アメリカの歴代大統領で今も人気ナンバーワンはケネディ。
人気の秘訣はスピーチ力。就任式での演説はいまも心に響く。
「あなたの国があなたのために何ができるかを問うのではなく、あなたがあなたの国のために何ができるのかを問うてほしい」と国民に問いかけた。
「自由を守るために、いかなる代償も支払い、どんな困難にも立ち向かう」、「みなさんに要求するものと同じように、強靭さと犠牲を我々にも要求してください」 と続けて語りかけている。
困難が待ち受けていたからこそ、「共に困難に立ち向かってほしい」と率直に呼びかけたケネディ。その言葉は国民の心を掴んだ。
国のトップリーダーが、人気を得ようと国民受けのすることだけを喋るのはたやすい。だが、国の実情をごまかして耳障りのいいことしか話さずに逃げるのは、最低の政治だ。
この国の通常国会がスタートした。軍事費倍増の財源は大きなテーマ。だが、岸田総理は国民に呼びかけるスピーチで財源となる「増税」を明らかにしなかった。
「次元の異なる少子化対策」は大いにいいこと。なのに耳障りのいい少子化対策が、きな臭い軍事費倍増の隠れ蓑のようにしか聞こえてこないのはなぜか。
軍事費倍増について国民の反応は賛成が7割だった。それが「財源は増税」となったとたんに反対が賛成を逆転。するとビビッたかのように「増税」はひっこんでしまい、施政方針ではまったく消えた。
困難が待ち受けているのに、国民の痛みをともなうことや、耳に痛いことは隠す。そうやって逃げていたのでは難題を克服できるわけがない。
この国では増やした予算は、ずっと既得権として続くことになる。その既得権を守ろうと無駄遣いしてまで消化する。官僚たちの作文合戦でだ。そうやってこの国の借金は膨らんできた。
ボーッとしていたら、財源を借金の国債でごまかされてしまう。