「おくのほそ道」5(夏草やつわものどもが夢のあと)

松島から次の目的地は平泉。しかし道に迷い、漁師や木こりしか通うことがないだろう山道を歩き、苦労して石巻という港に出る。さらに、金華山を海上に見ながら歩く、山には竈(かまど)の煙が見える。宿を探すが、貧しい「小屋」といっていいウチを見つけ頼み込んで一夜を明かし、さらに苦労しながらようやく北のはずれの平泉にたどり着くことができた。

この平泉の地は、今を去る500年の昔、奥州の豪族藤原一族が繁栄を誇っていた地。藤原清衡・基衡・秀衡の三代の頃この地は日本第二位の都といってもいい所だった。
しかし今はみる影もない。戦場にならなければならなかった場所のせいで、唐の詩人杜甫がうたった「春望」を思い出すのだ。

国破れて山河あり 
城春にして草木深し 
時に感じては花に涙をそそぎ 
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす 
烽火三月に連なり 
家書萬金にあたる 
白頭掻けば更に短く 
渾て(すべて)簪(しん)に勝(た)えざらんと欲す

時間のたつのを忘れて涙を流した。そしてしみじみと思う。いくさにこめた人々の思いなどを。
夏草や兵(つはもの)どもが夢の跡
(夏草のそよぐようすを見ると、功を競って戦った兵(つわもの)たち誰もが胸にもっていた夢を思い出されるのだ)。
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