ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

文士の私生活 昭和文壇交遊録 松原一枝 新潮新書386

2011-02-28 07:43:00 | 読んだ本

文士の私生活 昭和文壇交遊録    松原一枝     新潮新書386

  94歳の作家である松原一枝さんが、昭和12年以降の彼女と交遊のあった作家たちとの日常の風景を記した一冊。こういう感じでしょうか。
  大作家がつぎつぎと普通の人として登場します。惜しげもなくという表現がありますが、まさに惜しげもなく次々と著名な人たちが登場するのです。まるで、昭和以降の文壇という世界が筆者を中心にあるような錯覚に陥ります。
  も うひとつの驚きは情報の細かいこと。何十年も昔のことがまるで昨日か一昨日のことのように記されています。それが埃をかぶった「歴史」ではなくて、生き生 きと伝わってくるのが不思議です。筆者は相当に細かい日記をつけていた人ではないかと想像します。しかし、その記録が細かければ細かいほど、引っ張り出し てくるのにも手間と整理が必要なはずであり、その意味で大変失礼ですが、人間業を越えているように思います。
  ただ、私は無教養なので名前くらいしか知らない作家、恥ずかしながら名前さえも知らない作家の部分になると少々退屈です。と思いながら読み進めていくと、仮面ライダーの死神博士(天本英世)がある喫茶店で登場してきて驚きました。天本氏も松原文壇の一人だったのです。
  数多く登場する作家の中で、宇野千代さんについての部分はずいぶん頁が裂かれていて(第五章)、引き込まれていきました。へぇ、こんな人だったんだとちょっと感心。
  94歳でこれだけのものを記すエネルギーはすごいと思いますが、宇野千代さんからのメッセージだと思って毎日机に向かっているそうです。

 …と、ここまで書いたところで

先日の新聞に小さな記事を見つけました。松原一枝さんという人が1月31日に亡くなっていたというニュース。彼女が敬愛する宇野千代さんの98歳に及ばずに、逝ってしまったわけです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岩津ねぎ2 | トップ | オットギ カレーラーメン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事