YouTubeでなつかしい動画を見つけた。
映画「ジーザスクライスト・スーパースター」のクライマックスで、
イエスが神に向かって問いかける「ゲッセマネの祈り」。
イエス役のテッド・ニーリーの感動的な絶唱・シャウトだ。
イエスはここでは神の子というより、一人の苦悩する人間である。
人として死の恐怖や苦悩を父である神に荒々しく問い、ぶつけるのだ。
Jesus Christ Superstar | Gethsemane
(I Only Want to Say)
Universal Pictures
https://youtu.be/ndZ6B1EaJEs?si=0hVLSfwpBaQFT17s
久しぶりに聞いてもこの熱唱には胸を打たれる。
美しいメロディーとともに、魂の絶唱が心に響く。
まさにそこに神がいて、神と対話しているかのような迫力のある歌唱である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/4d/b1d64952a9920b36f4e8743e6d31ef97.png)
イエスが「最後の晩餐」のあと、弟子たちを残して、
ゲッセマネの丘に登る。
イエスはすでに自分が捕まり、刑に処せられることを予感している。
そこで神にその苦悩を訴えるのである。
新約聖書ではその祈りの詳しい内容は書かれていない。
たった数行のみである。
「もしできることならこの杯を私から過ぎ去らせてください。
しかし私の思いでなく、みこころのままに」・・・。
この短い聖書の言葉から、
「JCスーパースター」の作者はイエスの内面の葛藤を
想像の羽根を広げ、長いアリア(独唱)として完成させたのだ。
「神よあなたを知りたい なぜ私が死なねばならないのか」
「あなたを知らねばならない
私が死なねばならない理由を教えてくれ」
「よろしい、私は死のう
あなたはすべてのカードをお持ちだ
私が死ぬさまをよく見ていてください」
「よろしい、貴方が飲めと仰るのならこの毒の杯を私は飲もう、
それを貴方が望むのならば」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/69/76011376b2c2d97ecf73a076a50cc9d8.png)
この作品はどちらかといえばイエスを裏切ったとされるユダや、
マグダラのマリアが主役として扱われていて、
イエスは始めは傍役的に思えたのだが、
このクライマックスでの絶唱により、いっきにその存在感を見せつけた。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」は、
もともと始めはレコード制作から始まった。
作者はのちに「オペラ座の怪人」や「エビータ」など、
名作を次々と世に出すアンドリュー・ロイド・ウェバー(作曲)、
ティム・ライス(作詞)のコンビ。
「ジーザス…」はイエスの最後の7日間を描く。
レコードの好評を受けて舞台化され、
ブロードウェイとロンドンのウェストエンドで上演された。
全編セリフはなく、楽曲のみの「ロック・オペラ」と称された。
映画化はノーマン・ジュイソンが現地・イスラエルで全編ロケをして
完成させた。
歌曲がいずれも美しく、名曲ぞろいだ。
イエスをあたかも人気者のスターとして、ユダはそのマネージャー、
マグダラのマリアはグルーピーのように描かれていて、
当時の世相を反映しているようだ。
初めてこの映画を見た時、難解だとか、
(物語の背景が)良く分からないと言う人がいることに驚いた。
自分はプロテスタント系キリスト教の学校に通っていたので、
礼拝の時に毎日新約聖書を読み、賛美歌を歌い、
新約には親しんでいた。
イエスやその弟子たちの行状には親しみを持っていた。
だから映画の内容はすっと入って来た。
そのころ、新約聖書は日本人なら基礎教養として、
誰でも読んでいて、誰でも知っているものだと思い込んでいた。
学校の授業でも習っていたからだ。
まさか日本人は新約聖書の大まかな粗筋すら知らないとは
思いもしなかった。
日本人がアメリカなど海外の人たちと接触する機会があるのなら、
聖書を大まかであっても基礎教養として知っておくべきだとの思いは、
今も変わらない。
イエスの最後の7日間は、
新約の中でも波乱万丈の物語が急展開する場面になっている。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」の
イエスが鞭打ちの刑を受ける場面もYouTubeに上がっていた。↓
これはイエスが磔刑に処せられる経緯を知らなければ
確かによく理解できないかもしれない。
(ショッキングな鞭打ちの場面があるので要注意)
Jesus on trial before Pilate (with lyrics)
cogs999
https://youtu.be/UPCpXFInjDw?si=VvYPru18t1Ky4Wlv
イエスの活動した歴史背景といえば、
当時のユダヤはローマ帝国に支配されていた。
ユダヤの王はヘロデ王で、
ユダヤ人はローマへの税と自国ユダヤへの税との二重課税で苦しんでいた。
さらにエルサレムの神殿を司っていたのはパリサイ人(びと)で、
彼らはユダヤ教の決まり事を厳格に守る一派で、
神殿に高価な貢物をしなければ天国へ入れないとし、
民衆に暗に高価な貢物を要求していた。
イエスは重税に苦しむ民衆に対して、
「天国はあなたがたのものである」といい、
厳しい戒律を守る事が最も大切なことなのではなく、
神を信じていれば誰でも天国に入れる、と説いた。
(ざっとおおまかに💦)
その貧しい人々を救う教えにイエスを支持する人々が増え、
パリサイ人たちは
自分たちの戒律に反するイエスの教えが広がることに危機感を覚えた。
そしてイエスをなき者にしようと画策するが、
ユダヤには取り締まる法律がない。
そこでパリサイ人はイエスが人々を扇動して、
ローマに反乱を起こす反逆者であるとしてローマ人に捉えさせようとする。
当時のユダヤにおけるローマ総督はピラトであった。
ピラトはイエスがローマへの反逆者というより、
この問題がユダヤ人同士の宗教上の対立だと見抜いていた。
始め、ピラトはイエスに罪を問うことは出来ないと考えていたが、
パリサイ人に扇動された民衆はイエスを処刑するよう強く求めた。
捉えたイエスに尋問してもイエスは何も答えない。
ピラトは仕方なくこの件から手を引き、イエスの処刑は決定した。
イエスの罪状は「ユダヤの王」であった・・・。
↓昔書いた映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」の感想はこちら
Art Maniacs
http://isabea.web.fc2.com/movie/review/jesus.htm
ジーザス・クライスト・スーパースター
映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」の公開から50年を記念して、
ジーザス役を演じたテッド・ニーリーが改めて舞台で「ゲッセマネ」を歌ったらしい。
↓
Jesus Christ Superstar - 50th Anniversary-
Gethsemane 2023 - Ted Neeley New Vocals
Ted Neeley
https://youtu.be/kafVDGP2H8A?si=IeKM0RcnXjIxgq4a
50年の時を経て歌声が衰えていないどころか、
ハイトーンのシャウトが健在なのに驚く。
感動的な歌唱は当時のままだった。
73年当時は攻撃的に「神」に問うていたのが、
現在は枯れて切なさがより前に出ている。
説得力のある歌唱はそのままだ。
容貌が年を経てますます聖人に近づいた感があり、
この人ほどイエス役にぴったりの人はいないだろう。
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映画「ジーザスクライスト・スーパースター」のクライマックスで、
イエスが神に向かって問いかける「ゲッセマネの祈り」。
イエス役のテッド・ニーリーの感動的な絶唱・シャウトだ。
イエスはここでは神の子というより、一人の苦悩する人間である。
人として死の恐怖や苦悩を父である神に荒々しく問い、ぶつけるのだ。
Jesus Christ Superstar | Gethsemane
(I Only Want to Say)
Universal Pictures
https://youtu.be/ndZ6B1EaJEs?si=0hVLSfwpBaQFT17s
久しぶりに聞いてもこの熱唱には胸を打たれる。
美しいメロディーとともに、魂の絶唱が心に響く。
まさにそこに神がいて、神と対話しているかのような迫力のある歌唱である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/4d/b1d64952a9920b36f4e8743e6d31ef97.png)
イエスが「最後の晩餐」のあと、弟子たちを残して、
ゲッセマネの丘に登る。
イエスはすでに自分が捕まり、刑に処せられることを予感している。
そこで神にその苦悩を訴えるのである。
新約聖書ではその祈りの詳しい内容は書かれていない。
たった数行のみである。
「もしできることならこの杯を私から過ぎ去らせてください。
しかし私の思いでなく、みこころのままに」・・・。
この短い聖書の言葉から、
「JCスーパースター」の作者はイエスの内面の葛藤を
想像の羽根を広げ、長いアリア(独唱)として完成させたのだ。
「神よあなたを知りたい なぜ私が死なねばならないのか」
「あなたを知らねばならない
私が死なねばならない理由を教えてくれ」
「よろしい、私は死のう
あなたはすべてのカードをお持ちだ
私が死ぬさまをよく見ていてください」
「よろしい、貴方が飲めと仰るのならこの毒の杯を私は飲もう、
それを貴方が望むのならば」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/69/76011376b2c2d97ecf73a076a50cc9d8.png)
この作品はどちらかといえばイエスを裏切ったとされるユダや、
マグダラのマリアが主役として扱われていて、
イエスは始めは傍役的に思えたのだが、
このクライマックスでの絶唱により、いっきにその存在感を見せつけた。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」は、
もともと始めはレコード制作から始まった。
作者はのちに「オペラ座の怪人」や「エビータ」など、
名作を次々と世に出すアンドリュー・ロイド・ウェバー(作曲)、
ティム・ライス(作詞)のコンビ。
「ジーザス…」はイエスの最後の7日間を描く。
レコードの好評を受けて舞台化され、
ブロードウェイとロンドンのウェストエンドで上演された。
全編セリフはなく、楽曲のみの「ロック・オペラ」と称された。
映画化はノーマン・ジュイソンが現地・イスラエルで全編ロケをして
完成させた。
歌曲がいずれも美しく、名曲ぞろいだ。
イエスをあたかも人気者のスターとして、ユダはそのマネージャー、
マグダラのマリアはグルーピーのように描かれていて、
当時の世相を反映しているようだ。
初めてこの映画を見た時、難解だとか、
(物語の背景が)良く分からないと言う人がいることに驚いた。
自分はプロテスタント系キリスト教の学校に通っていたので、
礼拝の時に毎日新約聖書を読み、賛美歌を歌い、
新約には親しんでいた。
イエスやその弟子たちの行状には親しみを持っていた。
だから映画の内容はすっと入って来た。
そのころ、新約聖書は日本人なら基礎教養として、
誰でも読んでいて、誰でも知っているものだと思い込んでいた。
学校の授業でも習っていたからだ。
まさか日本人は新約聖書の大まかな粗筋すら知らないとは
思いもしなかった。
日本人がアメリカなど海外の人たちと接触する機会があるのなら、
聖書を大まかであっても基礎教養として知っておくべきだとの思いは、
今も変わらない。
イエスの最後の7日間は、
新約の中でも波乱万丈の物語が急展開する場面になっている。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」の
イエスが鞭打ちの刑を受ける場面もYouTubeに上がっていた。↓
これはイエスが磔刑に処せられる経緯を知らなければ
確かによく理解できないかもしれない。
(ショッキングな鞭打ちの場面があるので要注意)
Jesus on trial before Pilate (with lyrics)
cogs999
https://youtu.be/UPCpXFInjDw?si=VvYPru18t1Ky4Wlv
イエスの活動した歴史背景といえば、
当時のユダヤはローマ帝国に支配されていた。
ユダヤの王はヘロデ王で、
ユダヤ人はローマへの税と自国ユダヤへの税との二重課税で苦しんでいた。
さらにエルサレムの神殿を司っていたのはパリサイ人(びと)で、
彼らはユダヤ教の決まり事を厳格に守る一派で、
神殿に高価な貢物をしなければ天国へ入れないとし、
民衆に暗に高価な貢物を要求していた。
イエスは重税に苦しむ民衆に対して、
「天国はあなたがたのものである」といい、
厳しい戒律を守る事が最も大切なことなのではなく、
神を信じていれば誰でも天国に入れる、と説いた。
(ざっとおおまかに💦)
その貧しい人々を救う教えにイエスを支持する人々が増え、
パリサイ人たちは
自分たちの戒律に反するイエスの教えが広がることに危機感を覚えた。
そしてイエスをなき者にしようと画策するが、
ユダヤには取り締まる法律がない。
そこでパリサイ人はイエスが人々を扇動して、
ローマに反乱を起こす反逆者であるとしてローマ人に捉えさせようとする。
当時のユダヤにおけるローマ総督はピラトであった。
ピラトはイエスがローマへの反逆者というより、
この問題がユダヤ人同士の宗教上の対立だと見抜いていた。
始め、ピラトはイエスに罪を問うことは出来ないと考えていたが、
パリサイ人に扇動された民衆はイエスを処刑するよう強く求めた。
捉えたイエスに尋問してもイエスは何も答えない。
ピラトは仕方なくこの件から手を引き、イエスの処刑は決定した。
イエスの罪状は「ユダヤの王」であった・・・。
↓昔書いた映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」の感想はこちら
Art Maniacs
http://isabea.web.fc2.com/movie/review/jesus.htm
ジーザス・クライスト・スーパースター
映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」の公開から50年を記念して、
ジーザス役を演じたテッド・ニーリーが改めて舞台で「ゲッセマネ」を歌ったらしい。
↓
Jesus Christ Superstar - 50th Anniversary-
Gethsemane 2023 - Ted Neeley New Vocals
Ted Neeley
https://youtu.be/kafVDGP2H8A?si=IeKM0RcnXjIxgq4a
50年の時を経て歌声が衰えていないどころか、
ハイトーンのシャウトが健在なのに驚く。
感動的な歌唱は当時のままだった。
73年当時は攻撃的に「神」に問うていたのが、
現在は枯れて切なさがより前に出ている。
説得力のある歌唱はそのままだ。
容貌が年を経てますます聖人に近づいた感があり、
この人ほどイエス役にぴったりの人はいないだろう。
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