)から出ている「洋館」という
美麗写真集には、山下啓次郎設計の
「旧鹿児島刑務所正門」の写真が出ている。







刑務所の建物は取り壊されたが、正門だけ残っている、
と説明されているが、
山下洋輔の話では(同、徹子の部屋)、
五大監獄はほとんどすべて取り壊されてしまった、
と言っていたから、この鹿児島の刑務所正門も、
今は取り壊されてしまったのだろうか。
残念でならない。
この門を見ただけでもいかに名建築であるかが良く分かる。


だが、一か所だけ、奈良少年刑務所の保存が決まったという。

京都新聞に文を寄せていた、
ある文芸評論家(斉藤美奈子)によると、
ここはいずれ重要文化財に指定されてもおかしくない建物だそうで、
山下洋輔氏も、保存が決定して嬉しそうだった。

こういう近・現代建築は、保存が軽んじられる傾向に
あるというが、建築ファンである私には、とても悲しい話だ。

近・現代建築でも見事な建物がいくつもある。
都市部ほど耐震問題などで解体の方向であるらしいが、
近代遺産にもぜひとももっと光が当てられ、
やみくもに新しいものばかりに走らず、
建物を生かす、という考え方になっていって欲しいと願う。



…と、これは9月に書いた文章だったが、
私、文を書いてはころあいを見てアップしているので、
たまってる文章が多いのよ…
すぐに上げられないの、なんでかしらん、いろいろあって。



で、なんとこの奈良少年刑務所が本当に
重要文化財に指定されることになった。
よかったよかった。

関西のテレビのニュースで、刑務所の豪壮な門、
それに内部、それから俯瞰でヘリコプターから上空から見た
敷地と建物全体が丁寧に写っていた。

素晴らしい建物だ。
建築ファン垂涎の建築だ。

上空から見た建物群は放射状に配置され、その見事な景観。
内部もものすごく美しく丁寧なつくり。

すごいな、山下啓次郎。
建築オタ感涙。

民間に売却されて、ホテルなどに活用予定だそうだが、
ともあれ、この素晴らしい建物が残ってよかった。






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COMMENT:
AUTHOR: よろ
DATE: 11/01/2016 21:50:23
音楽は知っている。建築とのつながりもあったのね。
やはり一流の血を継いでいたのかと。
タモリや筒井康隆から入って「全冷中」のイメージだったけれど(笑)、
品があるわけだ。


COMMENT:
AUTHOR: 伊佐子
DATE: 11/02/2016 09:49:51
フリージャズは良く分からない…けど
ハナモゲラ語はタモリ含めて彼ら共通の
発明ですね。
きつねうどんをケタナハロンと発音するのが
イキなんだとか言って(笑)