Y幼稚園でのお絵かき教室、“年中さん対中年おじさん”のバトルがついに今日始まった。
試合会場は、マリア様の御像が静かに審判を務める、リズム室という広い教室。
制限時間50分、年中さん29人を相手にする楽しいタタカイだ!。
こちらが用意した今日の作戦は、とりあえず皆の今のチカラを見せてもらうためのもの。
パレットの使い方・筆の持ち方・チューブ絵具の出し方などから始めて、実技へという誘導作戦。
その前に、ちょっとばかり29人の可愛い敵への、意地悪な質問を。
「みんなの前に、絵の具セットがあります。でも、これだけでは絵は描けません。
さて、何が足りないかな~?」
すると、元気な子たちが「ハイ!紙がないと描けません!」
「お水がないと描けません!」の答え。
「うん、そうだね!正解です。でも、まだ他にも用意しなくちゃならない物があります。
さて、なんだろ?」
さすがに、みんながシ~ンとなったところで、
「それはね、静かな気持ち、明るい気持ち、優しい気持ちなどです。
イライラしてたり、イヤだな~とか、くら~い気持ちでいると絵を描いてても楽しくありません。」
これは、まず初めに、僕なりに年中さん達に言っておきたかった言葉だったのだけれど、
それは、僕の検討外れな思いだったのだな・・ということが、実はあとから判明。
テキは、こちらが思っていた以上に恐るべし・・だ!
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実技の方では、水と絵の具の調合、混ぜ具合で色の濃淡が変わることや、
青と黄色、赤と黄色など色を混ぜると他の色に変わることの面白さ、
でも、あんまりたくさんの色を混ぜると、どんどん黒くなっちゃうよ!などを、
用意された画用紙に好きなように目一杯試してもらった。
それらの事が上手くできてる子もいれば、「あれ~?あれ~??」と悩んでいる子もいたり・・。
けれども、上手くできる子も、できない子も、みんな実に楽しそう!
中には、こちらが言ってること以上のことをやってる子もいたりして・・。
“絵を描くことは楽しいことなんだよ。”という事を、わかってもらうことが大事とばかり
僕は思っていたけれど、小さな子供たちは、そんなことはダレにも教えてもらわなくても、
ちゃんとわかってることだったんだな・・。
「イライラしてたり、イヤだな~とか、くら~い気持ちでいると絵を描いてても楽しくありません。」
・・そんな子は、はなっから居なかったんだと気づかされ・・
「まいりました!」と、ココロの中で29人の年中さん達に脱帽!
お稽古のために、同じ時間、同じ要領で自由に使った画用紙なのに、
終わってから見ると、みんなそれぞれ違いが有って・・。
これはこれで、もはやアート。
「思ってたより、みんな結構やりましたね~!」は、今日のお絵かき教室を見守り、
お手伝いしてくれた主任の先生のお言葉。
「ええ、やられちゃいましたよ~!」の思いで、こちらは、ただ頷くのみ・・。
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片付けも終わり、年中さんたちは遊び時間に・・。
僕も先生たちに挨拶をすませ、靴を履き帰ろうとしてたら、
何人かの子供たちが駆け寄って来て、何かを差し出して来た。
「ハイ!これ、幼稚園のハッパ!」
「ハイ!これは幼稚園の石!」
「何かさ、フクロみたいなものに入れて、持って帰ってよ!」
顔を見ると、さっきまで一緒だった年中さんたちの顔。
「えっ?もらっちゃっていいの?ありがと~!!」と、受け取ったものの、
それを入れるフクロなんて無く・・。
そんな様子を見ていた一人の先生が、笑いながら「あの、これをどうぞ。」と
一枚の小さな緑色の紙を差し出してくれた。
「これに包まれたら・・。」
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今、中2になる僕の娘も、ここの卒園生・・。今さらながら、
「ホントにいい幼稚園に、あいつは通わせてもらえてたんだな」と、
改めてそんな事も思わされ・・。
“年中さんVS中年おじさん”の第1ラウンドは、
なんだかテキ側の色んな攻撃を受け、ややこちら側の敗色ムードの感あり?。
「けれどもな、2ラウンド目は、そうはさせね~ぜ!」と、
中年おじさんは年中さんたちに向かって、
焼酎片手に次回のためへの反省と作戦を
早くも只今、練っているところなのだ。