Joy Yoga

中東イスラエルでの暮らしの中で、ヨガを通して出会う出来事あるいは想いなど。

背骨整列 ターダアーサナのすすめ

2013-04-07 15:50:51 | エッセイ
前回の記事の最後に、最近「また背が伸びたんじゃない?」と言われたと書きました。
「んなこたぁない(笑)」とみんなの中のタモリさんが反応してくれたに違いありません。
髪型や服装をちょっと変えるだけで全身のバランスは違って見えるので、先日の件に関しては、おそらくそういう視覚的効果によるものだろうと思っています。

とは言え、ここイスラエルで私が出くわす面白い場面のひとつに、信号待ちやエレベーターなどで現地男性と居合わせると、かなりの高確率で「こんな背の高い東洋人のオンナがいるはずがない。どうせヒールの高い靴でも履いてるんだろ。」とでも言いたげな顔で私の足元に目をやるということがあります。普段私はペタンコの靴しか履いてませんから、それを見た瞬間に「東洋人は小さい」という彼らの固定概念が地味に覆されていく様子はなかなか面白く、爽快な気分にさえなります。


それはさておき、実際に私はヨガを始めてから姿勢が格段に良くなった自覚はあり、とりわけ背骨の並びが本来あるべき位置にほぼ矯正された成果は自ずと身長にも直結。コンプレックスで長年丸めていた背中を伸ばしたら2センチほどの変化が現れました。要するに、それほど姿勢が悪かったようです。

私が何故、背中を丸めがちにしていたか。今にして思うと本当にくだらない理由ですが、「好きな人より背が高くてはいけない。」この一点に限ります。
「小柄な女の子は万能でいいな」と心底で羨んでいた思春期に拍車をかけたのが、ある日の放課後の帰り道での出来事。すれ違いざまに近隣の男子校の生徒から「うわっ、デカい!」と囁かれてしまいました。見ず知らずの男の子のそのひと言が思春期の乙女心にはズシンと重く、以来、さらに意識して背中を丸めて過ごすように。「えーい、恋愛なんてクソ食らえ」な気持ちでロックに傾倒していったのもこの頃。どういうわけか無情にも身長は伸び続け、姿勢も態度も悪化の一途をたどります。


さて、当然ながら、背中を丸めると重心のバランスを保つ為に骨盤にも歪みが生じます。骨盤全体が後方に傾き、横からみた脊柱のS字ラインは崩れ、その状態が長期にわたれば肩こりや腰痛、内臓器官への弊害も出てくることになるのは容易に想像がつきます。それでなくとも私たちにはたいてい身体的な癖がひとつやふたつあるものです。例えば、バッグをいつも右側で持つとか、足を組むときはいつも左足が上だとか。こういった無意識のうちに行なっている何気ない動作によって、骨格のバランスは知らぬ間に、でも確実に乱されているのです。

これを正すためにヨガは最適な手段のひとつですが、かと言ってヨガ未体験の人に「さぁ、あなたもヨガで姿勢を正しましょう!」とここで熱く推奨したところで「うん、まぁ、そのうちね」と流されるのがオチでしょうから、敢えて今日はひとつ簡単なアーサナを提案したいと思います。

それはターダアーサナ。山のポーズとも言われています。

1)まず両足を揃えて立ちます。(X脚の人は両膝の内側が触れるところまで足を近づけます。)
2)重心を軽く前後左右に移動させ、体重を足の裏全体に分散させやすい位置を見つけます。
3)肩の力を抜きます。一旦、肩をぎゅーっと耳に近づけるように上げてから、脱力と同時にストンと下げます。
4)軽く顎を引きます。頭頂から糸で空に引っ張られているようなイメージで。
5)前から見て肩や腰の高さが左右同じかチェック。このあたりで手足の長さが左右で違うなどということに気づく人もあるかもしれません。
6)横から見て、以下のポイントが一直線になっているかチェック。
  耳→肩の中心→肘→腰の中心→膝→くるぶし
7)丹田(おヘソの少し下)を引き締め(この時、お尻を突き出さない)、胸を開き、全身をリラックスして不動の山になった気分でゆったりと呼吸を続けます。

はじめは鏡の前でやったり、ご家族やご友人に見てもらうのが正しい姿勢への近道ですが、そこはやはりヨガなので、コツがつかめてきたら内的感覚をフルに使ってアーサナを味わっていきましょう。身体部位のどこが緊張してどこがリラックスできているかを観察したり、あるいはこのアーサナを長く維持する為には力の入れどころと抜きどころをどう調整するのか考えたり。そんな風に内面に意識を向けていくことでアーサナはより深まっていきます。


私はヨガに親しんだおかげで姿勢が良くなり、身体的に健やかになったのはもちろんのこと、このような観察力が養われて自分の中心軸を感じ取れるようになったことで精神的ブレも減り、凛とした気持ちで日常を過ごせるようにもなりました。
ターダアーサナがみなさんにとってのそんな毎日へのきっかけになればいいなと願いつつ。



ナマステ&シャローム
Nozomi

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