うんたま森のキジムナー

走れメロス

夕方、港へ行くと、いつもの顔ぶれが漁協の前で
ユンタク(井戸端話)をしている。
たまにはくだらない話の仲間入り。
その中の一人と親友のはずの奴が口も聞かずに前を通り過ぎて
行った。

「なんや、あいつ、お前達二人はコンビじゃないのか?」と
聞くと別の奴が、「知らないんですか?この二人、一年以上口を
聞いてないんですよ」と教えてくれた。その理由とは・・・・

二人でいつものように飲みに行ったらしい。
そしていつものようにはしご酒!
最後に入った店で二人ともお金が無くなった。
お互いにどちらかが持っていると思ったそうだ。
店のお勘定が払えないと知った店のママが、
「無銭飲食で警察に電話するわよ」と言ったので、
「俺が家まで金を取りに行ってくるから、お前は店で
待っていてくれ」と人質におき、足に自信のある彼は家までお金を
取りに走って帰った。

市内から車で約30分くらいの距離ではあるが、タクシー代も
ない彼はひたすら走った。数時間後、夜も明け出した頃、お金を
取って店に戻ってくると店はもう閉まっており
友人は家に帰ってグースカ寝ていたらしい。
(セリヌンティウスお前は俺を信用出来なかったのか!)
そんなくだらない事が原因で一年以上も口を聞いてないなんて・・・・
一日中、海にいるので陸の事情やニュースはあまり知らない。
たまにはユンタクに参加していないと地元の出来事がわからないもんだ。


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