ぼやきぼやかれ、ふりふられ。

映画や本や神社や展覧会。あとは日々のつれづれです。

祖母との思い出

2015-12-16 23:26:30 | 日記
子供のころを思いだしてみる。

製紙業で栄えた町は、光化学スモッグに曇った夕焼けが、やけに赤く見えた。
絶えることなく立ち上る煙。

祖母と歩く散歩道に、工場の終業を知らせるサイレンが鳴り響く。
その音と、やけに赤い空。細くたなびく雲の影。

毎日の光景が、毎日なぜか怖くって、祖母の手を強く握りしめたっけ。

たったひとつの祖母の記憶。

煙突の数も減り、
煙の色も変わり、
町の臭いも変わった。

空の色も。

変わらないのは、
たったひとつの祖母との記憶。