これは義母を見ていて思ったことだった。
義母は88歳まで一人暮らしをしていたが、
ついにそれが無理になって、急遽私が世話をすることになった。
世話を始めた当初は、近所の方々にも、目に見えて元気になられましたねと言われていた。
一人暮らしの間は十分食べていなかったから、その効果があった。
それが、私が大腸癌になって入院をしないといけなくなった段階で
老人ホームに入ってもらうことになった。
入所した当初は、まだまだ私達のことがわかっていた。
が、あっという間に、私の夫が自分の息子ということがわからなくなった。
私のことも自分の従妹というようになった。
一方、私の母は、最期まで老人ホームに入らなかった。
というより、実家の近くのグループホームに申し込みをしたのだが、
喋れるし歩けるから入所できませんと断られた経緯がある。
そのせいで、母は最期まで自分の食べたいものを食べて行きたいところに行った。
それによって家族が迷惑を被ることもたくさんあったが、
とにかく死ぬまで好きなように生きた。
だからか、認知症にはならなかった。
義母が認知症になったのは、
老人ホームの代わり映えしない日常もよくなかったかもしれないが、
それより私は栄養面が大きかったと思う。
いつ行っても、お年寄り向けの献立だった。
おいしそうではあるが、あれでは元気がでないのではと思うような献立である。
一方、私の母は、義姉がご飯を作ってくれないから、
お掃除のおばちゃんにお弁当を作ってもってきてもらっていたが、
たまには、自分ひとりで焼き肉を食べに行ったりもしていた。
今から考えたら、その自由がよかったのかもしれない。
グループホームに入れていただいていたら、
母は楽であったかもしれないが、
肉類などは十分に摂れなかったと思う。
その意味では、最後まで老人ホームに入らなかったのはよかったと言える。
たまたまお弁当を作ってもってきてくれるお掃除のおばちゃんが料理上手だったのも
今から思えば、母には幸運だったと思う。
年取れば取るほど栄養が大事とは、この頃よく言われるが、
私は、義母、実母の二人の母を看た体験から、それを実感する。
2人とも偶然同じ93歳になる直前の92歳で亡くなったが、
最後まで食欲旺盛だった母は心臓が悪くなければ100歳まで生きたと思う。
私も、できるだけ老人ホームには入らないで、来たる高老年期を迎えたい。