携帯スマホの話をしよう

スマートフォンなどのガジェットと言われる小型電子機器に関する話をメモ代わりに書き留めていきます。

Apple Car

2021-04-09 14:58:42 | 日記(徒然なるままに)
Apple Carなるものが噂が噂を呼んでいる状態にある。Appleが自動車のボディ製造下請けを探して、何社かと協議したが、今のところ合意は得られていないとの事のようだ。

Appleと言えば、一般消費者はMacやiPhone等のメーカーとして、好感度が高いようであるが、ビジネスの相手としてはかなりえげつなく、Appleのせいで破綻した部品メーカーもかなりあります。
Appleの調達方針は限りなく高品質で限りなく安価にであるとしか思えません。大量発注を匂わせて、その量で利益が出る金額まで買い叩かれます。しかし、その大量発注は確定ではなく、あくまでAppleの計画であり、保証されません。結果として、Apple製品が計画通り売れない(これまで数回ある)と部品メーカーは赤字取引となり、体力が弱いと破綻します。Appleは製品販売のリスクを部品メーカーに押し付けているわけです。
鴻海精密工業が安定して利益を上げられるのは、この辺のコントロールが旨いのか、変動時の条件が他社と異なるか、またはその両方だと思います。

卑近な例として、コンビニ等のPBブランド生産に近い発想と考えられます。生産ラインの稼働率上昇が期待できる代わりに利益のない受託生産を行う形です。PB製品が安く売られていることからも分かるように、かなり安い価格で生産を受託しています。

ここで、食品やスマホの生産受託と自動車の生産受託の差を考えましょう。実は、設備費用が高くて人件費比率が小さいほどPB製品受託はメリットとなります。稼働率向上がそのままダイレクトに製造原価低減に繋がるからです。しかし、人件費が占める割合が高かったり、生産設備の占める原価率が高くない場合には、稼働率アップの恩恵は限定的になります。

以上を現状として考えると、自動車メーカーでAppleの条件を飲む所は現時点では無いと思います。理由は以下の通りです。
1.工場の稼働率は上昇するので、製造原価率は低減するが限定的で、取引だけでは利益が上がらない
2.Appleの下請けというポジションなので、既にブランドを確立しているメーカーには美味しくない。
3.生産量を保証されないので、生産計画が頻繁にフレキシブルに変更せざるを得ない事態が予想され、生産ラインの負荷が過大となる。特に人件費の増減が難しい。

Appleの要望を飲む可能性のあるメーカーは新興企業のみであり、新興企業ではAppleの要求する台数の生産は不可能と思われます。現在鴻海精密工業が自動車生産に乗り出すとのニュースがありましたが、Appleの要望に応えられるのは、現状としては将来的に鴻海だけと考えます。

鴻海はパソコンやスマホの生産受託で継続して利益を上げていますので、鴻海が自動車生産の体制を整えた時は、既存自動車メーカーにとって脅威となると思われます。