こんな夢を見た…
どうしてそんな簡単な事が解らないのか、苛立ちながら走り続ける。
指の間から零れ落ちる渇き切った砂を必死に運ぶ。
「ナンノタメニ、ナンノタメニ…」
頭の中を駆け巡る言葉を呟きながら
「ドウシテ、ドウスレバ…」
誰のためでも無い、自分の為なのだと言い聞かせながら
「イソゲ、イソガナクテハ…」
立ち止まる事は簡単だと知っている。
しかし、再び走り出すには震えるような感動と絶妙なタイミングが必要である事も知っている。
眼の前にいる未だ愚かだが、純粋で無垢な木偶の坊に叫ぶ。
『本当に大切なのは未来ではない。後悔しない今を生きる事だ。』
しかし声には成らず、相変わらずデクノボウハ時を費やす事に必死になっている。
「アア、モウコンナジカンダ。イソガナクテハ…」
夢から醒めた。
『寒いと思ったら雪だ…積もるかな?』