自宅庭の花壇
新型コロナウイルスの感染拡大は、パンデミックを経て国際社会はどう変化して行くのでしょう。
国際通貨基金(IMF)は14日、最新の世界経済見通しで、2020年の世界全体の成長率を前年比3.0%減として、1月の予測(3.3%)から大幅に引き下げたと伝えられています。
世界の経済成長を引張ってきた米国が5.9%減と急減し、中国は今年80年以降で最低の1.2%増の成長にとどまりました。
欧州の減速も顕著で、イタリアが9.1%減、 スペインが8%減と死者数の多い国が経済的にも大きな打撃に見舞われました。
米国の国力低下と中国の台頭、欧州を始め世界各地での分断が始まりました。
国際政治学者イアン・ブレマー氏は、国際機関のG7もG20も、機能しないリーダー不在の世界を「Gゼロ」と形容しています。
新型コロナウイルスは全くを持って未知のウイルスで、ワクチンの完成には1年半はかかると言われています。
100年前の「スペイン風邪」では3年間に死者が5千万人にも上り、自国内では48万人が亡くなり、患者数は2,400万人に上りました。20世紀最悪のパンデミック(世界的流行)とされています。
「新型コロナウイルス」の感染拡大が、中国武漢市で初めて確認されたのは今年の1月28日です。中国内で人から人への二次感染が分かった初のケースです。
感染確認から僅4カ月で欧米にも感染が急拡大して、世界へ340万人を超す勢いで増加を続けています。
この勢いで増えれば、新型コロナウイルスは3年間で2400万人となり、スペイン風邪を凌駕するでしょう。
国別の感染者の最多は米国で100万人、スペインが23万人、その次には15万人以上のイタリア、フランス、ドイツの欧州国が続きます。
新型コロナウイルスの死者は、感染者全体の7%である21万人を超えました。
ウイリスの脅威を歴史的に見て行くと、16世紀に欧州から新大陸に持込まれた天然痘の大流行も、第1次世界大戦末期のスペイン風邪も、いわば当時のグローバリズムの中で生じたものです。
「グローバリズム」とは、人、モノ、カネの国境を超えた移動を言います。
近年の感染症例SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)も世界に飛び火しました。
今回のような経済市場のグローバル化は、驚くほど拡大が急速で広範囲であることから、世界各国は中国の市場を当てにしました。
世界的な市場競争が中国に企業進出を促し、EU諸国のように、自由と民主主義の理念によって移民を受け入れ、広範囲な人口移動をもたらしました。
そこへ世界的な観光ブームが加わり、人の移動が感染を拡大しまさた。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策には、国家としての対応と個人としての振舞いの二つの側面があります。
イベントや外出の自粛要請があったり、臨時休校で子供たちが教育を受ける管理が奪われたりした場合には、公衆衛生を確保する政治責任の問題があります。
コロナウイリス感染が強い細菌である場合は、その脅威を防ぐ強い国際機関のリーダーがいない時は、現下の医療機関でも対応できず、コロナウイリス感染に人類が負けるしかありません。
新型コロナウイルスの感染脅威がどの程度であるか分からない現状にあるときは、政府においても経験的に確立的に採り得る行動を予測できません。
緊急事態宣言による政府の自粛要請はどの程度、国民に説得可能であるかについて京都大学教授井田高典氏は、自発的に行動できる中間層の6割程度だとします。
「利害が相反する国家と個人とをつなぐのは、他者を思いやる人間性。今の日本では、それが大きく損なわれている。」と話すのは江籐祥平上智大准教授です。
「政治が初期の自粛要請ベースで対策を進めて行くのは、政治においても、経済的損失を補償するコストもかからない一番楽な方法だからです。これは責任を国民に押し付け、結果的に総動員体制と言うべき相互監視システムを作り上げてしまいます。」江藤氏は警告しています。
日本政府の外出の自粛や商業施設などの休業要請は、首相が先に、国民に全国一斉の休校を求めた新型インフルエンザ対策特諸法に基づく措置で、この要請や指示に従わなくても罰則はありませんでした。
外出の自粛や休業は、移動の自由や営業の自由など、憲法が保障する個人の権利を制限するものです。従って、感染拡大防止策を採る上でも、国民の権利の制限は「必要最小限のものでなければなりません。」と明記しています。
しかし、首相が特諸法により専門家の意見を聞く仕組みがあり、憲法上の緊急事態として政府に権限を集中させた場合には、国民の憲法上の権利に基ずく歯止めも設けられなくなる可能性があります。
ゴールデンウイークに入り小中学校に2週間の休校宣言を出した安倍首相は5月4日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の外出・休業を31日まで延長し、対象地域を全都道府県にすると発表しました。
世界では、自由と民主主義国の欧米諸国でも、外出禁止や都市封鎖など「むき出し」の権力行使が目立ち、中国なども独裁体制国と同一視は出来ません。どの国も法秩序が想定していない事態への対処と言う問題に直面しています。
世界経済は2か月前には国際通貨基金(IMF)は3%超のプラス成長を見込んでいました。ニューヨーク株式市場でも、ダウ工業株平均は2月12日、2万9551ドルと史上最高値を更新しました。
世界の中央銀行の金融緩和で資産価格は底上げされ、いつにダウ平均が3万ドルに達するかと話題になっていました。
そのバルブはすぐにはじけて、コロナ感染がニューヨーク経済を凍りつかせてしまい、米株式市場は2月下旬以降つるべ落としの急落が始まり、1ヶ月で2万ドルを割ってしまいました。
直後に起きた米国産WTI原油先物価格が、史上初の「マイナス価格」に陥り、米国はコロナ対策の財政出動には史上最大の計3兆ドル(約320兆円)の資産規模に膨らみました。
今後のコロナは、日米欧など先進国だけでなく、中国も高齢化が進み、コロナ感染の影響が長引き、低成長が常態化します。財政問題の解決は極めて難しくなります。
国民の生命を脅かし、経済に大きな打撃をもたらす新型コロナウイルスへの対応を「戦争」に例える世論も多い。
米国のトランプ大統領は「戦時大統領」と名乗り、中国の習近平主席はこの戦いを「人民戦争」と称し、フランスのマクロン大統領も「我々は戦争状態にある」と述べました。
医療現場では、まさに「戦場」のような過酷な光景が繰り広げられています。
世界で起きているのは、公衆衛生上の緊張事態と、それに伴う経済、社会の危機です。
コロナウイリスを乗り越えるには、生命と暮らしを守るため、国と国に連帯を呼びかけ「緊急事態」には冷静な対応が、「危機」には慎重な情報収集が必要です。
日本経済の最大の問題は供給過剰にあります。空き家が増えているのに、新築住宅を建て続けています。食品や衣服も作りすぎてロスが出ています。
グローバル経済に戻すのではなく、アジア諸国との近隣経済で、無理な経済成長より無駄をなくし、労働時間を減らすべきです。
「自粛」や「出口戦略」と言う名のもとに、国民に我慢を求め続けるのは止めるべきです。
蘇 生
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