数少ない辛口の正統派の経済評論家:内橋さんの話が聴けるというので
自転車で10分の大学に行ってきた。以下、聴講メモ。
”人を大事にする経済とは”
(著者タイトル:人が人らしく生きていける社会) 内橋克人
2011.6.25 日本社会事業大学 福祉フォーラム2011 第50回記念講演
関東大震災の現実について:
上滑りの言葉があふれているが、ほんとうの救いにならない
社会の構造を認識しなければ、人を救うことはできない。ボランティア活動は大切だが、あくまでも補助。
上からの権力構造:7~8割は虚構(日本社会のひ弱さ)
今でこそ、一応、貧困は救済の対象になているが、以前は処罰の対象だった。(強制収容労働、前世からの因縁)
今回の大震災で、大量の棄民がでる(避難者9万人弱)
日本は公的支援ができない国:福祉を論じ、横文字できれいごとを並べ立てるだけ。
放射能問題:Slow Death
東北の人たちはがまん強い・・・まだ、”匠の時代”が残っている
阪神大震災のとき、政府は「自然災害に個人補償はなし。自助努力で公的支援はなし」
それで、震災後5ケ月で市民議員立法→ 東北でも声を上げよう!
国連人権条約第11条を批准しているのに、遵守しない。
原子力ムラのテクノクラート、被災地に立つと怒りが込み上げてくる。
①貧困は社会の装置化
搾取の対象でさえなく、排除される時代。経済は栄えて社会は滅びる。
アメリカの徴兵制:ベトナム戦争失敗→徴兵制から志願兵→市民権獲得など貧困が背景
②なぜ貧困格差なのか?自由貿易振興、規制緩和の小泉改革で加速。
労働の規制緩和:シカゴボーイズ学者(ミルトン・フリードマンの弟子たち)の無責任さ
科学→技術→技能という展開で限りなく発展できるというのか??
事実は逆、技能→技術→科学という方向・・・すなわち人間中心の経済こそ実態である。
M.フリードマンの主張「福祉は、国家による窃盗だ」「公衆衛生は有害である」
英サッチャー「過剰福祉」を廃止、Death Ratio(死亡の効率)
「努力する者が報われる社会」→新市場主義Free Trade Face→一人勝ちの社会
働く自由だけでなく、働かせ方の自由→消費税10%→ワーキングpoorが増える。
今の政治の迷走は当たり前のこと。必然
この大震災を機に、社会の転換をしなければ!子供たちの時代はない。
③これからの針路:「FEC自給圏」の形成・・・日本は今のままでは幸せになれない。
F=Food E=Energy C=Care 共生社会
80年代、会社がつぶれると家族までがつぶれる。だから公的支援を!
大企業優遇の一時しのぎの対策。
ミレニアムショック、リーマンショックで、つぶれた家族があふれており、すでに大きな社会問題になっている。
「会社がつぶれても、人がつぶれない社会」こういう社会がどうして作れないのか?
スエーデン:国家による能力開発:教育支援制度
IT先進国:IT技術を国民全体に Linax(コンピューターOS.)
経団連の大口献金→財界政治活動・・・こういう連中に、介護福祉の成果が挙げられるのか?
最後に贈りたい言葉:エーリッヒ・ケストナー(ユダヤ迫害)
「賢さを伴わない勇気は、乱暴なだけだ」
「勇気を持たない賢さは、役に立たない」
おかしな連中が勇気を持ち、賢い人が臆病な時代→これは正しくない。
P.Fドラッカーも「非営利組織の経営」で
「助け合いのコミュニティが日本を変える。しかし、マネジメントがなければ、志も善意も形にならない」と述べている。
≪感想≫
人に焦点を当て、政治・経済・社会を観たとき、「反体制こそ正義」という時代になってきたのではないか。
1972年、ローマクラブ報告書で、「成長の限界:人類の進歩と調和」でも、すでに今日の地球規模の問題を指摘している。
日本が高度成長で”欧米に追いつけ追い越せ”に躍起になっていた頃だ。
当時すでに、欧米では、進歩と同じくらい調和・規制が重要な段階に入っていたのだろう。
内橋克人さんは、「匠の時代」シリーズで、日本を代表する企業の開発を支えた技術者に焦点を当てた。
人間中心という、その一貫した姿勢は、より反体制の主張を鮮明にしているが、今や正義はそこにしか無いとさえ思える。
国内外を問わず、あらゆる体制の崩壊が目に余る。哲学の時代を迎えている。
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