木島櫻谷(このしま・おうこく)は近年再評価されて来た、
明治から昭和初期にかけて活動した画家(1877-1938)だが、
再評価されるきっかけはこの泉屋博古館(せんおくはくこかん)の
櫻谷展だったのではないだろうか。
今回、再び泉屋博古館で木島櫻谷展が開かれたので、
招待券をもらったこともあり(またしてもすみません)、
見に行って来た。

泉屋博古館
https://sen-oku.or.jp/kyoto/
https://sen-oku.or.jp/program/2022_konoshimaokoku_kyoto/
特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中―
開催期間
2022.11.03木2022.12.18日
開催場所
泉屋博古館(京都・鹿ヶ谷)

泉屋博古館は左京区北白川付近にある、
環境の良い美術館だ。
市バスでは東天王町のバス停で降りる。
広くはないが、大変行き届いたきれいな美術館である。

前期・中期・後期で展示替えがあると知らなかったので、
だいぶあとに行ったら、代表作「寒月」は前期展示だったので
残念ながら見られなかった。

「寒月」は漱石がボロカスに評したことで知られるが、
木島櫻谷にとっては不名誉なことだった。
とても良い作品だと思うが、
漱石は頑固者で癇癪持ちだったので、
いちど気に入らないととことん腐したのだろう。

櫻谷は優れた観察眼の動物画で知られたが、
今回の展示会は櫻谷の山水画、風景画を集めたもの。
京都画壇の今尾景年に師事し、写生画をよくした櫻谷は、
動物画も動物園へ通い、スケッチをしたそうだが、
写生画も旅をしてその土地の風景を沢山写生したようだ。
スケッチ帖も沢山展示されていた。
日本画家の大半がそうであるように、
画風はとても几帳面で、繊細で真面目で、
写生が上手い。
とにかく上手というのが印象である。

中国の山水画に影響を受けたと思われるが、
深い森や、山奥の描写などを見ていると、
マイナスイオン(古い?)で満たされるような気がした。


意外にも?屏風を沢山描いており、
しかもとても巨大な屏風ばかりだ。
中国風の雄大な山の風景が几帳面に描かれていた。
富士山の図も(屏風も掛け軸も含め)
多く描かれていたが、
櫻谷が富士山を多く描いていたことは意外だった。
品があり、優しく、雄大な富士だったように思う。
環境の良い美術館での公開ということもあり、
見ていて気持ちの良くなる山水画だった。

泉屋博古館には小さな前庭があり、
小さいと言っても小川が流れている。


庭もとてもきれいで、少しばかり森林浴(これも古い?)
をしたような気持になった。
中庭もあり、色づいた東山が美しかった。

左京区鹿ケ谷という良い場所にあるので、
空気が澄んでいて、気持ちよくなった。
櫻谷の山水画を飾るに相応しい場所だった。



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