kazさんの日々彩々2

どうして花は咲くのだろう?どうして小鳥はさえずるの?
やさしい想いや言葉にふれて、どうして人は泣くのかな?

スッポンの遺言

2010年07月06日 | 「想」の彩り
早朝、車を走らせていると、路上に平べったい不思議な物体が・・。
「何かな?」と思いつつ、スピードを落とし、じっと目をこらして見てみると、
なんとそれは、仰向けになってバンザイの格好になった、
大きな死んだスッポン・・。

道のすぐ側には川が有る。
おそらくは、この連日の雨に浮かれ過ぎて、川面から揚々と這い上がり
道を横断しようとしてたところを、運悪く車に引かれてしまったのだろう。
現場には、それを証明する血痕が数滴。
(写真を撮ろうかとも思ったが、絵的にどうかと思われそれはやめた。
また、「こいつを鍋にして・・」と、持ち帰ることも・・)

車に引かれて永久の眠りについたスッポンというのも、
なかなか世の中には珍しいのではないか?と思うのだけれども、
スッポンを知ってか知らずか、車で引いてしまった人というのも、
世の中にはそうはいないのでは?
それだけに、なんだかこれは悲しい事故。
そんな気がする..。

このスッポンがスッポンではなく、カメであったならば・・
もしかしたら、こんな悲惨な事故にはならなかったのかも知れない。
それは硬くて厚い甲羅が有るからだ。
頭と手足を甲羅の中に縮めたカメは石になったも同然。
無傷とまではいかないまでも、命はなんとか確保できたのでは?
その点、スッポンは実に不幸であった・・。
不憫であった・・。

甲羅のような物は背中に背負ってても、
それは軟質のもので、おまけに薄い・・。
自分の身体を守りようが無かったのだ。

けれどもスッポンは、その最後の時、カメを羨む事はしなかった。
いや、自分の姿と似てはいても異なる、硬くて厚い甲羅を持つ
カメという生き物の存在すらも知らなかったはずだ。
そしてそのことが、このスッポンにとっては最後の幸いだった・・。
似て非なる者を、羨み妬んでなんになる?

「我、全ての物を羨まず妬まず、天寿をここに全うし得し!」
道路に仰向けになって、バンザイをしているその格好は、
スッポンが無言で示した、そんな遺言だったのかも。

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