単線駅の日暮れ時
パリでの同時多発テロは、劇場や国立競技場など6か所に銃を持って押し入り、128人の死者と300人の負傷者を出しました。劇場にコンサートを聴きに行っていた女性をなくした夫はフェイスブックに「私の憎しみを君たちに与えない」と投稿しました。
テロ被害者の夫はフランスのジャーナリストですが、フェイスブックで最愛の妻を亡くした悲しみに触れつつも、憎しみを超えて、残された息子と共に「自由」であり続ける大切さを訴えています。
そして、夫は犯人に対しては「君たちに憎しみと言う贈り物を贈らない。君たちはそれを望むだろうが、怒りでで答えることは、君たちと同じ無知に屈することになってしまう。」として、犯人が望む、犯行に恐怖心を持って、人を疑いの目で見たり、安全のために自由を犠牲にすることはないので、犯人の負けだと書いています。
フランスのジャーナリストの投稿は、フェイスブックで世界中で共有され共感されています。テロを無くする投稿です。これに対し世界各国には即効策がないのに、威嚇を拡散しています。
残虐なテロ行為が繰り返される国際社会において、テロを防ぐことは難しく、今回のテロ直後にトルコで開催された20か国地域首脳会合(G20)においてロシア、中国を含む共同声明で外国人戦闘員の流入を防ぐ情報共有化、資金源を断つ措置を打ち出しました。
224人が犠牲になったロシア機墜落についても、ISの爆弾テロだったことが明らかになって、ロシアが加わった米仏のシリアへの空爆に、更に、今まで慎重だった英国も前向きな姿勢に転じて、IS包囲網が出来上がり、国際連帯が強化されました。
19日閉幕のフイリッピンのマニラで開かれた太平洋経済協力会議(APEC)でも、テロは世界経済の不安定化につながるとして、テロの資金源を断つ共同声明を採択しました。
この様な国際的結束で国境管理を強化しても、イスラム国(IS)は既に欧州など各国に潜入して「テロリスト予備軍」が形成されており、パリでの同時多発テロと同じような欧州やアフリカ諸国でのテロ防止には無力です。
威嚇射撃や空爆は、テロを終わらせることはありません。
それは20年前のイラク戦争がイスラム国誕生に繋がったことからもで明らかです。イスラム国のテロやサダム・フセインと米欧ロの威嚇射撃や空爆は同じ発想から来ています。町や住まいを破壊し難民を増やすだけです。
莫大な軍事費を使って、町や工場、市民や工員の命を奪って、平和や経済成長が図れるのでしょうか。20世紀に経験した幾多の戦争を見れば、負けた国ばかりでなく、勝った国も沢山の命と大きな損失を負っています。
連合国とISのこの戦争は、どちらも勝負が着く戦争ではありません。
21世紀のテロとの戦いでは、武力行使は止めるべきです。被害ばかりが双方に膨らんで、憎しみばかり増大させます。民主主義を育てて来たフランスは、避難民と共存して自由、友愛、平等を守る必要があります。
世界各国は、9・11の飛行機テロとパリの多発テロを経験したのです。
地球も傷んできました。資源も枯渇し、環境悪化も進み、70億の人口を養いきれません。 最早、資本主義も共産主義も帝国主義も民族主義も機能しません。
ミャンマーを見習って、国連を機能する連合体に作り直して、無駄な戦争を今すぐに止めましょう。
成長、進歩の経済政策は限界に来ています。地球は老齢期に入ったのです。成熟、保護、安定の社会に舵を代えて、富を求めず、急がず、競争はせず、贅沢をせず、憎しみを消すことです。
日本は、敗戦後、連合国が提供した平和、自由、平等主義を憲法にして70年の間、武器を使うことなく平和な暮らしをしてきました。外国とも良好な関係を維持してきました。
国連の安全保障理事会は20日、パリ同時多発テロを強く非難し、国際社会が団結してISと戦う決意を示す決議をしました。決議は、ISが広範囲に民間人への攻撃を続けていること、戦闘員の勧誘や訓練して、さらなる攻撃意思があるとしてテロに対抗するとしています。
国連の安全保障理事会は、テロ被害を非難するのでなく、20世紀に延々と繰り返してきた戦争と破壊を止めて、21世紀では、連合国の方から戦闘を無くする方策を協議することが、テロをなくする何より大切なことではありませんか。
国連とISは、互いに相手を非難することでなく、武器での解決や、この悪の連鎖を断ち切り、戦争と破壊を無くする責務があります。
過激派の憎しみの原因は、抑圧や格差、貧困、差別があるからです。この憎しみの原因を作っているのは有志連合国ではないでしょうか。
テロ防止有志連合国は、冒頭のテロ被害者の夫の言葉「君達に憎しみと言う贈り物を贈らない」を、同じテロ被害国として肝に銘じて欲しいと思います。
蘇生
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