然るに月宮殿の有様。
玉斧の修理とこしなえにして。
白衣黒衣の天人の。
数を三五に分かって。
一月夜々の天乙女。
奉仕を定め役をなす。
我も数ある天乙女。
月の桂の身を分けて假に東の。
駿河舞。
世に伝えたる。
曲とかや。
春霞。
たなびきにけり久方の。
月の桂の花や咲く。
げに花鬘色めくは春のしるしかや。
面白や天ならで。
ここも妙なり天つ風。
雲の通路吹き閉ぢよ。
乙女の姿。
暫し留まりて。
この松原の。
春の色を三保が崎。
月清見潟富士の雪いづれや春の曙。
類ひ波も松風も長閑なる浦の有様。
その上天地は。
何を隔てん玉垣の。
内外の神の御すえにて。
月も曇らぬ日の本や。
君が代は。
天の羽衣稀に来て。
撫づともつきぬ巌ぞと。
聞くも妙なり東歌。
聲添えて数々の。
笙笛琴箜ご弧雲の外に充ち満ちて。
落日のくれないは蘇命路の山をうつして。
緑は波に浮島が。
拂う嵐に花降りて。
げに雪を廻らす白雲の袖ぞ妙なる。
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