風箱の徒然ブログ

旅の思い出話から、木工、日常の徒然を気ままに

トローリング

2008-05-13 21:13:00 | 1996~97原付日本一周沖縄編
1997年4月11日

今日は網の修理で終わった。
仕事の後、母船のMSさんがトローリングをやるというので、OMさんの勧めもあって船に載せてもらった。

港を出たと思ったら、MSさんがいきなり「おう、舵取りたのむわ。準備するから。これがガバナー、これがクラッチ。ほい、頼んだよ。」

え?あ?お~~!?

と、わけの分からぬまま舵を取る。

「もうちょい右、行きすぎ!左に切って!」

その間にMSさんは竿やワイヤの準備をしていた。

マグロやサワラは大きいので、ワイヤで引き上げる。
竿も魚が引っかかった時の合図のためで、引き上げには使わない。
手袋をはめて、直接ワイヤを手繰る。

船のデッキの天井には穴が開いていて(蓋もある)、そこから頭を出し、周りを見るわけだ。

しかし、今日はうねりが高く、潮をまともに顔に浴びる。
「プハー!」

「よし、旋回窓のスイッチを入れてやるからな。」

旋回窓。船の操舵室の窓に付いている円形のあれである。
車のワイパーみたいなものだ。
この時、初めて旋回窓の効用を確認した。
扇風機の「強」のスイッチを入れたような感じで、けっこう早く回る。
潮のしぶきは回転によって弾き飛ばされ、その部分ははっきり見えるが、何せ円形の部分は意外と小さいので、視界は狭い。

舵は左に押すと右に曲がり、右に引くと左に曲がる。
飛行機のラダーみたいな感覚と言ったらよいだろうか。


トローリングを開始して少し時間が経った。

「この辺にいるみたいなんだが、移動してしまったかもしれないなー。」
「エンジン回転もっと上げて」
「よーしOK」

デッキ右側にガバナーとクラッチのレバーがある。
黒い柄の方がクラッチ。前進と後退。
茶色の柄がガバナー。これはエンジンの回転を変えるアクセルだ。


舵を動かす棒は奇妙に曲がっていた。
舵取りは、船のスピードによる水の抵抗をダイレクトに受けるのでけっこう重い。
しばらくやっていると腕がだるくなる。

デッキの下のエンジン室を覗いてみたら、青っぽい色をしたエンジンと計器盤が見えた。
ドコドコドコとエンジンが唸っている。

1時間経ったが一度も魚はかからなかった。

舵取りは疲れるが、楽しかった。
漁船を操作するなんてそうそう体験出来ることではない。

この時も苦手な微速だったが、操舵していたためか、船酔いはしなかった。

しかし、港に着いて陸に上がると、陸酔いで頭がクラクラし、耳鳴りがした。