ご隠居さん:自我や世間の枠にとらわれず、社会の潤滑油となりたいものです。 AI時代は 人間らしい自由な発想がカッコいい

年を重ね、経験を積むにつれ、その時々の思いも変わっていく。その足跡を残しておくために

目標と理念

2021年04月16日 | Weblog
友人が、新日本人道(著者:北野幸伯)を読み以下の通り一部まとめてメールをくれました。
「「・目標を紙に書くことの有効性について、1979年から10年間かけて、ハーバード大学で調査を行った。調査開始の1979年、同大のある教授が学生たちに目標を持っているか質問すると、「目標を持っていてそれを紙に書いている」学生は全体のたった3%だったそうです。そして10年後、元学生たちについて再び調査したところ驚くべき結果が得られました。目標を紙に書いていた3%の人達の平均年収は残り97%のなんと約10倍だったのです。
・国も同じ日本は幕末、一つ間違えば、他の「江戸幕府では日本を守り切れない」と思った薩摩藩、長州藩、土佐藩などは、討幕を成し遂げたが、新明治政府の目標は明確でした。
「日本国が欧米の植民地にならないよう、富国強兵を成し遂げる。」
そして日本は成功した。
日本は、日清戦争、日露戦争、第一次大戦、を勝ち抜き、気が付けば「世界五大国」の一国になっていました。これぞ「目標の力」。ところが、目標を達した後は、傲慢になったのか、「孤立の道」を進んでいきます。満州問題でアメリカを敵にし(アメリカ、イギリスに満州の利権を一部譲れば、日米英でソ連の南下に対抗できた)、第一次大戦で陸軍を送らなかったことで日英同盟を破棄され、満州国でもめて国際連盟を脱退した。日本は、アメリカ、イギリス、ソ連、中国を敵に回してしまい、必然的に敗戦した。

結果を残す現実主義者
・チャーチルは第二次大戦で、悪魔のような男であるナチスドイツのヒットラーに勝つために、もう一人の悪魔スターリンと組んだ。一対一で戦ったらイギリスは勝てなかったでしょう。しかし、チャーチルは、アメリカとソ連を味方につけたので勝てたのです。このことは、日本にも大きな教訓になります。
・チャーチルは「我が大英帝国は、独立自尊の国。田舎者のヤンキーや、共産主義者(ソ連)の手は借りぬぞ!」などと言いませんでした。むしろ彼は、悪魔(ヒットラー)に勝つために、もう一人の悪魔(スターリン)と喜んで手を組んだ。それで、イギリスは救われたのです。
・毛沢東はヒトラー、スターリンと並び「世界三大悪魔」といえる。彼も「現実主義者」として、二つの大きな実績があります。一つ目は、国民党との戦いに勝利したこと。
二つ目は、アメリカと和解し、ソ連の脅威をなくしたこと。中華人民共和国は、ソ連の支援によって誕生した。鄧小平も「バリバリの現実主義者」でした。
日本政府が、「大戦略から見ることができない」のは、今も変わりません。
その他にも色々なことが書かれています。日本は大丈夫か?
心配になる。 以上」」

これに対する僕の返信:
この本の「目標を立てること」で思い出すのは、山中教授の文化講演会での逸話です。
彼は、アメリカ留学での恩師から「君のVision は?」と問われ、はたと困ったそうです。
日本人はWorkhardは優れるが、Vision が弱い!
逆にアメリカの若者はVはしっかりしているが、Wが不十分!
と述懐していました。
ある意味で、現場で汗をかかずに目的を達成し成果を得るのに長けている。
プロセス(W:現場、リアル)とマネージメント(V:理屈、戦略)の関係にも通じるようです。
ものづくりの技がシステム力の前には無力、という今の産業界にも。
どうも、しっかりした人生観、哲学が育ちにくい戦後の日本の社会が、Vision 無き我々世代(85才くらい以下)を生み出して来たのでは?と言う感じを強く持っています。その意味で、我々世代は全体にダメ世代(笑)ではないかと。
安倍、菅さんはその代表(笑)森、麻生、二階、、、も。
戦前の教育(旧制高校など)を受けた世代は、政治家も企業人も学者も会社の先輩も、偏りはあっても自分なりの信念、原理原則を大切にして戦後の復興に貢献して来た。
明治の初期にも、江戸時代の価値観(武士道とか朱子学)を持った逸材が、試行錯誤の中で近代国家を築いて来た。
つまり、目的とかVision は確固たる自己:理念があってこそ生み出せ、困難に打ち克って達成できると思う。

この本の著者は、50才位でよくまとめているようですが現場経験が乏しいようで、結果で理屈付けしている気がします。最近の学者は、寄せ集めの知識を加工するだけで、理念が感じられないことが多い。
結果から行動の過程を掴み、その源となる理念につなげると共感も得られる気がします。



毛沢東の「実践論-矛盾論」をよく読み返していますが、現場重視Try&Errorで改革を続けるという思想が今の習政権にも生きていると思います。
最初からはっきりしたものではなくても、状況を的確に把握し革新的な方向を目指して修正していく方式、変化の時代にはあっているのかも?
毛沢東は、マルクス-エンゲルスの共産革命理論を離れ、国防戦線で実践する中で矛盾と戦う毛沢東思想を打ち立てた。
晩年は醜態を曝け出したが、大した思想家と言えそう。
その点、日本は「石橋を叩いても渡らない?」

チャーチルの「第二次世界大戦回顧録」も、二度の海軍大臣のキャリアを基にその時々の彼の理念で的確な判断と勝利を生み出してきた様子がよく出ています。この本でノーベル文学賞を得ただけの文才を感じる。彼には伝統ある大英帝国のエリート教育があった。

湯川秀樹の「旅人」も同じように文学的才能が感じられる。
最初から目的に向かった研究というより、幼児からの漢学の素養とか荘子の思想への共鳴と言う延長線上に、中間子の発見があったと言う内容が印象的です。本の題名もそんな意味を込めている様です。
それと、人類の歴史と言う大きな流れを知る意味では、漫画サピエンス全史が面白かった。
最近の政治、企業の劣化に失望していますが、そのことの意味を考える良い機会になった気がします。
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