超空洞からの贈り物

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うつ伏せの埋葬、死者を辱めるため?

2009年06月25日 07時11分39秒 | Weblog
 古代の死体には、うつ伏せの状態で埋葬されているものがある。最新の研究によると、この埋葬法は“安らかに眠れ”という意味ではなく、広く行き渡った意図的な慣習であることが示唆された。

 うつ伏せに埋葬された死体は珍しく、専門家らの間でもこれまでは偶然の産物であると考えられていた。しかし今回、この埋葬形態について初めて世界的な研究が実施された結果、複数の地域社会においてうつ伏せの埋葬は、死者をさげすみ、辱める意図の下に行われていた慣習であった可能性が出てきた。

 研究を率いたスウェーデン国立遺産局国家文化遺産委員会のキャロライン・アルツィニ氏は次のように語る。「今回の研究結果から、うつ伏せの死体に共通した傾向があることがわかった。こうした死者への否定的な扱いは、地域社会による制裁として行われており、死者が生前、社会的に受け入れられない常軌を逸した行動を取ったことを示している場合が多い。死者を卑しめる行為は、人間の精神の深いレベルに根ざした行動である可能性が高い」。

 同氏は現存する文献を調査し、全世界を対象としたものとしては初となる“うつ伏せで埋葬された人々の目録”を作成した。ペルーから韓国まで215カ所もの埋葬地を対象とし、600体を超える死体に関して記述を確認したという。

 その結果、うつ伏せでの埋葬は2万6000年前から第一次世界大戦までの時代にかけて認められ、その対象は老若男女さまざまだが、大部分は男性であることが明らかになった。このような埋葬形態は、個人埋葬、複数埋葬、集団埋葬のいずれのケースでも確認されたという。

 うつ伏せでの埋葬が複数見られた墓地では、うつ伏せの死者は墓地の片隅の浅い穴に葬られ、棺にさえ入れられていないことがほとんどだった。なかには、手足を縛られていることから、犯罪者や戦争捕虜であった可能性が示唆されるものもある。同氏はこうした状態からさまざま解釈ができるとして、次のように語っている。

「うつ伏せでの埋葬は社会的地位に関連している場合もある。例えば、紀元前1150~850年のものと見られるメキシコの墓地では、埋葬されていた80体のうち男性6体だけが座った状態、残りの74体はうつ伏せに葬られていた。おそらくは座った姿勢の死体が指導者的立場にいた人々で、ほかは社会的地位の低い人々だったのだろう」。

 アルツィニ氏はこのほかにも、宗教や文化の対立が影響している可能性があると指摘する。「スウェーデンの場合、うつ伏せの死体が最も多いのはバイキング時代にキリスト教が伝来したころで、多神教だったバイキングたちは、キリスト教に改宗した仲間のことを受け入れず、反感を示す形として、うつ伏せにして埋葬したのかもしれない。規律を破った修道女や、有罪宣告された魔女なども、うつ伏せの姿勢で葬られていた」。

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