二十四節気をさらに細かく分けたものが七十二候といい、今は「蚕起きて桑を食む」というのにあたります。私が小学生だった頃には、小学校の前の文具屋さんで教材として「お蚕さん」を売っていました。もちろん桑の葉も一緒に売っていました。一匹、本当は一頭というらしいです。どれくらいの値段で売っていたのか、記憶が定かではありませんがそんなに高くはなかったと思います。紙箱に五、六頭入れて、毎日桑の葉をあたえます。一か月もかからなかったと思いますが、ちゃんと繭になりました。皇居で皇后さまが、「お蚕さん」に桑の葉をあたえられている新聞の記事を見て、昔のことを思い出しました。
十年ひと昔という物差しで測るなら、六昔にはなるでしょうか。私が小学生の頃にはとにかくこどもが近所には大勢いました。あたりが夕やみに包まれる時分まで、ビー玉、石けりやめんこ遊び、三角ベースに夢中でした。家庭にテレビがあるのは珍しく、まして携帯ゲーム機やパソコンなども夢のような時代。母親の「○○ちゃん、晩ごはんだよー」と呼ぶ声が聞こえるまで外で遊んでいたものです。家に帰るとラジオの連続放送劇の少年探偵団や笛吹童子をよく聞いていたものです。そろばん塾はありましたが学習塾はほとんど無かったと思います。発表によると十五歳以下のこどもの数は千五百五十三万人とか。毎年最少記録を更新中。気が付けば今、家の近くに小中学校に一緒に通った友は一人もいなくなりました。