私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

安倍首相談話が首相の本心であるなら、安保法案の撤回と修正をすべきです。

2015年08月15日 | 混迷の国際情勢

 

各務原台地 B29空襲展

戦後70年首相談話は、喧々諤々の論議の結果、終戦記念日を前に大方の予想に反して、近隣諸国との関係改善を重視する内容に落ち着きました。世論調査の安倍総理支持率が50%を切ったことが影響したと思われますが、談話が、世界に日本の戦争責任を明確にしたことはよかったと思います。

首相談話の内容は、総体的には異論は有りません。歴史観、法律論、国際紛争、核問題、戦争責任,女性の人権について、丁寧に日本の立場を説明しています。しかし、戦後70年の日本を預かる政府を代表する首相談話で、過去の歴史について、戦争に関わりのない子や孫と、その先の世代の子供たちに「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」と言及したことは不可解です。

談話は続けて「日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」ことからも、子や孫が除外されていません。将来に向かって、全ての日本人に課せられた当然の責任です。

老いも若きも、過去の歴史はしっかりと学習して、未来に活かして行かなければなりません。安倍総理の首相談話は、国民のすべてに理解されるものとして、終戦記念日に日本の決意を新たにしたのです。首相お得意の人気受けする3000字を超える作文では困ります。

作文でなく、誠実な談話であれば、談話の内容と相反する新安保法案は、戦争に走った昭和16年以前の状況を良く学習して、法案を撤回しなくてはいけません。国会の議論を聞いていても、首相の答弁は、談話の内容の安全保障即ち「積極的平和主義」と違って、新安保法案は非常に危険な安全保障だからです。

談話の内容と新安保法案を具に見ていきます。太平洋戦争について談話は、「欧米諸国は植民地経済に巻き込み、日本経済は大きな打撃を受けました。孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まり、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めになりえなかった。」として、日本が始めた戦争は、世界の大勢を見失ったと評価しています。

新安保法案については、国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があるなどの武力行使3要件を満たせば、集団的自衛権の行使ができるとしています。これは中東・ホルムズ海峡での機雷除去を想定しての法案ですが、今年イランと仏独間では核協議が成立して海峡の安全も確保されています。機雷除去はなく、新安保法案は必要でなくなりました。

次に、戦争責任について談話では、戦陣に散った方々、遠い異国で亡くなった方々、広島・長崎での原爆投下、東京始め爆撃を受けた各都市、沖縄の地上戦で亡くなった310万の人々、更に、外国では中国、東南アジア、太平洋の島々では、戦闘や食糧難で多くの人が犠牲になったとしました。

更に、談話は「我が国が与えた事実と、歴史とは実に取り返しのきかない苛烈なものです。2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはいけない。」と反省と責任を表明しました。

首相が反省と責任を本当に持つと考えているのであれば、談話で述べた「戦争の惨禍を繰返しません」「事変、侵略、武力の威嚇や行使も、二度と用いない。」のは当然です。武力行使を否定するのですから、武力行使を認める3要件を定める自衛隊派遣は許されません。

新安保法案は論ずるまでもなく、憲法違反で廃案にすべきであります。

首相は軽薄というのか、言葉の意味を知らないわけでないのに、談話の中にも至るところに人気取りに使ったとしか思えない言葉があります。憲法第9条に違反する安保法案を「積極的平和主義」と呼んで提案しているから憲法学者から「戦争法案」だと言われるのです。

暑かったこの夏も、少しだけ涼しくなって来ました。安倍首相談話を機会に、談話にある「いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的、外交的に解決すべきであります。」のとおり、紛争は国際間で平和的に解決して行かなければなりません。        新安保法案は必要ないのでありませんか。

急いで新安保法案の成立を図れば、山口県出身の人気総理の首も危うくなりませんか。

蘇生


日本人の平均寿命80.67歳を超えました。中高大学校同級生はまだ半数以上います。戦争を知る老人は、日本について語る場が無くなりました。

憲法は、アメリカのマッカーサーに準備してもらったかもしれませんが、一院制を二院制に、土地を国有から私有に替えたのは帝国議会草案でした。 議会の審議では自衛戦争の放棄は草案の中にあり、吉田首相も正当防衛や、国の防衛権による戦争もしないと壇上で明確に述べていました。 草案は、衆議院は反対八票の絶対多数で、貴族院の満場一致で可決しました。 ただし、衆議院では九条二項に「前項の目的を達するため」を加えて修正しました。二項は戦力を保持しないとしており、後に、自衛のための戦力が議論されることになりました。 憲法改正から68年の昨年は、安保法改正で国会や、法律家、若者、お母さんが、戦争を意識させるとして、議論されるようになりました。 平和は、日本だけでなく、世界中が戦争をしない国にしないと続きません。しっかりと政治を見て行きたいと思います。