母の荷物はだいぶ減らしたつもりだが、まだまだ大物がある。
和箪笥と鏡台などは一周忌が過ぎるまで手を付けないと決めた。
押入れにいっぱいだった衣類や小物、衣装ケースを二階に上げて一階の居住スペースを活用することにした。
後は少しずつ片付けて行こう。
衣装ケースの中身を詰めて空いた物と小さい箪笥、装飾品などを市のクリーンセンターへ持ち込むことにした。
キッチンのリフォームをした時に断捨離を始めてからクリーンセンターには随分と通った。
市民なら一回100キロまでは無料で処分してくれる。
初めての時は知らなくて126キロ。
1キロ100円だから2600円の超過料金お支払い
なので次からは小分けして持ちこんでいる。
物を捨てるのに感傷的にならないことが大切だ。
しかし、簡単にはいかない。
長年一緒に暮らしていればね…
緑色の小さい箪笥、引き出しを出せば一人でも動かせるので車に積み込んだ。
この箪笥は祖父が使っていたものだ。
祖父が亡くなった時に母が譲り受けてきた。
この箪笥に母は身の回りのものを入れて大切に使っていた。
老人ホームに入居する時、寂しくないようにこの箪笥を持っていった。
ホームを退居するとき、もう引き出しがガタガタになっていたが家に引き上げて保管しておいた。
母が生きているうちに捨てるのは出来なかった。
しかしいつまでも思い出には浸っていられない。
「思い切ってサヨナラしましょう、ゴメンナサイでいいのよ」と住職夫人がおっしゃった。
心残りのないように、長い間ありがとうと手を合わせ塩を蒔いてお清めする。
くだらないかもしれないが、自分の気持ちが済めば良いのだ。
人間なんてそれぞれにくだらない拘りが多いもんだ。
空っ風が吹き荒れる青い空に高浜クリーンセンターの煙突が聳える。
休日明け、年末に向かってゴミの受付は混んでいた。
それでも丁度よく車の途切れた時間帯のようで数台の待ち時間で入ることが出来た。
捨てる事は悪いことではない。
思い出に値段はつけられない。
これから残っている物のほうがやっかいな思い出の籠もったものばかり…
写真とか日記とか…
断捨離は続いていく。