英作問題『いちご 』
14. イチゴは、ビタミンCの含有率が果物の中でトップクラスであるが、冷凍保存すると、ビタミンCや、抗酸化作用が増加する。
⇒ 含有率がトップクラスということは、どういうことだろうか。
トップならば、一番で話が早いが、トップクラスということは、厳密に言うと一番ではないかもしれないが、1位2位3位を争う位置づけということだろう。例えば、走者として国内トップクラスということなら、He is one of the fastest runners in Japan. というように、一番早い人達の中の一人というような言い方をする。
上記と同じような感じで言うと、
Strawberry is one of the fruits that has the most vitamin C.
となる。
他には
Fruits like strawberries have the most vitamin C.
という風にするのも手である。
Some fruits have a lot of vitamin C, and strawberries are the best.
ビタミンCを多く含む果物があり、中でもイチゴがベストだ、といってもよいだろう。
『イチゴは、ビタミンCの含有率が果物の中でトップクラスである』とのことであるが、文の構造が複雑で、間違いやすいので、こういった文章は、特に英会話の時は、『要するに』の考えで、まとめたらよい。
上記の文章は、要するに、イチゴはビタミンが多く入っていると言っているに過ぎない。よって
・Strawberries have a lot of vitamin C.
で十分である。really でもつけて
・Strawberries really have a lot of vitamin C. とでも言えば、抜きん出た感じが出てよいだろう。
複雑な文章を言おうとして、間違えるよりも、単純化して、間違えずに意図を伝えられる方が、コミュニケーションとしては、ずっとよい。
high in~ や rich in ~ を使っても、含有量が多いという意味になる。
Strawberries are high in vitamin C. や、Strawberries are rich in vitamin C. となる。逆は low である。
例えば、We should eat something that is high in nutrients, low in cholesterol. ならば、栄養価が高く、コレステロール値が低い物を食べるべき、ということ。
『冷凍保存すると、ビタミンCや、抗酸化作用が増加する』
冷凍保存する、ということは、簡単に言うと、冷凍庫に入れることなので
・to put strawberries in the freezer.
冷凍する= freeze という語を使うと
・freeze strawberries.
freeze が言えなければ、具体的にどうなるかというと、氷のようになる(する)と言えば
・put strawberries in the fridge and make them like ice. とでも言えば、十分通じる。
『ビタミンCが増加する』
増加する、と言われると、ほぼ誰しもが increase を思い浮かべる。別に良いが、まずは基本として more を使いこなして頂きたい。
more を使うと、増加するということは、もっと多くなるということなので
・Strawberries will have more vitamin C. となる。
『抗酸化作用が増加する』
酸化とは、鉄が酸化により錆びるのと同様、物質が酸素と合わさることで、呼吸によって体内に取り込まれた酸素は、細胞内のミトコンドリアによってエネルギーに変えられるが、取り込まれた酸素の数%は活性酸素となる。活性酸素は、ウィルスや菌を攻撃して体を守る役割があるが、ストレスや食事内容によって、活性酸素が増えすぎると、今度は逆に、血管や、皮膚、臓器を傷つけ、病気や老化の原因となる。そのために、過剰な活性酸素を抑える必要から、抗酸化作用のあるビタミンCやE等を摂取する必要がある。
抗酸化について少し調べたが、概略こういったことだろうか。
ミトコンドリアがエネルギーの生成に欠かせないことや、活性酸素の働きは、本当に興味深い。毎朝、朝食時に、ナッツ類を食べているが、まあ健康にいいのだろうぐらいしか、私は思っていなかったが、活性酸素を抑える抗酸化作用のあるビタミンE等が含まれているからこそ、血管や心臓によいということが、理解できた。
さて、これをこのまま英語で言おうとすると、それぞれの用語を英語で知っていないといけない。
では、会話で『抗酸化作用』と言いたいと思った時に、該当する英語である、例えばanti-oxidant (抗酸化物質)等を知らなければどうしたらよいだろうか。
こういう時は『要するに』という発想をすればよい。
抗酸化作用が増加するということは、要するにどうなることだろうか。
まずは、抗酸化の前に、酸化を考える。
酸化することで、『結果的に』人体はどうなるか。鉄がさびるのと同じで、老化する(もしくは病気になる)。
では、抗酸化作用とは、何か。老化という側面を考えれば、それに抗(あらが)うことと考えれば、当然老化の反対なので、若さを保つこととなる。よって、抗酸化作用が増加するとは、要するに『冷凍したイチゴを食べると、若くいられる』ということなので、
・You can stay young if you eat frozen strawberries.
・Frozen strawberries will keep you younger.
『冷凍保存すると、ビタミンCや、抗酸化作用が増加する』
・If you put strawberries in the freezer, they will have more vitamin C and the frozen strawberries will help to keep you younger.
などとなる。
普通、我々一般人が、抗酸化作用というのを聞くのは、大抵テレビのCMで、要するにアンチエイジングの文脈で語られるのが多い。だから、そういう常識を存分に駆使して、『抗酸化作用が増加』と聞けば、『要するに』と考えて、老化しない→若くいられる、とシンプルに思考すると、簡単な英語だけで十分に意図を伝えることが可能である。
話そうとすることが、少し込み入っていて、特定の言い方を知らなくても、少し考えて、常識を働かせれば、何とかなることも多い。
だから、特定の用語、言い方を知らないからと、すぐに白旗を上げるのではなく、そのことが、どういうことなのか、自分で考えて頂きたい。その時、我々の頭は、答えを弾き出すべく、フル稼働をし始める。頭を使うというこのプロセスこそが、自力で英語を話す、土台となる。
もちろん、その一方で、我々は、一つ一つ単語や英語表現を覚える努力を怠ってはならない。上級者ならば、抗酸化の話であれ、トピックがウクライナであれ、その分野の特有の用語に習熟することを目指すべきである。しかし、上級者であっても、そして専門家であっても、自分の得意な分野以外の語彙や事柄に関しては、必ずしも、それらを知悉(ちしつ)しているわけではない。
我々が、日本人として、日本語を話す際、全ての単語を知っているわけでもないのに、ニュースで見た専門的な事柄でも、自分なりにかみ砕いて、自分の言葉にして、家族や友人と、何の問題もなく話をしている。なぜ、同じことが、英語を話す時に、できないのだろう。そこに、英語上達のヒントが隠されている。