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東京駅の中にホテルがあることは若い頃から知ってはいましたが、この度泊まる機会を得ました。
とにかく横に長いホテルでした。あのレンガの建物がほぼすべて客室となっていました。チェックインのとき、部屋まで案内してくれたスタッフが、廊下にもいろいろな展示(アートワークというらしい)がしてあるので探検するのもよいというようなことを言ってくれたので、このおのぼりさん、3階を端から端まで歩いてみたのでした。北の端は北ドーム(丸の内北口のドーム)。このドームを一周する廊下があって、手の込んだことに、一周のうち皇居側には廊下の左右に客室があります。しかし、線路側には廊下の内側にだけ客室があるという複雑なつくり。線路側に客室がないのは列車やホームでは見る値打ちがないということなのでしょうか。
そこから南ドームに向いて、一直線の廊下の左右に客室。一直線の廊下のちょうど真ん中がアトリウムエレベーターのスペースの都合でしょう、廊下が迂回していて、見通せないようになっています。この部分の1階部分が丸の内中央改札あたりです。南ドームにも北ドームと同じように一周する廊下を挟んで客室。さらにドームの向こう側にも客室。つまり、外から見たレンガ造りのすべてが東京ステーションホテルであるということがこの探検でわかりました。
たぶん、ホテルとしてはこの長い廊下が泣き所ではないかと考えました。なにしろあのレンガの東京駅そのものが細長いのですから、どうしようもありません。あてがわれた部屋の場所にもよりますが、外との行き来には随分歩かされるように思います。それに、しっかりと部屋の番号を覚えておかないと迷子になってしまいます。そこで、アートワークなるものを拵えて、むしろ長大な廊下を見どころにしてしまおうというアイディアなのではないでしょうか。
東京駅開業の翌年にこのホテルの歴史は始まっている(1915年=大正4年)そうですから、百年以上の歴史あるホテルです。その重厚さに私のような者が口を挟む余地はありません。浅薄な私はどうも落ち着かず、表に出て東京駅を眺めてみました。道路を挟んだ隣のKITTE丸の内の屋上庭園から眺めてみると、ライトアップされた東京駅が優雅に見えます。
翌朝は雨。ホテルの案内では雨の日もホテル周辺を散策する値打ちはあるというのです。逆さ富士ならぬ、逆さホテルを見られるとのこと。水たまりにレンガ造りが写るというわけです。朝から歩いてみました。見えました、逆さホテル。
朝食は4階のアトリウム。ふたつのドームのちょうど中央にある屋根形に高くなっているところです。アトリウムと呼ぶのは、線路側の屋根部分が大きな明かり取りになっていて、明るく開放的な空間です。一方、ホテルの正面、皇居側から見ると、ふつうの屋根にしか見えず、宿泊客にしかわからないということでしょう。私は撮らなかったけれど、朝食に現れた多くの人たちはスマホでアトリウム内部の写真を撮ったり、記念写真を撮ったりしていましたよ。なんだ、おのぼりさんは私だけではなかった。
おそらく東京駅の改札口に一番近いホテルでしょう。私にとってはめったに宿泊する機会はないはず。これが最後かもしれません。いい経験ができました。
(記事にするまで随分時間がかかってしまいました。ここに泊まったのは2023年4月下旬です)
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