ローコスト国道(2)

　伊賀上野からの25号線はまず田んぼの間を走って、そのうちだんだん谷が深くなってくるという印象です。

　国道の標識もそのために一本柱を立てるということはなくなって、ガードレールにシールを張って、とりあえず国道の出来上がり！みたいな安直さを感じます。国道なのですが、耕地整理された後の農作業用の道路（舗装はされていますよ）と大差ない印象です。

　でも大内の郵便局を越えたあたりから、センターラインのある立派な道路に変身します。名阪国道沿いにある大きな工場たちも今日は反対から眺めながら走ります。このあたりの道路が比較的整備されているのは、25号沿いにいくつも大きな工場があるからでしょうか。

　上野の八幡交差点から10分か15分ほど走り、谷の深い名張川を渡ったら、もう奈良県です。左手には名阪国道の五月橋を仰ぎます。この橋の上をたくさんのクルマたちが流れていきます。ところがここでもローコスト国道を意識してしまいました。案内標識が錆びている。さっきまでの三重県側はセンターラインもあったのに…。

　おそらく、25号はここからしばらくが一番の難所だろうと思います。名阪国道を縫うように25号がクネクネと走るわけですが、そのクネクネ具合が尋常でない。西に向かって走っているはずなのに気がつくと東を向いていたりヘアピンがあったり、ジェットコースターでもないのに上がったり下りたりを繰り返します。私のスクーターも路面の悪さと斜度とでまっとうな速度で走っていないような気がしてきました。暗示にかかったような気分です。国道とはいうものの、完全に地元の生活道路です。こんなところを大きなトラックが走るとしたら…。なぜ、名阪国道という新線を作らなければならなかったか、わかったような気がします。少々のバイパスを作ったり拡幅をしてみたところで、この地形に沿って作られた道路では時間がかかってしようがない。大量輸送のためには大動脈を新設するしかなかったわけですね。

　神野口インターから針インターあたりまでは、名阪国道に沿って25号は走ります。小倉インターの少し東で、名阪国道に標高510mという案内があるのを見つけました。へぇ、そんなにもあるんだと感心。スクーターを停めてメモを取ります。それでは鈴鹿峠はいくらなんだと疑問がわいて帰って調べてみると、国道1号線のトンネル付近で370mくらいらしい。あの峠よりも100m以上、このあたりは高いわけですね。

　このブログによく登場するgoo地図には、標高が表示できる機能があることを発見しました。表示されている地図の中心、ポインタ位置の標高をメートルで表示できます。そいつを使ってみると、名阪国道で一番高いのは、山添村切幡、名阪スポーツランド付近で517mと出ました。今日のルートの順に記すと、五月橋ICが164m、山添IC282m、神野口IC447m、小倉IC487m、針IC462m、一本松471m、福住IC491m、後は奈良盆地にダイビングして、例えば郡山IC（西名阪自動車道）では48mという具合です。名阪国道にほぼ沿うように走っている25号線も同じようなものでしょう。とすると、三重県から奈良県山添村に入った25号線は一気に高度を稼いで山添村内でサミットを迎える。西へ向いて走っているはずなのに気付けば東を向いていると、さきほど記しましたが、高度を稼いでいたわけですね。そして、その高度をキープしたまま、天理市福住まで走る。このあたりを大和高原と呼びますが、実感としてわかってきたような気がします。

　名阪国道のそばをクネクネ走っていた25号線は奈良市（旧都祁村）に入り、名阪国道から少し離れます。山間部の地元道路という雰囲気です。福住で名阪国道の下をくぐって、天理ダムあたりまでは幅も広くなって、カーブは続くもののセンターラインもある、走り屋さんが喜びそうな道路になります。冬場、名阪国道が積雪により通行止めになることがあります。その際にドライバーが選ぶのが福住－天理間でしょうから、このあたりは整備されているのかも知れません。

　さぁ、天理ダムです。今日の計画はほぼおしまいまで来ました。

 

　手帳の記録によると自宅を出てから帰るまで約10時間。走行距離が210km。満タンスタートで夕方に給油したのが4.3L。リッターあたり48kmくらいとなります。