ご隠居さん:自我や世間の枠にとらわれず、社会の潤滑油となりたいものです。 AI時代は 人間らしい自由な発想がカッコいい

年を重ね、経験を積むにつれ、その時々の思いも変わっていく。その足跡を残しておくために

標準化社会

2009年08月13日 | 企業と仕事 
読売新聞によると、地方に住む若者がふるさとの訛りを恥ずかしがって、標準語(≒東京弁)を話す傾向が強くなっているという。
名古屋市長(河村たかし)は、市内小中学校で「ことば教室」を儲け、名古屋弁の啓蒙を始めたとある。名古屋弁で話すこの市長が言うと説得力がある。
他にも、市民税率10%減税を下回る場合は、その自治体の借金は国の許可が必要(ムチ)という、全国一律の標準の例が挙げられていた。
地方の言葉は、単に標準語の方言ではなく、その地方の感情・風土・歴史から生まれた独立した独特の意味を持つ。
司馬遼太郎さんの本だったか、軍隊で東北弁、九州弁では命令が徹底しないことから、全国に通用する言葉が必要となり、主に土佐弁の「です・ます」調をベースに標準語ができたという。
明治新政府の軍隊では、「私は○○であります」と機能を重視した言葉として発展しできた。
ビジネスの場でも、標準的な言葉の方が仕事の効率はいい。
でも、現代社会は職場も学校もストレスでいっぱい、心のふれあいや癒しを必要としている。
どこの地方語にも、独特の感情表現が秘められている。
僕の母は(地方弁の人間国宝クラスか)、帰省の度に忘れかけていた懐かしい言葉を思い出させてくれる。
「車に注意せんとボクばい=大変な目に会うよ、分かってるよね」
「あん人はガマ出さすけん=よく働く+ガツガツと+なりふりかまわず+お金ためるばっかり?」

東京の地方弁(東京弁)も、「あのさぁ・・・そしてさぁ・・」「・・しちゃった」と、大人が使うには軽ぅ~く聞こえるが、これも首都の奢りという地域性を表しているのかもしれない。
自然とか本質から離れて、おしゃれな生き方を求める世相からか、こんな東京弁が全国に広がっていて、進化した標準語といった感じだ。TVの影響も大きいだろう。
こういう言葉の標準化だけでなく、現代社会のいろんな面で自分らしいもの、純な人間的なものを蝕んできているように思える。
グローバリゼーションと情報化の進展と共に、大きなシステムと便利な生活・モノ・ノウハウに頼りすぎることが多くなる一方だ。
この便利すぎる日常で、自分で一から考えることがどれほどあるだろうか。
役所の窓口では、定められたシステム以外の個人への対応はできない。年金や派遣社員の問題でも、大きな社会問題になって、初めて国や自治体が手をつける。それまでの窓口での対応はどうだったのか、不思議な気がする。(お役所仕事)
病院でも進行がんの治療は、標準治療にのみ頼り、抗がん剤に合うか合わないか、運を試す程度のことが多いようだ。主治医が直接、目の前の患者さんの診断・見立てにより、その個人に特有の治療を施すことが、本当の治療ではないだろうか。

なぜ、ほとんどの人や場合に、標準とかシステムに頼りたがるのだろうか?
多分、個人としてのリスクを避けているということが、一番の理由だろう。
私たち日本人の弱点:
「みんなで渡れば怖くない」「事なかれ主義」「臭いものにフタ」といった特性が、その背景にあるような気がしてならない。

企業内外の取引・銀行・学校・役所などのシステムは、ますます大きく、それなりに完成されていくことだろう。どうせ、自分でチマチマ考えること位では対抗できない。だから、とくに若者は、余計なことは考えないで、システムとか標準に従って、みんなと同じことをやることが賢いと思っても不思議はない。
しかし、システムとか標準に完璧なものはなく、いつも発展途上にある。自分で現実への対応を果たさなければならない。そのために、システム・標準と自分の関係を自覚し、自分らしいチエと工夫で新しいものを生み出して行く覚悟が大切だと思う。
人間は考える葦(パスカル)!!たとえ社会や組織の歯車であっても、その持っている使命を忘れないようにしたい。

後記:2011.2.23
マニュアル医師が増えているという。
過去の研究実績に基づく診断基準や診療ガイドラインが増え、自分の頭で考えない医師。
妻のカテーテル検査で、医者が「リスクは○%・・・」というので、「この病院では?」と聞くと、
「今年になって80症例で実施、すべてOkです」とのこと。これでほっとした。
なぜ、一般的なことしか言えないのだろうか??
目の前の患者を診ないで、画面とデータとにらめっこしている医者が多すぎる。







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 城下町二本松 | トップ | 新生政権 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿