超空洞からの贈り物

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炭素繊維強化プラスチックの有望なリサイクル技術

2009年03月06日 19時20分42秒 | Weblog
 炭素繊維とプラスチックの複合材料であるCFRPは、強くて軽いといった利点から、飛行機、宇宙機器、ゴルフシャフト、釣竿等の広い分野で使用されています。最近、自動車の車体の軽量化による燃費向上のために、これまでの金属に代わる新規材料として注目されています。
 しかしCFRPには加熱すると硬化してしまうという、再利用が困難な熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)が使用されています。CFRPの需要は年々増加の傾向にある一方で、微生物により自然分解されず、適当なリサイクル技術がないプラスチック製品の使用量の増大は廃棄物量の増大に直結します。
 今後、CFRPを広く使用するためにはリサイクル技術の開発が不可欠です。更にCFRP中の炭素繊維は比較的高価な材料です。炭素繊維を回収して再利用することは資源の節約のみならず、CFRPのコストの低減に寄与します。

 そこで静岡大学工学部物質工学科では、超臨界アルコールを用いてCFRP中の熱硬化性樹脂の架橋点を選択的に分解し、アルコールに可溶な状態に変換することで、炭素繊維とプラスチック部分をそれぞれ分離・回収する技術、更に回収後のプラスチック部分はアルコールを除去して再成形した後、硬化剤を加えて再度熱硬化性樹脂に戻す技術を開発しました。

 この技術は、高価な炭素繊維を付着物がなく無傷で回収できると共に、もう一方の構成物のプラスチック部分もプラスチックとして再利用が可能なリサイクル技術です。本技術では分解溶媒として沸点の低いアルコールを使用するため、分解後、樹脂を回収からアルコールを容易に除去できます。また分解する際に触媒を使用しないため、回収した樹脂に触媒が残留する恐れが無く、樹脂の再成形や再硬化への悪影響がありません。

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