10月だったからとっくに終わってしまった「京の名工展」。
1ヶ月も前のひっそりとした展示会だったが、
せっかく写真を撮っていたのにそのままなのももったいないので…
ここで上げておきたいのだ・・・
京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/
京の名工展
令和3年10月20日(水)~10月24日(日)
京都文化博物5階貸し展示室
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_gallery_hall/exhi_gallery/info-2/
亡くなった父は生前、毎年「京の名工展」に出品していた。
「京の名工」という名前は
れっきとした称号で、「現代の名工」の京都版と言える。
伝統工芸士ごとの組合がおのおのあり、
その組合に属している人で推薦を受けて簡単な試験を受ける。
それに合格すれば「京の名工」という名称がもらえる。
試験というのは名目みたいなもので
組合から推薦さえ受ければ自ずと「京の名工」になれる。
ただ推薦されるには、それなりの年月に
その伝統工芸に携わっていなければ推薦は受けられない。
何十年という積み重ねがあり、その工芸の発展に寄与した人が
その名を貰えるシステム。
「京の名工展」は一年に一度、
その名工たちの作品の発表会のようなもので、
いつも京都文化博物館の5階で無料で開かれる。
ひっそり開かれるので関係者くらいしか客はいないし、
期間も短いし、あまり知られていない展示会である。
だが、
無料なのがもったいないくらいの凄い作品がいつも勢揃いしてる。
作品はこの発表会のために特別に製作されたもので、
非売品である。
それでも名工たちはこの名工展のために
自分の培って来た技術の粋を惜しみなく注ぎ込み、
一点物の凄い作品を作り上げている。
京都には今も伝統工芸に携わっている人たちが沢山いる。
古くから伝わって来て、現代にまで受け継がれて来たその技術。
それが今も連綿と現代にも生きている。
今、現在、伝統工芸は生きている。
それをまざまざと見せつけられるのがこの展覧会。
現代の名工たちの技術の凄さを堪能出来るのがこの展覧会なのだ。
作者の意向で撮影禁止のもの以外は撮影可能だったので
(ほとんどがオーケーだった)
出来る限り気になった作品を写した。
今回一番の力作は京扇子のコーナーだった。
扇子折師、扇子仕立師たち3人がかりで巨大な舞扇を作成したもの。
左端に通常の大きさの舞扇が展示されているので
その大きさが分かると思うが
両手を広げてやっと届くくらいで1メートル50センチはあるだろう
巨大な扇を全員でひとつ、作り上げたようだ。
下絵も公開されていたが、双龍の絵である。
迫力があった。
いつも楽しみにしているのが京人形のコーナー。
京人形は完全に分業制で、
「雛人形着付師」「京人形頭師」「節句屏風師」「錺甲冑師」
等に分かれる。
それぞれをまとめて「京人形」と言うらしい。
中でも着付師の雛人形は時代考証も含め見応えがある。
ミニチュアの甲冑も細工が細かい。
印刻師の印章は「アマビエ」で疫病退散とタイトルがついている。
印刻師も現代の時流を掴んで製作しているのだ。
意匠紋様師にはいつも敬服している。
説明の通り、帯の下書きのようなもの。
設計図というか。
この図の通りに帯を織ってゆく。
簾(すだれ)師という仕事もある。
その技術で衝立を作成している。
繊細で正確な技術に感嘆して写真を撮った。
現代にも仏師はいる。
仏壇・仏具のコーナーに入っている。
仏像彫刻師という肩書で愛染明王を作成している。
現代の愛染もとても迫力があり思わず写真に収めた。
展示の最後にはいつも造園のコーナーがある。
造園師が即席で会場に小さな庭を作っているのだ。
これら以外にももっと沢山の作品が展示されており、
名工たちが自分の持てる技術を結集して作り上げた作品は
凄味さえ感じた。
現代の京都にはこのような技術を持つ名工が
今も生きて活躍して、活動して
伝統工芸が京の町に息づいているのである。
それがよく分かる展覧会だった。
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