しばらくしてから、また入って来てはいないだろうな、と物置の戸をおそろおそる開けるワシ。が、あちこちの穴を塞いだ甲斐あってか、中にはいなかった。ほっとする。しかし、待てよ…。
念のため、裏にまわってみる。裏には軒先を延長したかたちで『戸のない物置』のようになっているのだ。ここの奥に置いてあるむしろは「スイカの苗のまわりに草が生えないように敷くから、出しておいてくれ」とば~ちゃんに頼まれていたのだ。
おそるおそるそこを見ると…、ヤツらがいた! 肌寒い梅雨には暖かいのか、ちゃっかりむしろの上に親子そろっていた。見れば子猫はまえに見たときより1匹多く、4匹いたようにおもう。マサカズのほかは『タカヒロ』『リョウ』、残りの1人は芸能人にならなかったからもう1匹は『イッパンジン』と温ペンが名付けた(説明省略)。
この連中、ワシを見るやいなや、真っ先に親ネコが逃げ出した。なるほど、たしかにいくらか太っている。それに尻尾がほんのちょっとしかない。こいつはときどきそのへんで見かけていた『シッポナ』である。また、近くにはもう1匹、大人のネコがいた。こいつが連中の父親であろう。チビシマではなかったのだ。こっちはシッポがフサフサしているので『フサイチ』と、仮に名付けておこう。
ワシは心を鬼にして連中を追い立てた。子猫たちもどうやら逃げたらしい。ワシはほっとしながらも、ここはフタをするわけにはいかない、こりゃときどきミニ来なけりゃいかんな、と考えていた。
2時間後、もう一度様子を見に行った。おそるおそる例の『戸のない物置』をのぞくと、やっぱり連中は戻ってきていたんである。しかも今度は母であるシッポナはワシにむかって「シャアア~ッ」と牙をむいて凄んでみせた。一瞬、怯むワシ。一方、父ネコ・フサイチはいつでも逃げ出せる遠くのほうで様子をうかがっていた。
ワシは再び心を鬼にして連中を追い立てた。しかし、子猫はあんまり怖がらないのである。特にマサカズは奥にひっこんではいるが、外には出てこない。こんなやつを無理に追い立てては死んでしまうかもしれない。
考えてみれば屋根があって、しかもむしろまで敷いてある場所なんてあんまりないのであろう。
しかたがない。しばらく目をつぶろう。早く子猫がかわいくないほどでかくなってひとり、いや1匹で生きていけるようになってくれ。そうすりゃ一家離散するのではないか? スイカのむしろ敷きはしばらく待ってやろう。
次の日は雨であった。ワシは所用があって一日留守にしなければならない。ワシは嫁(温ペン)に、もう追い立てなくていいけども、いちおう様子を見といてくれ、と頼んでから出かけたのであった。
そして…事態は意外な展開を見せたのであった。 (次回、完結編につづく)
念のため、裏にまわってみる。裏には軒先を延長したかたちで『戸のない物置』のようになっているのだ。ここの奥に置いてあるむしろは「スイカの苗のまわりに草が生えないように敷くから、出しておいてくれ」とば~ちゃんに頼まれていたのだ。
おそるおそるそこを見ると…、ヤツらがいた! 肌寒い梅雨には暖かいのか、ちゃっかりむしろの上に親子そろっていた。見れば子猫はまえに見たときより1匹多く、4匹いたようにおもう。マサカズのほかは『タカヒロ』『リョウ』、残りの1人は芸能人にならなかったからもう1匹は『イッパンジン』と温ペンが名付けた(説明省略)。
この連中、ワシを見るやいなや、真っ先に親ネコが逃げ出した。なるほど、たしかにいくらか太っている。それに尻尾がほんのちょっとしかない。こいつはときどきそのへんで見かけていた『シッポナ』である。また、近くにはもう1匹、大人のネコがいた。こいつが連中の父親であろう。チビシマではなかったのだ。こっちはシッポがフサフサしているので『フサイチ』と、仮に名付けておこう。
ワシは心を鬼にして連中を追い立てた。子猫たちもどうやら逃げたらしい。ワシはほっとしながらも、ここはフタをするわけにはいかない、こりゃときどきミニ来なけりゃいかんな、と考えていた。
2時間後、もう一度様子を見に行った。おそるおそる例の『戸のない物置』をのぞくと、やっぱり連中は戻ってきていたんである。しかも今度は母であるシッポナはワシにむかって「シャアア~ッ」と牙をむいて凄んでみせた。一瞬、怯むワシ。一方、父ネコ・フサイチはいつでも逃げ出せる遠くのほうで様子をうかがっていた。
ワシは再び心を鬼にして連中を追い立てた。しかし、子猫はあんまり怖がらないのである。特にマサカズは奥にひっこんではいるが、外には出てこない。こんなやつを無理に追い立てては死んでしまうかもしれない。
考えてみれば屋根があって、しかもむしろまで敷いてある場所なんてあんまりないのであろう。
しかたがない。しばらく目をつぶろう。早く子猫がかわいくないほどでかくなってひとり、いや1匹で生きていけるようになってくれ。そうすりゃ一家離散するのではないか? スイカのむしろ敷きはしばらく待ってやろう。
次の日は雨であった。ワシは所用があって一日留守にしなければならない。ワシは嫁(温ペン)に、もう追い立てなくていいけども、いちおう様子を見といてくれ、と頼んでから出かけたのであった。
そして…事態は意外な展開を見せたのであった。 (次回、完結編につづく)