家族が失踪してから今日で四年になる。
なぜ失踪したのかどこにいるかも分からず月2回かかってくる謎の
非通知電話だけが頼りだが何ともならない。
便りが無いので苦労しているのか楽しんでいるのかも分からない。
全くもって情報が無いので私も手の出しようが無い。
これは斡旋業者の手だとわかったのはケータイやスマホをみんな初
期化していっているところからだ。
普通ここまで徹底的に痕跡を残さず消えることは出来ない。
まして荷物もあるのだから自分たちだけではどうにも出来るはずが
ない。
便りが無いのは元気な証拠だと言うけれど、いきなり放り出されて
独りになった私には苦痛の毎日である。
家族のことを忘れた日など一日もない。
しかしこればかりはどうにもならないので来るか来ないかの者を待
つしかないのである。
ショックとストレスから来る病状は酷くなるばかりであるのだ。