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日産と神戸製鋼所の不正

2017年10月26日 | 私生活 雑感
日産と神戸製鋼所の不正、自分の仕事でも関係あるので注目している。
① 日産の場合、補助検査員が完成検査をやっていたことが、国交省の抜き打ち調査で発覚した。国交省への検査員登録(1951年道路運送車両法に基づく行政指導で、まだ日本車が欠陥だらけの頃のルール)の手続きの問題にとどまればいいが、、、
戦後すぐの日本車の品質が劣っていた時代の規制と日産での社内ルールの見直しがされていないという、いかにも日本的な基本的な問題がある。
何より、日産の初期対応のまずさも考えられる?
ある記事によると、前輪の切れ角度の工程で、
ハンドル操作を補助員がやり、自動測定器のプリントデータを登録検査員が判定、とのこと。
これだけなら、届出の問題で納まるが、これからまた出てくるのだろうか?
勿論、検査印を預けて押させた問題は別で、「スルーしてフタ」という国民性が現れていると思う。
型式認定の品質レベルを自社で責任を持って保証するのはメーカーの基本だろう。
国交省に委任されてやることではない。
日産は、116万台のリコール申請を申し出ている(約600億円)。購入後1回も車検を受けていない、3年未満の出荷台数とのことだが、これも腑に落ちない。
ディーラーに2万円/台のリターンして、儲けすぎを償うというなら悪くない?
(2017.10.28追記:)
やはり「スバル不正30年」というNewsが続いた。
群馬県の2工場で、社内認定研修後の社員に、実習として完成検査の一部をさせていた。2017.10.1現在、正規認定検査員245人、無資格4人という、その程度の問題!?
直近3年間の全12車種計25.5万台に対してリコール申請(約50億円>あとで100億に修正)
いとも簡単に非を認め、幕引きをしている気がしてしょうがない。
そもそも、道路運送車両法(しかも行政指導)などで「30日以内に国交省に完成検査員の届け出をする」ということは必要なことか?時々の立ち入り検査で、登録名簿と現場の検査員のチェックをすることの意味は?
国は今ごろ、この時代遅れのルールを含め、タスクフォースチームで見直し中という。
現在、日本のメーカーは自工程完結型で、各作業での品質保証を徹底している。それに、各工程の自動検査体制も充実して完成検査の役割は少なくなっている。(自社で検査員の力量を認定し、製品の品質の保証も当然自社で責任を果たす完成車メーカーなのに)この問題で、何らかの規制が強まるだろう。それにしても、再発防止の一つ「完成検査場に囲いをして、無資格者が入れないようにする」と言う策には、呆れる。現場を知らない上層部のムチだろう。
官僚に抵抗して、4輪メーカーとしての基礎を築いた本田宗一郎翁の気概は今は無し。

② 神戸製鋼所の強度データの改ざんは、当初どの程度の問題かマスコミでは不明なまま、自動車を初めとする納入先が200社から500社に拡大し、大騒ぎしていた。
強度不足の程度も、やっとミルシート(鋼材試験成績書)の問題であり、Max10%とか3%不足とかの記事が出始めた。
これだと安全率を考慮しても、実機での安全上性の問題まではいかないのでは?
実際、ユーザーである自動車メーカーや航空機メーカーは「安全性に問題がないことを確認できた」と火消しに回っている。
JISの規格値を満たしていないというのは、特別採用の問題が常態化したのかもしれないが、それ以前に、工程能力の不足の問題が大きいように思える。
人の技量、材料、製鋼工程の環境条件などのバラツキをすべて含んだ工程の能力が不足しているとしたら、製鋼プロセスで品質が決まる装置産業としては大きな問題だと思う。
また、小型軽量化をめざす自動車メーカーはJIS以上の規格を要求しているようで、受注段階で安易に契約しているのだろうか?(特に銅、アルミ合金)
製造工程のバラツキを考慮した現実的な規格値への見直し、クラス分けなど、契約上の解決策も必要な気がする。
国際規格ISOの日本の元締めJABもこの問題を重視していて、HP.でこの問題への対応方針を公表している。https://www.jab.or.jp/
日本の製造業は、「本社とトップがダメでも現場の強さが支える」と言われてきたが、最近はチームワークや創意工夫が弱くなっていると感じることが多い。
政治と同じで、企業のトップもグローバル競争に翻弄され、かっこいいビジョンを求めるばかりで、現場に課題を垂れ流ししているのではないか?
やはり、日産と神戸製鋼所の問題は、ものづくりの 現場はうまみが無く、技能と人材の空洞化が進行している表れだろうか?

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