水無月
2014-06-12 | ま行
何もない 乾いた時間が過ぎて ある日
昨日と違う いつもの風景
なみなみと 水が張られ
青い空と雲の白が さかさまに映り流れて行くさま
もう すぐ隣に 夏が来ている
緑色の小さな子供のような煌めきが
整然と 柔らかな絨毯のように
その中で 白い頬被りをしたおばあさんが
せっせと動いているのが小さく見える
その手元から大切に紡ぎ出される 穏やかな昼間の時間
ふくふくとした 土の匂いに
微笑みながら 陽は落ちて
静まり返った紺色のベルベット
チラチラと万華鏡のように 揺れる月の欠片
未だ冷えたままの梅雨待ちの風が 夜更けを透きとおってゆく
大きく曲がる道の先は 見えなくても
嬉しいんだ 時が過ぎることが
この手が風に遊び
この足で ひとり孤独に歩むことが
傍には にぎやかな蛙の大合唱が共にあり
命は とどまることなく巡る
その結果に 意味や正解は必要なく
愛しさが 溢れている
眠る子雀が夢見る明日は
黄金色の未来
希望に身を任せて 眠れ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます