ここから見える景色が好きだ。
この漁港には漁業だけで生計を立てている人は、
ほとんどいない。この近くに住むオジィは、
「昔は海に下りて行くのも大変だった」と言っていた。
今は舗装された漁港に通じる道があるけれど、急な坂道で
少し前までは雨が降るとタイヤが滑って車で登れるような
道路ではなかった。
オジィは海が好きで、タコを捕ったり、貝を捕ったり
暇があれば海に行く。オジィの話では、昔は自分の食べる分
だけ捕って、それくらいしか持って帰れなかった。
崖を降りて、そして崖を登って帰ってくるようなもの
だったから、家でその日に食べる分しか持ち帰れなかったと
言うわけだ。
今は道路が出来て車が通れるようになり、
「必要以上に捕らなければならなくなったから
物がいなくなってしまった。」と言うような事を言っていた。
オジィ一人がどれだけ捕ったって、たいした量ではないとは
思うけれど、言っている意味はなんとなくわかる。
浦底漁港周辺は、もともとあまり人が来るようなところでは
なかった。ウニやテラジャー(巻貝)などが豊富で、時期になれば
自然のモズクが海の色を変えるほどだった。
それが、今ではウニもテラジャーもモズクさえ捕れない。
乱獲が原因なのか港を造ったことが原因なのか、それとも道路が
整備されたことで環境がかわったのか、わからないけれど、
変わらないのは、ここから見える景色だけだ。
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